アッシュヴィルのSSW、ナタリー・ジェーン・ヒルが約4年ぶりとなる新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
ペダルスティールが冴え渡る今回の楽曲は、素晴らしかった前作のテイストから大きくは変わっていませんがサウンドがよりリッチに、艶が大幅にアップしており、素朴な純然たるフォークというような体様では最早なくなってます。ドラムも全編ガッツリ入ったSSWバンド的な構成でインディロックとギリギリ言えなくもない位のさじ加減。ブレイクからのテンポチェンジまでやっちゃう。
クレジットではドラムスの記載はなくパーカッションに統一してあるのでこういう音作りはもしかしたらこの曲だけかもしれないしちょっと他のトラックも出てこないと全体での傾向はわからないけど、コレ聴く限りではかなり期待できるかな。
Amanda Bergman – grasp
スウェーデンのSSW、アマンダ・バーグマンが昨年発表のアルバム以来となるプロパー新曲を単発のシングルとしてビデオ公開。
ニューエイジ風味ソフィスティポップにビート感をある程度しっかり際立たせてシュっと凛とさせた、まるでCassandra JenkinsとThe Weather Statonが融合したかのようなよくばりサウンド。どこか北欧らしさもかなり感じさせる洗練されたSSWバンドのアンサンブルで非常にジェントルかつ強度も犠牲にしない理想のバランスです。
もとよりちょっと空間系強めの傾向ではあったものの、前作まではもう少しシンプルにフォーク、SSW風だったのに1年でやけに音像が進化しましたね。
Euphoria Again & Dogwood Tales – Destination Heaven
Knifplayのジョン・クレインによるソロプロジェクト、ユーフォリア・アゲインがALTカントリーバンド、ドッグウッド・テイルズとの連名ジョイントアルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
ペダスティールやエレピの入った脱力モダン・アメリカーナにゆるめのレイジーなオルタナロックをプラスしたサウンドで、Nap Eyesと初期Yuckが融合したような感触。少しだけローファイな質感ではあるものの、カラっとしてはおらず寧ろちょっとセンチメンタルでemoのニュアンスもわずかに感じる。Horse Jumper of Loveとかも比較対象かな。この曲は凄く良いけどなんか計算された仕上がりではなく偶然の奇跡な雰囲気をちょっと感じるので他も聴いてみたいです。
Monster Rally – Incredibly Blind (feat. TV Girl & X-Cetra)
モンスター・ラリーが初のボーカル入りアルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。歌唱は当然というかゲスト陣が担う構成のようで、中でもこちらの楽曲はまもなく来日公演のTV GirlとボーカルにはまさかのX-Cetraを起用したスペシャル仕様。
正直、この名義の印象としてあまりにも歌モノのイメージが無いのでリファレンスに乏しく、クレジット見ずに聴いたらコレただのTV Girlの新曲としか思いません。10年以上前もTV Girlとはコラボ曲出してたけど、その時以上にモロTV Girlなんですが仕上がり自体の出来は良くリードに持ってきたのも肯ける、レイドバックした愛らしいサンプリング・インディポップでTV Girlの2ndの頃の空気感をヘナヘナに蘇らせた、当時のリアルタイマーとしてはノシタルジーすら感じる雰囲気で軽く泣けます。
ゲストによりカラーが違い過ぎそうでどんな作品になるのか全然想像つかないけど、まぁ楽しみは楽しみ。
今週のLP/EPフルリリース
Rosalía – LUX (LP)
超がつく大傑作だったMotomamiを経てもう完全にスターと化した状態、それが当然になってからの新作はなんと前作に並ぶか下手したら超えてる仕上がり。一体どんだけなんですかアナタ。
今回、前作までは残っていた少しガラの悪いレゲトン的なテイストの部分は遂に消失したと言ってもいい調整で、インディ的観点からするとここは大歓迎。それゆえ、もう純然たるアートポップ〜クラシカル・エクスペリメンタルポップみたいな範疇にフォーカスされており、良い意味でよりオーヴァーグラウンド寄りになったビョークというか、当人が実際に客演で参加もしてますが、それ以上、最盛期のビョークを超えるマスとアートの架け橋と言える存在、内容になってます。なんだかんだメチャクチャ聴きやすいからね。
いや本当にすごい。何がすごいって一番はそりゃ圧倒的にこのボーカルなんですが、相変わらずスペ語で内容がわからないのにこの求心力。紛れもなく神に選ばれし人間だし、この声が既に芸術。見た目もなんか突き抜けてるし、一体どこまで行くんでしょうね。
ケチをつけるとしたらやっぱ長い。こんな抜きの無いガチガチの内容で15曲はしんどいよ。ちなみになんか中盤で1ブロックだけ日本語で歌ってる変な曲がありますが、それもいらんかな。まあそのへんを差し引いてもオススメです。ここまで良いともうメジャーとか関係ないね、悲しいかな。
