GVVC Weekly – Week 296

Fievel is Glauque – As Above So Below

Blanche Blanche Blancheのザック・フィリップスによるフィーヴェル・イズ・グロークが新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
昨年Fat Possumと契約し挨拶がてらの両A面デジタルシングルをリリースしていましたが遂に移籍後初となるフルレングス作です。先のシングルはどちらも収録。
さて内容の方ですがもうアングラとは言わせない、今までのそこはかとない地下音楽感がついに払拭された彼の関連諸作品の中で最もオーヴァーグラウンドに接近したトラックになっていて、ボーカル入りのバリー・ホワイト愛のテーマ的な世界、インディ版Steely Danとも言える超独自音楽をポップスに昇華した過去最高の完成度を誇る素晴らしいトラック。
でも、それでも比較的控えめとはいえアレンジの面でやっぱり頭のネジが数本外れたプログレ病は発症しちゃってます。ご愛嬌!しかし、これはホント凄いですよ。この1曲聴いただけでも残りを余程外してない限りLPは年間ベスト級の香りがプンプンします。特マル推薦。


Christopher Owens – No Good

先月末に久々の新曲をリリースしたクリストファー・オーウェンスが今度は新作フルレングスを正式アナウンスし、さらなる先行曲を公開。
いや、これは完全にカムバックでしょう。世間の彼のイメージはコレだし、ある意味でアーティストとしては後退なのかもしれないが、冷や飯を食わされるよりは良いし、皆に求められて輝いている君が見たかった。メランコリックでぶっ壊れそうなほど儚いSSWバンドのサウンド、Girls以降で最もGirlsらしい、もっと言えばGirlsの1stらしいトラックではないでしょうか。
レーベルはバンド時代から引き続きTrue Panther、この写真撮ってるのはSandy Kimと、Jrさんとハンナちゃんが居ない以外は色々とそのままで泣ける。

ライブパフォーマンス版の映像も出ています。シグネチャーの花でまた涙…。


Mousey – Home Alone

ニュージーランドのSSWマウシーが10月にリリースする新作アルバムをアナウンスし先行曲ビデオを公開。7月にリリースしていた2曲入りのシングルもそのまま収録ですのでこれが三つ目となります。
過去作も含めると割と振り幅のある音楽性で、アンビエントぎみフォークからガレージパンク風味まであったのが直近ではややダークでアブストラクトな路線に寄っており、今回は美しくシネマティックなトリップホップを披露。これがハマっていて、一番シンプルな時のXiu Xiuをよりキレイ目に調整したような楽曲でソツなく非常に良い出来ですね。こっちのテイストの方を継続して欲しいかな。

今週のLP/EPフルリリース

Lindsay Reamer – Natural Science (LP)

デビューフルアルバム。あまり1曲だけでどうのっていうタイプでは無いのもあり、先行曲のいくつかでアンテナにひっかかっていたものの紹介はしてなかったと思う。パッと聴き、ウチでは「またか」と思われるであろうナチュラル系SSWバンドのサウンドで、奇を衒った要素はないがこれは秀作です。
まず特徴としては弾き語りを単にバンド編成にしましたというだけの作りではなく、ごく薄いシンセやフィドル・チェロも入ってくる淡くも豊潤なアレンジメント、そして基本ドラムまでガッツリ入ってるにもかかわらず、どこまでもエッジの取れたソフトでアタックの少ないミックス。でも演奏自体のダイナミクスや本人の歌唱スタイルの妙で割とメリハリはしっかりある印象なのも素晴らしい。
凄く薄い色彩と細い線で書かれてる抽象画なんだけど、使われてる色の種類は多いしかなりいろんな種類の幾何学模様が入ってて、描くテーマは自然というような作品。自然科学というタイトルがぴったりだし、実際に元フィールドサイエンティストらしく、ある意味でホンモノの貫禄を感じます。