GVVC Weekly – Week 351

bbreathrr – candytrip

ヤング・プリズムズのメンバーによるサイドプロジェクト、ブリーザーがニューシングルをリリース。昨年、FIre Talkから出ていたEPは10年前の作品の再発ですので新曲としてはいつぶりなのかわからない久々の一発です。
当然サウンドは変化しており、今風のニュアンスがほぼ入らないユルめの横ノリ90年代シューゲイズサウンドで、グラウンドビートとウワモノの浮遊感の対比がお手本のように鮮やかな構造。過去作や近年の本体バンドよりも更に健全というかダウナーな雰囲気が薄れていてクリアーに甘く間口の広い仕上がりですが、ドリームポップと呼ぶにはあまりにも、まだその呼称が存在していなかった時代のサウンドに直球過ぎて違和感がある。Pale SaintsのEPとかにもこんな曲あったような。でも悪くないから、この路線でまとまった作品出してみて欲しいな。


Gumm – New From the Pain

テネシー州チャタヌーガのガムが来月リリースする新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
2分弱で駆け抜ける清々しいまでのクラシックなDCハードコアに、往年のグランジが少しだけ入ってマイルドになったような音楽。絶妙に微妙な遅さ(速さ)のBPMと半シャウトくらいのボーカルで中途半端だけど、お手本みたいな展開と地に足ついたオーセンティックなサウンドと演奏で素晴らしくコンパイル。中盤のコードと音色があまりにもDC味あふれ過ぎて笑っちゃいます。
こういうのに反応しちゃうの、ついこないだFaraquet観たばっかりなのが影響してる気がしないでもないですがヨシ。別にファラケットに似てはいないです、DCくんだりの話。


Parts Work – Trenton

Hop Alongのフランシス・キンランは本体バンドの他ソロ名義もやっていますがこの度、更に別のユニットを始動。Thin LipsのKyle Pulleyとのデュオ、パーツ・ワークとしてのセルフタイトルデビューEPをアナウンスし、最初の先行曲を公開。リリースは実質的に自主のようです。
内容の方ですがフィドルがめっちゃ目立つ宅録系プロダクションのインディフォークで、かなり装飾が多く全体的に飽和した良くも悪くもアマチュアっぽいサウンド。とはいえそこまでとっ散らかっているわけでもなく、何よりボーカルが相変わらず強烈過ぎてソロ名義の曲だと言われても何もわからないし、なんというか彼女が歌ってればそれだけで成立するのでズルいね。もう少しシンプルなアレンジにしてくれればもっと好きでした。
しかし、なんだかんだこの歌唱を聴かせられると、やっぱりちゃんとしたバンドで聴きたい感じする。ホップ・アロングって明確には解散してなかったと思うけど、ホントにもうやらないのかなー。

今週のLP/EPフルリリース

Geese – Getting Killed (LP)

ものすごい傑作だと再生して数十秒でわかるレベル。1年くらい前に出てたキャメロン・ウィンターのソロ作もかなり良かったし、このバンド本体も早熟のデビューから順調にクオリティアップを重ねてきてたんでそこまで驚きはないけど、これ程のモノが3rdでもう出るとは驚きです。
最終的な近似値ラベリングとしてはアートパンクかポストパンクになるけど、アメリカーナとロックンロールの導入っぷりが秀逸で、それも表面上の小手先のものではない、独自のサウンドへの見事な昇華っぷり。2ndもその方向性ではあったけど、ますます小慣れて今回で完全にモノにした感がある。
これまでも要所要所で見せてきた、ちょいカオティックな側面も健在。時にフリークアウトし、また突然真顔になったりするボーカルのメリハリも素晴らしい。ずっとテンション張り詰めているわけでは決してないけど、朗らか目な瞬間でもどこか強烈なインテンシティがあって、シニカルというか、良い意味でトゲがある。録音も一発録りとかではないにしろエディット感の少ない生々しい響きで説得力アップ。
でもなんだかんだこの、頭でっかちに深く考え込んで作ってるような音楽にはおよそ聴こえないし、非常にフィジカルなもので、何よりも違いをもたらしているのは「色気」だなという結論になるかな。つまり結局、表現としてはロックなんでしょう。まだ半年近く先だけど、こりゃ俄然来日公演行きたくなってきたわ。