アヴァ・ルナがWestern Vinylから来月リリースするセルフタイトルの新作アルバムより二つ目となる先行曲をビデオ公開。
前回の楽曲もヘッドラインで紹介しましたが、ましたしても同レベルの高クオリティで出て来ましたので連続でトップ掲載です。今回も基本のNYアートロック・ポストパンクというところをベースに少しだけラテンの香りが漂う静かに熱いトラックで、2分40秒という短尺ながら、情報量の多いアレンジとギュッと濃縮された高密度のミックスにより、あまりその短さを感じさせない仕上がり。カルロスさんとフェリシアのツインボーカルも完全に違和感なくナチュラルに溶けこんでおり、楽器のような響きで、前メインボーカルが抜けたことのプラス面をより感じざるを得ない。本当によかったね。
あとこの曲、地味ながらパーカッションがハチャメチャに効いていて、全体のグルーヴ形成を完全にリードしてます。そこだけ聴いてられるレベルで凄い演奏。
My Wonderful Boyfriend – I’m Your Man
NYのマイ・ワンダフル・ボーイフレンドが デビューEP以来となるプロパー新曲をリリースしました。
昨年、そのEPからの先行楽曲を紹介した記憶があるけど今回も基本的にはそう変わらず、パワーポップとか少しだけemo入ったUSインディー系のシンプル目なサウンドがベースになっているのに意外と凝った楽曲構成っていうところが面白く、5分とそこそこ長尺の中でロードムービーのようにシーンが流れ、徐々に熱を帯びていく。
前も書いたけど初期Cymbals Eat Guitars系のやぶれかぶれ風ボーカルが非常に味わい深く「ハレルヤ」も自然と胸に刺さるいい声。アンサンブルからも若さと勢いがすごく感じられてフレッシュだし、正直まだ全然ピント定まってないけど可能性に溢れてて、ここからどう進化していくのが楽しみ。素材的には間違いないので注目株です。
UNIVERSITY – Bee
今年既にTransgressiveからデビューアルバムをリリースしているイングランド、クルーのユニバーシティがフォローアップで今月末リリースする3曲入りEPより先行シングルをビデオ公開。
シンプルな音色の4ピース編成で、シャッフルの演奏を少しずつ崩壊させグズグズになりながら、スクリームまではギリギリいかない歌唱でのたうちまわるノイズ・スラッカーロック・ブルースとでもいうような仕上がりで非常にクール。抑揚や細かい部分でのタイム感の突っ込み、引っ込みの加減が全体で完璧に共有された素晴らしいアンサンブルで、BPM的にはスローな部類なんですけどある種、つい一緒に動いちゃうくらいノレます。
紹介はしてなかったですが実はアルバムは少しだけ聴いていて、悪くない部分もあるけどあまりにもカオティックで疲れるし、ちょっとさすがにウルセーなと思ってたんですが、かなり趣を変えてきた今回の楽曲は見事にヒットでした。ずっとこれくらいで行って欲しいけど無理な相談だろうな。
今週のLP/EPフルリリース
Titanic – HAGEN (LP)
期待してたマベ・フラッティ擁するバンドの2ndフルレングス。Tin Angelから、厳密にはその暖簾分けレーベルUnheard of Hopeからです。
蓋を開けてみると先行トラックM-2が全体の中でも割と攻めたアヴァン寄りなやつだったみたいで、思ったよりも聴き易い内容。ただ音楽性が少し変化していて、空間を生かした室内楽ポストロックっていうような仕上がりだった前作から若干エレクトロニック寄りの印象になり、優雅なサントラみたいな風情は消失。OPNが1曲シンセ、Eli Keszlerがドラムと豪華ゲストですがあまりそれをプレスで打ち出していないのは好印象です。
今回はMabe Frattiがもう他のプロジェクトの時含めかつてないほどメチャクチャに伸びやかに歌いまくっており、ある程度エクスペリメンタルと言ってもいい音楽性の中にありながら尚「ボーカルを何よりも聴かす!」って意思を強く感じるミックスで面白い。歌唱だけ抜き出したらホントすげーポップですよ。でも装飾がややアヴァンでポスト・サムシングなんて安っぽくならないっていうボーナス仕様。まぁ実際その分、芸術点は少し犠牲にしてますが。
しかしこれ、全体的にこんなリバーブたっぷりの量感にする必要あったんかいな?演奏そのまま、もっとドライな状態で聴いてみたい感じもする。もちろん現行でも悪くないけどね。正直、選ぶなら前作の方が好きだし静謐な雰囲気は残して欲しかったけど、いまの音楽性もまだまだ「この先があるな」という洗練の余地を残したものなので、近い将来もっと凄いのが出てくることを期待。