グラスゴーのダンサーが9月にリリースする2ndアルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
音楽性は基本的にそのままですがドラマーが変わったようで、バンドサウンドが少しブラッシュアップされローファイ味が減退しアンサンブルに厚みが出ました。以前は実際フルバンドなのかよくわかんないような、どこか宅録チックなのっぺり張り付いた風情がありましたが、特徴的なギターとベースのフレージング・音作りはそのままにしっかり自然な躍動感が出てきています。
でもなんか、全体的なサウンドの印象としては前の方が個性的だった気がしないでもないから、難しいところ。ポストパンクとジャングリー系のインディポップが同居した脱力エキセントリックな楽曲は健在ですが、LPの他の曲もどうなってるのか早く聴いてみたいかな。
なお前作でやっていた、ライブでもなしにスタジオ音源でわざわざ曲名を言って(マイクオンで)から始める面白過ぎなスタイルはやめたみたいです。レーベルは引き続き、何故かスペインのMeritorio Recordsからリリース。別にいいんだけど、何なんですかね?グラスゴーなのにわざわざ。
MATT JENCIK & MIDWIFE – Rickety Ride
来月Relapseからリリースされるマット・ジェンシックとミッドワイフの連名作アルバムより二つ目の先行曲がビデオ公開。
オープニングトラックが先に出てましたが、お次はクロージングトラックを出してきた。もはやドーロンに近いようなレベルのアンビエントスタイルだった前者に対し、今回は完全に歌モノと言える範疇のスロウなシューゲイズ楽曲で、まさにスタッフロールでかかるのがピッタリな大団円お開きムード。
とはいえ安易にドリーム路線には仕上がっておらず、男女ツインの激甘メロディに対して粒子が粗いタイプのサウンドウォールとガサついた尖りのあるテクスチャーが絶妙にハマった完成度の高い音像です。アウトロで現れる揺れモノがかかったベースの高音フレーズも素晴らしく鮮烈で、そのまま終わり方も良いね。
今週のLP/EPフルリリース
Annahstasia – Tether (LP)
これはちょっとノーマークでしたが良いです。一見、単なるネオソウルかと高を括ってしまいそうになるが、その実ソウルはまあイチ要素でしかない、それも大部分を占めるほどですらないという騙し討ち。
ボーカルスタイルがガチ系なせいで印象が引っ張られているけど、サウンド〜アレンジは基本、流麗系のインディフォークロックが最も近いでしょう。ほんの僅かにアンビエントやチェンバーポップのエッセンスもある。これ何なんだろと思ってクレジット凝視、起用プロデューサー陣の仕事リストの顔ぶれみたらなんか納得ですわ。
まあオルタナR&Bだとかインディソウルだとかっていうものも随分と一般化、陳腐化したけど、この音楽はそのラインのものでは全く無いね。業界自体はそこそこ長いのにまとまったソロ作品のフルレングスはこれが初めてってことでこれまでの全てが凝縮されてるのでしょう。しつこいけどこの歌に対してこの楽曲はホント面食らうというか正直かなり他にないようなバランスで唯一無二。メインになっている中盤のトラックなどは純粋に楽曲そのものもすごく強度が高いし、全体的に実に手堅いクオリティです。歌唱は確かに特徴あって素晴らしいが若干、一本調子な気がしないでもないかな。
いやぁ、どこまで純粋に本人の趣向による方向性なのか気になる、今度はプロデューサー付けずにやってみて欲しい。わざとかもしれないけど、このカバーアートだと内容誤解されると思うけどなぁ。
Sorry Girls – Dreamwalker (LP)
いやぁ良い。曲が良い。今までも単曲で好きなのあったけどこれアルバム単位だったら過去最高傑作でしょう。
なんつーかマイルドに今風になった一時期のフリートウッド・マック。そこにまあ最近のTOPSとかの同郷モントリオール勢、Tennisだとかそういうイメージで後Pure Bathing Cultureとかね。ともかくlate70’s〜early80’s系のロックポップス、バラッドみたいなやつが大きく変化せずにブラッシュアップを繰り返したような音楽。
ただ懐古主義的な雰囲気が薄いのは、サウンドがめちゃモダン。ほど良くハイファイでちょっとヌメヌメしたスムーズな質感もある。あとはまあ一応シンセがメインの楽器になるのだろうが、その割にシンセポップしてないというか副次的な使い方におさえていてナイス。本当に良い意味で色付けが少なくて、メロディが際立ってます。いやーこれはいいもん聴かせてもらったね。bandcampありますがフルで公開されてないので、つべも載せときます。