サウンド・オブ・セレスが来月リリースする新作アルバムから、三つ目となる先行曲を公開。
ファンタスティックで幻想的な、スケールのでかいポストロック・アートポップサウンドで
傑作だった1stでも見せていた特徴的な進行の音階、深過ぎる洞穴のリバーブで暴れまわる
ビッグなドラムと今回はまさにその十八番のサウンドをいかんなく発揮しており素晴らしい。
やりすぎるとイロモノ化するかなりギリギリの線を攻めた音楽性だと思うし、LP全体では
よりアブストラクトな面も見せるがさじ加減が難しく、この程度の調整がベストに感じる。
ロードオブザリングと現実の世界自然遺産との中間くらいで、七色に輝くサウンドスケープ。
Tex – Skyline
マルメ出身ということでスウェーデン系、現在コペンハーゲン在住のテックスがロンドンの
ヤング(タークス)スタジオで制作した楽曲をシングルとしてリリース。実質的にはこれが
デビュー曲みたいで、いきなしイーサン・P・フリンがプロデュースかつ共作クレジットと、
鳴り物入りのスタートです。以上の背景からしてある程度は当然ですがなかなか良い出来で
気の抜けたベッドルーム・ローファイR&Bポップみたいな楽曲にダブステ以降のソリッドな
UKビートの雰囲気がほのかに香るアンビバレントなプロダクションのトラックで面白いね。
1曲じゃまだ何とも言えませんがかなり若そうだし、早く全容を確認してみたい感じはする。
Pine Barons – Night Cruising (Official Music Video)
フィラデルフィアのパイン・バロンズが、フィッシュマンズのカバーアルバムをアナウンス。
最初に公開されたのはもちろんあの曲です。これポイントは、歌詞を英訳しちゃってまして
それが非常に素晴らしい。この形式もっともっと増えていってほしいし、自然に聴けるから
嬉しいです。正直、アレンジの方もベース以外は原曲よりいいと思いますし、コンパクトに
纏めたのもグッドです。ただね、ベースだけは差があり過ぎるし、特に許せないのが最初の
1音目伸ばすなと。そこが一番くらいの肝だろと。歌唱もちょっと軽薄な感じがありまして
随分と印象が違ってきますね。しかし、単曲じゃなくLP全体丸々カバー作とは恐れ入った。
Rapport – “Going Nowhere” (Official Video)
トロントのラポートが7月にArbutusからリリースするEPより最初の先行曲をビデオで公開。
ハウス化する前のMoon KingやBorn Ruffiansのライブメンバーだったマディ・ワイルドが
新たに結成したバンドで正直トップスあたりに引っ張られてる音楽性には感じるが、ABBA
とかみたいなのから、コーラスんとこなどもはや日本の80’s歌謡バンドみたいにも聴こえる
レトロ・シンセ微ソウルポップみたいなサウンドで、前回のデビュー曲より今回のが良いね。
ビデオもボーカルのマディが様々なバージョンのペルソナを演じ運転してく中々の面白映像。
Hollie Cook – Happy Hour (Official Video)
ホリー・クックが6月にリリースするアルバムから三つ目の先行曲はオープニングトラック。
相変わらず、フォーマットとしてはインディというよりオーセンティックなレゲエ・ソウル。
なのにあのMergeが世に放つ意味っていうのはリリースにもある通りで、このいい意味での
淡白さとクセのない歌唱、土着の音楽の厭なのはボーカルがクドかったりラフだったりする
っていう点で、この人はそこがクリアされてるから素晴らしく、どインディからの流れでも
スムーズに聴けるし、繋げて流せる共生可能なユーティリティ・ソウルミュージックですね。
しかしどこまで意図しての事なんだろ。血肉となるほどにソウルやレゲエ聴き込んで影響を
受けてたら、こんなあっさりした歌唱になるかな?そういう意味では大変に不思議な存在。
今週のLP/EPフルリリース
N KRAMER – Altered Scenes and Slight Variations (LP)
昨年のJ Foersterとの連名作も実に素晴らしかったし、LEAVING REC継続で納得の単独作。
まあなんつーか「俺の好きなアンビエント」としか言いようがないが、全ては基本柔らかく
丸い音像がオーガニックに響く淡い光のレイヤー、そこに鋭利すぎないインテリジェンスと
固すぎない建築的ミニマリズム。勿論オールアナログなわけはなくエレクトロニックですが
これは電子音響じゃなくて明確に「環境音楽」だし、フィールドレコーディングやASMR的
サウンドも挿入具合がライトで、甘いムードを削いでないのが優秀。吉村弘とかジブリとか
そのへんは感じるが、もっと色が付いてなくて自然なんです。店でかかってたら非常に良い。