GVVC Weekly – Week 270

Dent May – Coasting On Fumes (feat. Jordana)

来月末リリースのデント・メイ最新作アルバムから、ジョルダナをフィーチャーした先行トラックがビデオ公開。
サウンドと楽曲の方はほぼ完全にDent MayでJordanaの要素はほとんどなく、ボーカルのコントリビュートで華を添えてるような格好ですが、ポップに振り切り甘過ぎて糖分過多になりがちな彼のトラックにおいて少しドライでクールな彼女の歌唱がいい中和剤になってる。
男声ソロに女声が入ってむしろキリっとするって若干変な話ではありますが、当初はデントメイ本人は歌ってなかったみたいで急遽デュエットにしたというのは正解でしょうね。
しかし、この組み合わせって考えた事もなかったけど、こうして目にすると音も見た目もスゴクしっくり来るし納得のコラボ。映像の方も二人が出ずっぱりのとても楽しそうなお遊びショートムービー風の内容で愛嬌たっぷりの仕上がりと、非常にオススメです。


Layzi – close 2 u

ボストンのSSWバンド、レイジーがBorn Losersからニューシングルをリリースしてビデオ公開。
まあなんていうか、ドリームポップ全振りのインディ宅録系バンドサウンドで特別な折衷要素や変化球だったり面白い構成なども何もないのですが、あまりにも甘美でアンニュイな直球すぎる仕上がりが胸やけレベルのキケンな甘さを醸し出しておりもはや清々しい。どうしたってB級グルメ以上のモノにはならないのですが、最初からその先を目指していない割り切りでこれもいいのかもしれない。


Kindsight – Tomorrow

コペンハーゲンのカインドサイトが4月にリリースするニューアルバムをアナウンスし先行曲をビデオ公開。昨年と一昨年に公開していたシングルも収録されるようなので厳密な収録曲的にはこれが三つ目となります。
内容の方はというと路線は全く変わっていないですが、今までよりも幾分派手めなアレンジになっており、サウンドに若干圧が出てる。どちらかというとネオアコ系譜のギターポップであることを考えるとその辺は良し悪しで、スカスカのぺっぽこ具合がミソだったりする場合もあるけど今回のトライはプラスの方向に作用していてメロディや音色の薄味なところをうまく補っているかな。全体の中で相変わらずボーカルの歌い方だけがちょっとねちっこくメンドクサ系である点がハズしとして機能し、無味乾燥になりがちな路線の音楽性を成立させてるよね。


Sarah Meth – Computer Pad

ロンドンのサラ・メスが今春Slow Danceからリリースする予定の新作ミックステープより先行トラックを公開。
ミックステープといってもヒップホップ~ビーツ寄りの人ではまったくなくて完全にベッドルーム系SSWです。過去の印象ではちょっとジャジーだったりトリップホップやエレクトロニックが入っている時もあった気がするけど、今回は完全にビートレスのアンビエント・バラッドになってましてスロウ・アタックの教会系パッドが先導するブリスフルなムードが非常に美しい仕上がり。
シンプルな歌ものと見せかけてちょっとダークで耽美なクセのあることが多い彼女、もうそこそこ何年かやってるのにまだまだ未知数というか本気見せてない感じがして気にはなってるのですがここらで爆発を期待です。
ドット絵みたいに粗くなったこのサムネの写真もなんだか楽曲の雰囲気にマッチしてますが、あまりにもイノセントワールド(偶然の一致)。

今週のLP/EPフルリリース

Omni – Souvenir (LP)

まあ基本1stからずっと変わってないっちゃ変わってない。ほぼ出オチというかサウンド自体にメチャクチャ特徴があるタイプだから印象としては金太郎飴になってしまうのはある程度しょうがない。だからこそ今回客演のボーカル入れてまで変わり種のトラック仕込んできたのは本当にナイスワークだし、このM-2があるとないでは話が全然違います。この曲単体で出た時もレビューしたけど頼み込んででも彼女を準レギュラーにした方がいい、それ程ハマってるんで一回きりは勿体ないよ。
しかしこのギターワークとアンサンブルいつ聴いても惚れ惚れするね。パート単体ではそれぞれ全然マネできそうな類ではあるんだけど全体の噛み合い方が尋常じゃなく、生々しいのに刻みとシンコペ完璧にキメてくる演奏で縦軸横軸グリッドの強調された様はやはりどこかマスロック風でもある。こういうのが一番ナマで観たいから来日したら絶対行くのにな。
えっと、次への提案としては、音作りがマジで代わり映えしないのが飽きるから、音楽性やアレンジはそのままでいいんで録音とミックスをガラっと変えてみるとかどうでしょ。もっとハイファイで粒子が粗くない締まった質感にするだけでまた違った良さが開花しそうだけど。