NIGHT TAPES – EVERY DAY IS A GAME
少し前のトラックも紹介したロンドンのナイト・テープスが早くもお次のニューシングルをリリース。
今回はうって変わってどこかスレた夜のムードなどはまるで感じさせないコケティッシュに全振りのドリームポップで、いわゆるボーカルにだけ深くリヴァーブをかけるというオケにはシューゲイズ要素のないタイプで攻めてきた。全体的にハズしがなさ過ぎてちょっと胸焼けしそうになるところではあるが、サウンドに対してあまりにも歌唱がハマり過ぎてて軽く感心するレベルの仕上がりに。
正直、メンバーのナリを含め音にもちょっと軽薄な雰囲気があってあまり大手を振って褒めたくはない系統なのだが、この移り気で信念が希薄な印象というのはある意味青春の顕現だと思うしユースカルチャーとしてはこの型もまぁアリだよな。
Cola – Bitter Melon
解散したOughtの中心メンバーで新たに結成されたモントリオールのコーラがニューシングルをリリース。アナウンスはありませんがクオリティ的にもおそらく次作アルバムに収録される楽曲ではないかと思われます。
クラウト的なニュアンスのある微ジャジー・ソフトサイケジャムのポストパンク亜流サウンドで、元々のバンドをよりシンプルかつ深淵にしたような音楽性。グレーの虚無なムードが枯れ系のポストハードコア的な雰囲気も醸し出しており、途中から繰り返し出てくる二拍三連のカップ捌きが非常に効果的で実にいい鳴りしてます。ティム・ダーシーのボーカルは相変わらずな部分もありつつ、より無駄が削ぎ落とされており正統に進化してってる感じですね。
Mount Kimbie – Empty And Silent (feat. King Krule)
引き続きWarpからのニューアルバムを来月リリースするマウント・キンビーが新たな先行曲を公開。
女性メンバー（メインボーカル）含む二人が加入し四人編成となった上、エレクトロニックを捨て完全にギターベースのバンドサウンドになるというアクロバティック変化が衝撃的なのですが今回の曲では変身前から客演コラボもしていたZoo Kidもといアーチー・マーシャルことキング・クルールをフィーチャー。
先に出ていたトラック達と比べるとこれはシンセ系のサウンドにリードされるぶん以前の音楽性から比較的スムーズにつながるテクスチャーではあるのですが、やはり全曲バンド路線のようでちょっとソフトシューゲイズかじったクラウトロック風のアレンジになっていますね。本当いったい何があったの…。
今週のLP/EPフルリリース
Dancer – 10 Songs I Hate About You (LP)
先行曲をいくつか紹介していたグラスゴーのダンサー（リリースはマドリードのレーベル）が満を辞してアルバムリリース。
まず、突っ込んだら負けなのかもしれないがスルースキル足らず言及せざるを得ないのはライブ盤でもねーのに全てのトラック冒頭でご丁寧にもボーカルが曲名を読み上げるというギミックが常にひっくり返り気味の声色とあわせて絶妙に笑いを誘う。
内容の方は基本的にはポストパンクに分類されると思われ、あまりギスギスしたタイプではなくネジ外れ気味の路線はおどけた雰囲気と瞬間的なシリアスさのバランスが良く、マスロックまでは行かないにしろ刻みの抜き差し等でリズミカルに展開するミッドウェストエモ系のアレンジが頻出し、一方で所謂アートポップだったりジャングリーギターポップというような趣もあり、どこまでも一筋縄ではいかない相当な曲者サウンド。
音楽的な部分だけでもこれなのに前述の曲名コールや謎SE（馬の鳴き声とか…）も入ってたり、とにかく情報量が多いので聴いててかなりの処理能力を要求され、垂れ流しBGMには不向きです。バランス難しいところだけどもう少し歌をメロディアスにした方が魅力的になる気がするが、他にもいろいろとカスタマイズの余地がありまだまだ完成系には遠いので伸び代だらけで期待しかない、実に面白いバンド。1曲だけ選ぶならやはりシングルM-10か。ビデオも載せときます。