メキシコのチェロ弾きSSW、マベ・フラッティによる新プロジェクト、タイタニックがTin Angelからのデビューアルバムをアナウンスし先行曲をビデオ公開。
ソロ諸作ではフィールドレコーディング・アンビエントにチェロとボーカルが入ってるというようなスタイルの印象がありますが、こちらのユニットではより歌モノ楽曲としての体裁が整ったスタイルで、深くジャジーにダークなポストロックが芸術点の高い仕上がり。映像も込みで不穏なイメージも多分に伴うものの、全体的に流麗で美しく緊張感がやや解放される方向性に進みフェードアウトしていく展開もスムーズで非常に好みです。
ちなみに稀によくある( )どっちが作家名でどっちがタイトルなのかわからん現象が発生してまして、入れ替えてもイケますね。ティン・エンジェルって良いレーベルだなぁ〜。
Joseph Shabason – Jamie Thomas
ジョセフ・シャバソンが10月にWestern Vinylよりリリースする新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
90’sのスケボーVHSにインスパイアされたという今作は前作とうって変わった動的でライブ感の溢れるサウンドになっており、この楽曲に関してはインプロ・ニュージャズ・アンビエントロックというような仕上がりでバキバキにグルーヴィなジャム・アンサンブル。北欧の人力クラブジャズ系バンドにニューエイジの要素を加えたような雰囲気になってます。これ全編こういう路線なのかしら、気になるね。
Soccer Mommy – I’m Only Me When I’m With You
サッカー・マミーが9月にリリースするカバー曲集のEPから二つ目の先行曲は1stの頃のあの人の楽曲です。ビッグネームは記載しないという当然のマナーのもと伏せます。
こないだのシェリル・クロウも良かったんですが今回また素晴らしい。変化球は特になく上手いこと原曲の鬱陶しい部分を中和してインディ・フレンドリーに仕上げてあるので嫌味なくグッドメロディの際立つ愛らしいトラックになってます。こんな感じのコーラス、節回しだとこれくらいのアレンジがギリギリのバランスですよね。
しかし、彼女なんかいつもカバー曲が良い印象なんでカバー芸人いけるんじゃないでしょうか。残るお品書きはR.E.M.にスロウダイヴ、ペイヴメントとなってます。
Sprain – We Think So Ill of You
L.A.のノイズ・ポストハードコアバンド、スプレインが来週リリースする新作アルバムから最後の先行曲を公開。
いや、格好いいね…序盤の金切りノイズ静止なんかも全然イケてる。いつも見てくれてる人はわかってると思うが個人的にノイズ・アヴァンってほぼ好みではないので、その自分が許せるって相当です。前のアルバムも確かレビューしたし、この人らは波長が合うっぽい。
カラカラに乾いたスリント直径の殺伐ポストハードコア・ポストロック絵巻で、メタリックだけど全然メタルコアじゃないって塩梅。この曲に関してはChat Pileとシェラックも混ざったみたいな。なんだかんだボーカルも良いのです。この手はあまり冗長にやられると聴いてられないから4分ちょいにまとめているのもナイス。
今週のLP/EPフルリリース
The Belair Lip Bombs – Lush Life (LP)
めちゃくちゃ良いバンド。EPやシングルのリリースはもう5年くらいしてきているみたいだが、ついにデビュー・フルアルバム。一聴した感じそこそこラフでガレージっぽい荒さもあり、空間系は使わずリズムも基本的に8ビートの範疇内のみ、そしてメルボルンということであまり得意ではない分類の音楽かと思ったがそんなことはなかった。
M-8が一番好きだけど全体的にはマイルドな部分を強調したストロークスとForth Wanderersを混ぜたような雰囲気かな。編成は基本三点セットに紅一点ギターボーカルっていう王道スタイル。グランジもドリームもシューゲイズもフォークもカントリーもアートも一切入ってない、エモとパンクとジャングリーギターポップあたりは微かにだけ入ってるほぼ純粋なインディロックでジャケットの通り色彩は豊かではないが、決して枯れた路線ではなくそこそこメロディに甘さも残る。
音色はどこまでもシンプルだけど直線的なようでいて妙なひと癖・滋味深さのあるアレンジと節回しが随所に光るのも面白い。でもテクニカルには全然聴こえないし、さらっとやってるんだよね。これは多分練りまくって狙ってこうなっているわけではない気がします。あと今ちょっとまだまだ未完成なのが逆に魅力かもしれなくて、このまま成熟させるべきなのかなんとも言えないな。ボーカルの子はおそらく相当の逸材ですんで、ぜひ最高なルートで進化して欲しい有望株。