Create Vinyl with Bandcamp

かなり注目のサービスがバンドキャンプ(Bandcamp、以下BC)から発表されました!

https://daily.bandcamp.com/2019/04/17/create-vinyl-with-bandcamp/

基本はクラウドファンディング形式というか、目標額があり、達成すればそこで初めて
BCがレコードをプレスして、購入希望者に発送してくれるというサービスとなっています。
現在はまだベータ版でして、テストとして選ばれた一部のキャンペーンのみ開催中ですが
年内には全レーベル、アーティストに解放され通常利用が可能になるということなので、
完全無名の個人ミュージシャンでも使えるサービスだということですね。

キャンペーンページにて支援者は任意のプレッジ額(購入額 = 支援額)を選択して
オーダーします。ヴァイナル盤とそれのデジタルDLは基本的に必ず特典に含まれていて、
それ以外にもアーティスト側が色々と特典を付けて、内容に応じた金額を設定できます。

選択したプレッジ額から、任意で設定されたデジタルアルバム料金分のみがその場で
徴収され、残りの差額+送料はキャンペーン達成(ヴァイナルプレス)となった際に
はじめて支払われます。尚このサービスは新作に限らず、デジタルのみの既発作や、
既に一回ヴァイナルプレスしているもののリプレスなどでも利用可能ということですね。

参考ページ

レコードのデザインは自由ということなので組数・重量・回転数からワックスカラーは
当然でしょうが、ジャケットの特殊加工、特殊印刷、ラベルのシールなどにも
柔軟に対応している可能性はあります。そしておそらくこの辺のディテールに応じて
ミニマムの達成金額が変わってくるのではないかと思われます。7″もいけるのかな?

レコードプレスに60年以上の経験を持つマニュファクチュアリングパートナーが
音も見た目もバッチグーの仕上がりを保証してくれる云々と書いてあるので
ヴァイナル用のマスタリングや調整もちゃんと行ってくれるんでしょう。

現地時間4/17に公表されたばかりで、今出ている4つは残り30日になってるので
1か月のキャンペーン期間だったみたいですが、こちらも固定ではないかもしれません。

いざ作品を完成させて、さてヴァイナル盤でのプレスというのは、それが最善なのは
わかっているけども、リスクが高すぎる故にどうしてもある程度バイタリティのある
レーベルやミュージシャンでないと難しい、という現状があるので、そこに一石を投じる
サービスということですね。何よりもまずフィナンシャルリスクの回避というのが
インディ至上命題みたいなところあるので、考え方的には本当に正しいと思います。

価格は自由に決めれると書いてますがそれはプレッジ額の値段のことなので、
まず通常の33回転1枚組をプレスするのに目標額のミニマムがおいくら万円なのかと
最小ロット、そして達成した際に購入者に発送した後、余りのストックはどうなんのか、
また集めたプレッジ金額のうちの何%をBC側が持っていくのか等々、
依然不明点は多いです。この辺りの細かい仕様はフルローンチを待つしかないですね。

一応、今出ている一番低い目標額は4,700USDでミニマム1口25ドルということなので
約200人、日本円にして50万強〜って所だからハードルはそこそこ高いワケなんですけど、
発売してみないと売れるかわからないという問題点が完全に回避できる上に、
その側面だけなら既存のクラウドファンディングと同じとも言えますけど、これは達成後に
実際のプレス・発送まで全部BCがやってくれるし、そもそも自分のBC上のページで
直に受注できるワケで、金銭的なリスクゼロで実際にヴァイナルレコードのオーダーを
取ることができるんですね。そういう意味では他にないサービスになる気がします。

買う側・支援側としても、ありがちなキャンペーン達成後のトンズラや配送遅延のリスクが
限りなく低いということもあるので、購入しやすいですよ。達成までの実際の金額は常に
可視化されてるので、金額を増したオマケ付きパックを充実させれば1口に幅が出ますし、
そもそもオーダー時点でデジタルアルバムはDLできるので、アナログ盤も出る事になったら
その時にはじめて代金が引き落とされてフィジカルが届くっていう流れになるので、
これレコードでも出るのかな?出たらいいな、というファンと、レコードでも出したいな、
でも採算取れるかな、過程でトラブったら怖いな、というミュージシャン側の
双方の心理的ハードルを下げるいい試みだと思います。正式ローンチをお楽しみに。