ベルギー、ブリュッセルの超ヤングバンド、ディーシー・ルーがデビューEPから新たな先行曲を公開。たまにある、楽曲のリリースと同時に出るビデオはライブ音源ってパターンのやつです。なんかライブ版の方が良いのでこちらにしときました。
2023年にシングルを出してますがそこから少し時間がかかり、ようやくまとまった作品をリリースするようです。まぁインディロックというか、ちょっとだけキラキラした音色を使いがちな路線のやつで若さ溢れる素敵な演奏。性急な音楽性ではないのですが全体的にすごく勢いとエネルギーがあり、後半ここでアゲてくぞってとこのインテンシティ、全員で共有してるタイム感が素晴らしく、バンドってイイなと思える。あと歌の子が特に、すごく肝が据わってて将来有望です。
曲自体も悪くないけど、ブリッジのとこの繰り返しメロディ、The Maríasのこないだのアルバムの楽曲にほとんど似たような箇所があるというか、キーも同じだしさすがに印象が同じ過ぎるな。
コレね。
一応、スタジオ音源のほうも載せときます。
Grand Eugène – Monstre
モントリオールのデュオ、グランド・ユージーンが単発のシングルをリリースしビデオ公開。
モントリオール、チープ系のリズム組み、ウィスパー系女性ボーカル、フランス語ときてMen I Trustと比べられることは避けられないスペックとなっておりますが、こちらはレイドバックして気の抜けたような雰囲気はなく、もう少しシリアス路線なので差別化できてるかな。明確にドリームポップとまでは言い切れない、行きすぎない微妙なドリーム成分と淡めのタッチがうまく音像をまとめ上げていて、ビンテージ感も中途半端なラインだけどこれは意味のある中庸。
ボーカルはなんだかんだ主役じゃなく、かといってフルバンドの演奏ではないのですが後半ちょっとジャムっぽい展開に突入してて、そこの説得力が意外と印象的で面白い。バンドでガツンとやったらもっと格好いいのに。
Katy & the Null Sets – Last Time/Next Time
ポートランドのケイティ・アンド・ザ・ヌル・セッツがまもなくリリースの次回作アルバムから最後の先行曲をビデオ公開。
いわゆるボサノヴァ風の楽曲に突如ブツ切りでディストーションギターのパートがカットインしてくるタイプのアレンジで、最初期のthe band apartと最近ではMei Semonesですか、つまり日本的なものばかりイメージされる手法ですがこちらは珍しく例外。
皆、簡単に思いつくけどあまりやっている奴はいないということはつまり、なかなか良くなりにくいということだと思いますが、なんとなくまあまあ上手いこと仕上がりました。あっさり目で終わるのと、ワンパートだけだからなのかな。
今週のLP/EPフルリリース
Sudan Archives – THE BPM (LP)
正直、今週はコレにするか悩んだ。で、結果的にはコレにしたわけなんですけど、二の足踏んだのは何故かっていうとまず聴いてもらったらわかるが、割とウチで忌避してるキツめのエレクトロニックの要素が少なくない割合で入ってる。
ただ彼女は正直、元々はこうじゃなかったわけで、最初期の頃かなり好きで聴いていたんだけど、どんどんエレクトロニックの比重が強くなり、必殺技のピチカートはますます影を潜め、空間が埋められていってもう、新しいのが出る度に「どうしてこうなった!」と思ってたわけです。
ところがまあ、フェアにみて、音楽性が好みかどうかは脇に置いて、今作は過去最高傑作でしょう。まずサウンドのクオリティ、洗練ぶりが素晴らしい。前作はちょっとアーシーでボトムの太いR&Bにエレクトロニックが付随してるような感じでしたが、今回はもっと高域に鋭さのある、鮮やかで、より今っぽい装飾が多くなり一気にモダンな音像に。ジャケのイメージもありますが、ホントにシンセティックなエレクトロニックに思い切り振った感じです。それも、従来の要素をスポイルせず完全にプラス要素として完璧に導入されてるので依然としてオルタナR&B的でもあり、これまでと地続きのモノとして何ら問題ない仕上がり。
どれか1曲、明確に派手なトラックがあるわけでもないけど、全体的にコーラスもフックのある部分が増えた気がするし、キツめに攻めたあとは少しマイルドなものを挟んでくれてたりと気の利いたトラックリスティングで聴いてて疲れないし飽きません。望んだ方向には進まなかったけど、望んだ方向に進んでくれてたら到達できなかったであろうレベルに完全に達した事を考えるとこれが正解だし、私の負けです。アルバム単位で年間ベストTOP5候補レベルの作品。