フローティング・ポインツが単発のニューシングルを自身のPlutoからリリース。
今回はエレクトロニックを排し、完全にジャズモードのバージョンで、アートワークの類似性からも10周年エディションが出たばかりのElaeniaやKuiperの延長かと思われますが、その頃よりも更に思い切ってナチュラルな生音仕様に。
非常に洗練された仕上がりで、全編に渡りヴィヴラフォンが主役なのと完全にはジャズではなくポストロック的なダイナミズムも感じるので、どうしてもトータス周辺やThe Dylan Group~mice paradeのテイストをイメージさせるトラックになってます。
面白みには多少欠けますがテクスチャー、サウンドのクオリティは素晴らしいですし、好みだけで言ったらこの人のこれまでで一番好きかも。これでアルバムまで作って貰いたい。
Commitment – Hellraiser
フィラデルフィアのコミットメントがGet Better Recordsと契約してニューシングルをリリース。
クレジットとプレスリリースを一切確認せずに音聴いてあまりにもSOUL GLOっぽいなと思ったらドラムがSOUL GLOのボーカル。なるほどどころの騒ぎではないし、あっちのバンドもほぼコイツ主導ってことなんだなと理解です。
全体の流れの抑揚やダイナミックなアレンジのクセが似てるとはいえ、こちらはより純粋なハードコアパンクのサウンドで仕上げられておりシンプルな印象。高インテンシティですがやり過ぎず、そこそこ良い意味での軽快さもある。
この女性ボーカルはLe Sirenという自分の名義でも活動しているようですが、そちらはいわゆるインディフォークみたいな音楽性で180度違う印象にビックリ。こういったハードコアボーカルは正式にはこれが初挑戦みたいですが完璧に様になってて凄いね。
今週のLP/EPフルリリース
Melody’s Echo Chamber – Unclouded (LP)
この時期もうリリースが少なすぎて選択肢がなく、メチャクチャ良いわけじゃないけど書くことがあるやつくらいで掲載するしかない。直近作は未発表曲集なのでノーカンとして、プロパーのフルレングス前作が本当に素晴らしかったメロディのニューアルバムは引き続きDominoから。
先行のM-4を紹介したと思うけど、まあ、今回ヒップホップ系のビートで行こうというコンセプト自体は良しとしても、その肝であるゲストの著名ドラマーの演奏が明らかにハマっておらず、お互いに損する残念な仕上がりに。いや上手いよ、上手すぎる位だし、いかにもマッドリブやDJシャドウのドラマーと言われて納得するようなプレイだけどシンプルに合ってない。これもっとローファイヒップホップ的なベタベタのリズムマシン等のほうが恐らくマシに成立したと思われる。
どうしても彼女の歌やウワモノがドリーミーサイケのフンワリ系なもんで、タッチを多少軽めにしたところで小手先では実際ガシガシ細かく叩かれるとあまりにも浮くし、フレージングどうこう以前にハネぎみのノリがもう絶望的にマッチしてない。ドラムを最後に入れた?と言いたくなるレベルです。でもね、敏腕ドラマー連れてきて「のっぺりプレイしてください」と言うわけにはいかない。そりゃそうなるんよ。
曲は相変わらずだけど悪くないのもあるだけに勿体ないです。Dungenによるバックアップの時は逆に演奏の息遣いもアレンジも完璧でなぜあんなに良かったのか?おそらく現場全員であのプログレサイケ絵巻のビジョンを完璧に共有できてたのと、付け焼き刃の親交ではなかったのもあるでしょう。今回のプロデューサー(同じくMadlib陣営)とこのドラマーに、メロディの音楽性への理解度、ひいてはそもそもこの手の音楽にどの程度造詣があるのかって部分の差でしょうね。
いや、1曲だけとかなら別にこの程度の仕上がりでもまあ許されるけど、アルバム全体この調子だからさ。そんなこんなで、悲しいかなハイライトはドラムが一番控えめに、イーブンぎみにプレイしている(めちゃくちゃ叩き辛そう)小品のM-10がベストトラックです。
年末進行により、いよいよリリースが無くなってきましたのでウィークリーの年内更新はこれが最後かもしれません。来週もまだギリあるかもしれないけど微妙。年末リストは出す予定ではいますが期待せずにお待ちください。
