一年ほど前から単発で楽曲をリリースしているアトランタ在住SSW、ベッカ・ハーヴェイの
プロジェクト、ガールパピーがAlvvays等の輩出で知られるRoyal Mountain Recordsから
デビューEPを8月にリリース、最初のリードトラックをビデオ公開です。かなりウォームな
手作りインディ感溢れる淡い音像で、ソフト・ピュア・ドリーミーですが空間系水浸し路線
では無く、素朴に甘い感じで彼女のビジュアルイメージとの相性も完璧とあっては、非常に
ベクトルのわかりやすいパッケージになっており、素晴らしい。名前もいいと思う。ただし
すべてが順張りというか一切の意外性がない素直なディレクションなので、すぐ右から左へ
すり抜けていってしまいそうな印象もある。初期ワイルドナッシングを更に薄味にして儚く
ガーリーにしたような音像で、マーケ的には日本ウケOK、ユミゾウマはもとより最近では
girl in redのその後進んだ方向性がハマらず、初期路線を切望する向きにもベストフィット。
以前はジョニミをカバーしたりもっとSSW風の楽曲だったので今後どうなるか不明ですが
レーベルもいいとこだし見た目も良くて最初でコレなんで、すごく伸びるかもしれないです。
LUMP – We Cannot Resist (Official Video)
7月末にリリースとなるローラ・マーリングとTunngのユニット、ランプの新作アルバムから
三つ目なる先行曲ビデオです。既発二曲とまた違う趣で、一時期のセント・ヴィンセント的
ねじれストレンジ・アートポップ路線になってまして割とおどけた雰囲気の楽曲でありつつ
ローラの凜とした清廉なボーカルで逆方向にバランスを取っている不思議な音像をしてます。
ローラの無駄遣いというか合ってないとも言うんだけどこれはこれで他にないサウンドだし
まあ目新しくはある。割とバラエティに富んだ楽曲群っぽいので、コラボものとしてはアリ。
alexalone – Eavesdropper [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
HovvdyやLomeldaなどにライブバンドメンバーとして参加するギタリスト、アレックスが
ポリヴァイナルからリリースするデビューアルバムより二つ目となる先行楽曲をビデオ公開。
今回はビート・ドリヴンなサイケ・クラウト・ジャムのややヘヴィなバンドアンサンブルで、
バスドラのミュートとして使われる『ぐでたま』とすみっコぐらし的なぬいぐるみにも注目!
Smile Machine – “Pretty Today”
バーティーズ・ストレンジ他複数のバンド在籍女子ドラマー、ジョーディン・ブレイクリーが
自身のプロジェクトとなるスマイル・マシーンを始動しデビューEPをリリース。そちらから
二つ目のリード曲がビデオ公開になってます。一瞬シューゲイズと言いそうになるが、実際は
楽器隊に空間系はそれほどかかっておらず単にファジー、ダイナソーJr的なギターサウンドに
線の細いボーカルを重ねて浮遊感を出しているスタイル。Bleeding Rainbowあたりの路線を
骨太で無くした、もとい骨粗鬆症化したカンジで、爽やかなスワーヴドライヴァー的な趣も。
この表現ね、その昔スト◯イ◯ナーがMステに初めて出た時『骨太ロック』と前口上で紹介
されてたのにO.A.で異様に音がショボく、むしろ骨粗鬆症ロックと揶揄されてたのがホント
可笑しくて、いまだに使わせてもらってます。骨太ロックの対義語ってことで皆さんも是非。
PORIJ – Ego
マンチェスターのポリッジによる新作EPからのトラックです。Disclosure聴いて育った世代
って感じで、(カバーもしてる)2ステップ・UKガレージの流れをモダンエレクトロニック
サウンドにしたチャラめのダンスポップはいかにもイギリスらしい。かなり楽曲の振り幅が
多様で、他には聴いてらんないくらいキツい楽曲もあるんだけど今回の曲は軽めで好きかな。
昨今ベースミュージックっていうあまりにフワっとした定義で呼ばれてるものを、極限まで
ライトにとっつきやすくしたような最適化された音楽。メインボーカルの線が細くていい。
しかし本当UKってこんな感じだよね、聴いてすぐわかる。これでUSのだったらマジビビる。
Maisie Peters – Psycho (Official Video)
カーリー・レイ・ジェプセンとハンナ・ダイヤモンドを割合50:50で混ぜたらこうなります。
絶妙なパク…オマージュの手腕が鮮やか過ぎて、ちょっともうあっぱれって感じだったので。
明らかにオリジナルの意匠ではないけど、成果物がなんかイイ感じだった時扱いに困るね。
どこまでも軽薄に人工甘味料、合成化合物で防腐剤インスタント!You still call me サイコ♪
今週のLP/EPフルリリース
Izzy Johnson – earth tones (LP)
ふ、ふつくしい…。イントロ導入がドリーム・フォークの音響だけど、その印象からすると
本編はもう少し現実世界寄りでの出来事に聴こえるが、イシリアルとアシッド・アーシーの
狭間で揺れる幽玄サウンド。でも鈍い色彩は確かに感じるのでグルーパー的な印象ではなく
もっと瑞々しいやつで、ボーカルがものすごく素朴というか響きがなんかカワイイんだよね。
M-3とか湖畔の森で木漏れ日を浴びながらまどろんでるイメージ。穏やかでフラットな自然
環境を感じさせるのがいい。自然讃美行きすぎると一気に霊的にスピり過ぎてきてしまうが
これはあくまでもニュートラルにナチュラルで心地よくビューティフル。多分アンビエント
分類になってしまう音楽かもしれないけど、もっとオーセンティックなフォークの趣を強く
持ち合わせているところが強み、特色だしそこが不思議。今年聴いたこの手でベストだね。
タイトルのつけ方もいいじゃない。コレでDriftlessからのリリースってのも、意外だし素敵。
Molly Lewis – The Forgotten Edge (EP)
先行M-1の時も載せたけど、このサウンドでボーカルなしだと自分のレパートリーではもう
Les Baxterしか思い浮かばない。誰に聴かせてもまず『昔の映画のサントラ』的と答える
であろう音楽だけど、エキゾ・ラウンジ・トロピカル・ジャズをバックにずーっとこの気の
抜けた口笛が出ずっぱりで、ちょいちょいスキャットが入ってくるし割と陽気なというかね、
ラウンジといいつつちょっと躁っぽい部分があって、その辺は面白いかな。でもこれならば
もう普通に歌えよって感じというか口笛縛りにする必然性はないんだけど、それを言っちゃ
あらゆる妙技、メインにならんような楽器のソロ、主役の音楽って全部それなんですけども。
ジャグジャグウォーのイロモノリリースってとこで拾ったが、誰か得をしてるのだろうか…。