GVVC Weekly – Week 118

Moontype “Ferry” (Official Video)

シカゴのスリーピースバンド、ムーンタイプが単発シングルをリリースしビデオを公開です。
フォーマット的にはファズを効かせたスロウバースト系のオルタナ・ロックですが、不穏な
空気感は一切孕んでいない、パワーポップ寄りなモノですかね。女声ボーカルのメロディが
すごく流麗で、旋律自体と生ぬるい系の声質をダブルに重ねているそのサウンドとの対比が
なんか面白く、コクがある音像に。後半のギターワークもかなり凝っていて、単純にイイ曲。
5分半ですが、長尺曲に厳しいことで有名な私をしても長いと感じさせない位素晴らしです。

Katy Kirby “Cool Dry Place” [official audio]

ケイティ・カービィが来年2月にリリースするデビューアルバムからタイトル曲を先行公開。
前回のTap Twiceも紹介しましたが今回も温か目のインディ・フォークロックから終盤急に
アンサンブルが熱を帯び、オルタナ感のあるダイナミクスを伴ってクライマックスに雪崩れ
込むという、同じようなこの構成が十八番なんですね。全体的に塩味なんですけど凛として
いながら柔らかくしなやかでウォームなのと、意外とイナタくない、スタイリッシュさも○。

Bored At My Grandmas House – Skin (Lyric Video)

リーズの女の子による一人宅録ユニット、ボアード・アット・マイ・グランマズ・ハウスが
デビュー作EPより2つ目の先行シングルを発表です。掲載はしてなかったですが前回の曲も
割と良くてチェックはしてた、まず名前がいいんだよね。見た瞬間、その感情っていうかさ、
どういう精神状態の事か完全に伝わるでしょ、万国共通というか。音楽の方は割とドリーム
成分強めのDIY系インディロックでしてクオリティ的には全然ですけどフレッシュさ抜群の
サウンドになってます。出てきた時のWild Nothingとか確かこんなような音像だったよね。
ちなみに、デモバージョンは今年序盤に公開されていた楽曲で、まだYoutubeにあります↓

うん、デモの方がいいと思う。

Bored At My Grandmas House – Showers (Music Video)
こちらが一つ前の先行曲ですね。EPタイトルは”Sometimes I Forget You’re Human Too”

Modern Hut – I Don’t Want To Get Adjusted To This World (Official Music Video)

ドン・ジョバンニのボスによるプロジェクト、モダン・ハットが年明けにリリースするLPの
タイトルトラックを公開。スタンダードなインディ・フォーク・デュエットになってまして、
すいませんがこれはもう曲名が全てです。禿げ上がる程同意、としか言いようがないですね。
スクリーミング・フィメールズのボーカル、マリッサが全編全面的に参加しているようです。
年末にこれは沁みるね。皆さんご一緒に”I Don’t Want To Get Adjusted To This World”

Muzz – Fade Into You (Mazzy Star cover)

インターポールやウォークメンのやつが始めたスーパーバンドのカバーEPからピックアップ。
この曲を原曲アレンジまんまでやっちゃう勇気に乾杯。しかも悪くない、でもやっぱりこれ
ホープ・サンドヴァルのあの胸焼けするほど甘すぎる声とねっとりした歌唱ありきかなぁ、
とも思ったけどインターポールの人って考えようによっちゃのその男版みたいな所あるから、
ある意味互換性があるかもね。最後に入るシマーのサウンドがかなり微妙で無い方がいい。

ちなみにこの曲の男声でカバーといえば、今まではJマスキスのバージョンだったりするよ。

The Drums & Jonny Pierce – “Ambulance”

ジョニー君独りになってしまったドラムズは何故かこの名義表記にしてもうしばらく経つね。
いや、アンドってそのお前自身がむしろドラムズなんだろって感じでなんか面白いんだけど
最近は単発でシングルをちょいちょいリリース。その変遷と音聴いてると精神状態があまり
よろしくないであろうことはなんとなくわかる。今年も確かメディテーション用の楽曲とか
出してたし…でも、この曲はなんか2部構成で、ちょっとその傾向が良い方向に発現してる
稀有なバランス。後半はエピックトランスみたいな多幸感と初期のポップ爆発が融合してて
カタルシス指数が高めです。デュオ体制後期も良かったし人懐っこいのよ、この人の音楽は。

今週のLP/EPフルリリース

hamburger – Teenage Terrified (EP)

先行のM-5がすごく良い曲で、バンド名になんか合ってるし気になってた。全体思ったより
泣き虫ウェットでショボくれており、あまりにもナイーヴで内省的でビビります。わたパチ
食ってるみたいな感じというか、ナードのやけっぱちロックというようなのより遥かに弱い
何か、繊細で好きだけど、生きて行けんのかこれ。しかもバンドです、6人くらいいるんだ。
それでこの音って一体どうなってんだよ。ヴィーガンのファストフードで意気投合したとの
事ですが、ぶっ壊れそうなほど儚いスパークルホース風ビルト・トゥ・スピルって感じだね。


Nilufer Yanya – Feeling Lucky? (EP)

この人はほんと不思議で、真の意味での折衷感というか、ごった煮センスがあるね。自然と
アウトプットした結果でこれなのかな。ソウル、R&Bっぽさも明確にありつつ、しっかりと
オルタナだし、80’sポップみたいな趣もある。それでいて歌声がすごくシックでクラシック
なんだよね。そこで一気に上(じょう)モノっぽくなってるというか大人っぽくなってる。
おまけに見た目もパンチ効いてるし文句の付け所ないよね、ダメになるイメージがわかない。

EPリリース当日にM-2のビデオカットも同時公開


Alaska Reid – Big Bunny (LP)

ソロになる前にいい曲があって、それ以来出す曲は全部聴いてるんだけどイマイチこれって
曲が出ないんだよな。何度も言ってるけど、この子はなんか人間的魅力の部分で周辺に重用
されてる感が凄く伝わってくる。フォトジェニックだし、冬の吐息の白さや肌で感じる温度
とかそういったもの、情緒や季節の移ろいみたいなものを増幅させる、ミューズ的な風情が
あるんだよね。まぁそれを勘案したとしても、今のこれはこれすごい中途半端で微妙だから
バンドの時みたいにドラムが生でバリっと入ってるオルタナサウンドに戻したがいいと思う。
このままなら女優になった方がいいと思うし、もう一声。あと、そのウサギでか過ぎだろ。