メキシコのミント・フィールドが今月末リリースする新作アルバムより三つ目の先行曲。
スペイン語で歌われるダウナー系のドリームポップサウンドで、トラックを通してリバースディレイがガシガシ飛び交うなかなかのディープ夢遊空間に中盤一瞬だけ突如シューゲイズの深い刻みがガツンと挿入されるダイナミックな瞬間は見逃し(聴き逃し)厳禁。本当そこだけで終わり二度と出てこない謎アレンジです。
あとボーカルがあくまでも雰囲気程度というか明確にヴァースコーラス型ではないのが重要なポイントで、リズムは弛緩しながらもサウンド的にボトムは太く、全体的にムーディでよろしい。明確に展開せずなんとなく尻すぼみに終わるのもアリよりのアリでしょう。
Mary In The Junkyard – Tuesday
ロンドンの3ピースバンド、メアリー・イン・ザ・ジャンクヤードが単発のニューシングルを公開。
基本はオルタナをベースに、ダークめなところから2010年前後以降スタンダードとなったビートチェンジを繰り返しながらプログレッシヴに展開するぶっ壊れそうなメランコリアを孕んだ非常に近年のUKロックらしい佇まいの一曲で、若そうだし非常にイキのいいトリオって感じが出ております。ボーカルの彼女がなかなか「語り部」力とルックスともに逸材だと思うので、間違いなく有望株でしょう。
なおこちらプロデュースにHoneyglazeの日系人(というか日本人)ドラマー、Yuri Shibuichiが入っているようです。
deary – Sleepsong
ロンドンのデュオ、ディアリーが来月リリースするEP(ミニアルバム?)から三つ目となる先行曲をビデオ公開。
深い深い本気のドリーム系シューゲイズ、しかも蜂蜜漬けの激甘ヘヴンリィサウンドのやつです。ピッチ揺れまくりウォールオブサウンドの上の上から更に上にも厚塗りしまくった胸焼け待ったなしの光の洪水でここまでやるともうマシマシ気持ちイイ、あっぱれでしょう。どこが良いのかがこれ以上ない位わかりやすいカタチで提示されてるのでシューゲイズ入門にも良いんじゃないでしょうか?
壁の質感とかリズムトラック的にはmorrから出してたMichael LücknerのGuitarの1stを思い出しますね。
今週のLP/EPフルリリース
Adeline Hotel – Hot Fruit (LP)
作品ごとに結構テイストが変わる彼。でも基本のトーンやカラーはいつも同じというか、柔和でジェントルな雰囲気が通底してる。その中でアルバムによりフォーキーに歌ったりギターソロのインストだったりするのですが、今回はというとソフト・ジャジーなインプロ・アンビエントフォークのインストって言ったらいいのか…な他にない絶妙な音楽で来たね。
ジャズとチェンバーミュージックが交錯する多彩なオーガニック客演楽器に彩られたアンサンブルは部分的にインプロパートへ行ったり来たりしながら、淡くたゆたいつつ稀に熱を帯びる瞬間もある程よい温度感で、ギリギリで環境音楽の体裁を保つ。ジャズは間違いなく主たるエレメントとしてあるんだけどジャズ過ぎないというか、もっとナチュラルでアーシーな質感がより強く出たフォークロア・アンビエントとの中間地点。
考えようによっちゃ初期peleみたいなものの亜種、ああいうエレアコも使ったバンド編成のポストロックからポストハードコア要素を抜き切ったらこうなるかもみたいな味わいも。ライナーにもある通りタッチはジム・オルーク的な部分もあるし、あと非常に洗練されて知的なのでジョン・マッケンタイア周辺の何かっぽさも感じます。トータスも難しいことせず途中からこの路線に振ったらよかったのに。
なお詳しい情報はまだないですが、来年3月に来日して兵庫のtobira recordsさんのインストアショウケースに出演するようです。