GVVC Weekly – Week 188

A. G. Cook & Alaska Reid – Seeds (Official Video)

Alyeskaで活動していたアラスカ・リードがAGクックとの連名で発表した新曲ビデオです。
こちらは単独作ではなく野鳥保護ベース環境保護団体へのチャリティコンピ作に収録される
トラックで、他にもかなりビッグネームが名を連ねているのですがその中でもこちら非常に
素晴らしい出来かと。一昨年のソロ1stフルアルバムのどの楽曲よりもしっくり来ているし、
繊細めなオルタナフォークに、少し渋めな彼女のボーカルとあのA. G. Cookのシグネチャー
エレクトロニック・ドンシャリサウンドが珍しくほどほどの控えめに鳴らされて完璧に融合。
いつもの無思慮な感じにならず純粋に鮮やかさだけを加えていて、彼の全ての仕事の中でも
これが一番好きかな。アラスカはやはりプロデュースされて化けるタイプかなと思いますね。

Goon – Angelnumber 1210 (Official Video)

LAのグーンが7月にリリースする新作のプロパーアルバムから最初の先行曲をビデオで公開。
クリーンギターがベースのダイナミックで自然なオーガニック・インディロック系の楽曲で、
初期リアル・エステイト等とナチュラル路線のUSポストロック中間地点のようなサウンド。
まどろむような雰囲気の中に少しだけ渦巻いたダークなニュアンスがいいスパイスになって
エヴァーグリーンと太陽のサイケに影を落とすシネマティックな音楽として成立させてます。
ボーカル少し弱いのが逆にサントラとして響くムードを削がず、アンビエント風ですらある。
ヴァイナルはなんと来年2023初旬とかでマニュファクチャリング大変なことになってます。

Ganser – People Watching (Official Music Video)

シカゴのガンサーが独りになってしまったLiarsのアンガス・アンドリューのプロデュースで
ニューシングルをリリース。新作アルバムからの先行などではない単発のモノのようですが、
エッジな不協和音を挟み込むノーウェイヴ感を纏ったポストパンクサウンドが実にクールな
仕上がりで、ドラムを強くフィーチャーした派手めのボトムでダンスにも行けるミックスは
まさに一時期のライアーズの要素をプラスしたような楽曲。余り派手に盛り上がらず淡々と
静かに熱い展開はヒリヒリしてますがドライ過ぎず、程よくウェットで聴き易いと思うな。

Calvin Harris, Dua Lipa, & Young Thug – Potion (Official Video)

カルヴィン・ハリス新作アルバムからの先行リード曲はなんとデュア・リパとヤング・サグ
ダブル起用のスーパーシングル。いやこれは…凄すぎる組みわせだし実際めちゃくちゃ良い。
前作アルバムの延長線上にあるヌメっと滑らかなラグシュアリー・プールサイド・ダンスは
ギターとベースとドラムの3点セットが現実的に響いてインディフレンドリーにも聴こえるし
コンサバなのに下品ではなくサウンドクオリティは折り紙つきと、ウチら周りからの評価も
バッチリ得られる反則サウンド。それでいて誰使ってもとんでもなくポップに鳴るのはなぜ。
しかしこの人の音はほんと特徴ある、格が違うわ。デュアリパも自分の曲より全然輝いてる。

Momma – Lucky (Music Video)

ブルックリンのモンマが7月の頭にリリースする新作アルバムよりこれで4つ目となる先行曲。
前回のトラックも紹介しましたが、やはり良い。外形的には非常に90’sっぽさ溢れる純粋な
オルタナ・ギターサウンドですがポイントは乾いたムードとこの甘さ。メロディそれ自体を
極端にシュガーコーティングするでもなく、節回しや息遣いで恋愛だったり感傷的な風味を
絶妙に付与するこのボーカルが、外見のキャラクターも相まってホント効いてて甘辛なのね。
あとはスリーピースでかなりシンプルなアレンジの部分もプラスに作用していて、硬派です。

Sky Ferreira – Don’t Forget (Audio)

スカイ・フェレイラが約三年ぶりのプロパー新曲を公開。こちら数年前ライブではとっくに
披露されていた楽曲で、いったい何年延期してるのかわからないセカンドアルバムには当然
収録されるトラックです。本人いわく今度こそ「年内には100%」出るらしく、もはや誰も
話半分でしか聞いてないと思いますがさすがに本当でしょうね。ジョージ・エルブレヒトに
Tamarynらが全面参加・プロデュースで、Ariel Rechstaidもかんでいるようです。この辺が
関わっているところが最も興味持てる部分で、今回は一時多かったヒップスター系というか
ファッショニスタ風シンセポップという塩梅の一曲。特段良くもないですがご祝儀掲載です。
新手の出す出す詐欺とか、お騒がせ枠のキャラクターが立ちすぎて正直イロモノ化してるの
払拭するのはなかなか難しいと思うけど、なんだかんだ出せば売れるだろうし、みんな注目
してることは間違いない。1stのレコードはエロジャケ枠で謎に高騰してしまってますしね。

今週のLP/EPフルリリース

Just Mustard – Heart Under (LP)

もう楽曲やアレンジ以前に出音というか鳴りをサッと聴いた時点でもうハイOK、通ってよし
となる音楽ってあるけどコレはまさにその枠。不穏でメタリックなムードが漂うセクシーで
スモーキーなオルタナ・ポストハードコア的なサウンドなのに、女性ボーカルはかなり甘め。
このバランスが芸術点高いし、アンサンブルは強靭かつスマートに暴力的でジャンクさまで
醸し出す。シェラック辺りが色気づいたような雰囲気というか、勿論ダークではあるのだが
いわゆるゴス方面には一切振れてないのも非常に高ポイント。曲もコンパクトでテンポよく
聴き進められるし、雑な感じを受けない丁寧で端正な構成。深く歪んだままアンビエントな
凝ったギターワークも挿入されるが、間延びした感はなく冗長な自己満展開にはならない。
先行のM-2は年間ベストトラック入り内定。一言、「格好いい…」しか感想が出ないですね。