GVVC Weekly – Week 273

King Hannah – Big Swimmer (feat. Sharon Van Etten)

リヴァプールの男女デュオ、キング・ハンナがデビューアルバム以来となるフルレングス作をアナウンスしタイトルトラックとなる最初の先行曲をビデオ公開。レーベルは引き続きCity Slangからのようです。
内容の方ですがなかなかに衝撃的な路線変更で、主要エレメントであったトリップホップとサイケデリックブルースをかなぐり捨て最早オルタナカントリーと化してます。以前は気配すら存在していなかったような要素を全くのゼロから持ってきた訳ではないですが、さすがに音像が変わりすぎて面食らいますね。
他のもう一曲でも参加しているらしいシャロン・ヴァン・エッテンの客演はここでは楽曲にほとんど影響を与えておらずかなり贅沢な使い方で、アレンジと展開も含めた雰囲気としてはギターの歪んだSun Juneといった感じに。一聴してわかるシグネチャーサウンドは失いましたが、これでオリジナリティが欠けたかというとむしろアップしており、音楽としても明らかに良くなってます。映像でもレッドカーペットとかで着るようなデコルテ全開のロングドレスにアディダスの青スニーカーいう選ばれた者にしかできないスタイリングで規格外のルックスを存分に見せつけてますね。


Camera Obscura – We’re Going to Make It in a Man’s World

カメラ・オブスキュラが実に11年ぶりにリリースする新作フルアルバムから二つ目の先行曲が公開されました。今回は以前も出してた時期のあったMergeからのリリースのようです。
ネオアコ・ギタポのファン人口が比較的多いと思われるここ日本でもやけに人気のある彼女ら、ジャングリーな路線じゃなくてもうちょっと同郷ベルセバ系譜なのをクセなくしたエヴァーグリーン系の雰囲気はそれほど変わっていませんが、ブランクを感じさせないなかなかの仕上がり。
今回の楽曲は4AD移籍前後とかの最盛期とくらべて見劣りしないですし、より上品というかオトナになってむしろ個人的には過去イチかもしれないです。後半にかけて大暴れするペダルスティールと薄くパッド的に導入されたキーボードの音色が非常にナイス。


Vessel – Lost Appeal

米アトランタのヴェッセルが来月リリースするデビュールバムから二つ目となる先行曲をビデオ公開。
USインディロックとポストパンクの中間をとったような音楽性でサックスのパーマネントメンバーがおり、メインボーカルは紅一点のドラムでギターとベースはジャガーにサンダーバードとなかなか面白い編成でして、バフっと低音が拡散したふくよかなサウンドが所謂ポストパンクとは違いすぎる音像で不思議なオリジナリティがあり、脱臼系ともダンス系ともゴス系ともまた違った趣に。
ひつ前に出てたトラックと聴いた印象にあまり違いがないのがアレですが、音色に特徴あるタイプだからいろんな路線の楽曲をやってみて欲しいな。


Apifera – Theodor Marmalade

ストーンズ・スロウからリリースするアピフェラが単発のニューシングルを公開。
いや、変わり過ぎやろ。まずインストだったよね?誰が歌っているのかも不明なんですが、featuring表記とかもないからメンバーの内の誰か本人なのかな。トラックに骨組みのニュージャズっぽいフィーリングは残ってはいるものの、もうほとんどaltpopの体裁になっていて、歌もののクラブミュージックとの中間地点。ウェイト軽めでカチっとスクエアなリズムも完全人力の仕込みなのでいい意味で生々しく、エレクトロニックっぽさは皆無なので無心で聴けますね。この路線でいってくれ。

今週のLP/EPフルリリース

Brother Bird – another year (LP)

ナッシュヴィルのSSWバンドだけど、別にカントリー・アメリカーナのきらいはなく、基本はややセンチメンタル系のインディポップ。
声がかなり特徴的で、薄いメロディ歌ってるだけでもなかなか存在感あるからあまり楽曲構成やコーラスをクドめに持っていかない方がいいと思うんだけど、聴いてる限りではちょっとやり過ぎちゃいがちな子みたい。ただ上手いこと抑えられてる時はかなりいい感じで、細かいギターワークも面白いアレンジや音色がそこそこ潜んでいてM-3とかM-4とかは素敵なバランス。
しっくりくるバックアップバンドのメンバーが定着したからなのか3年くらい前のアルバムと比べてかなり演奏面が進化してるけど、それでもまだ路線が定まりきってないのと、もう少し全体の雰囲気が枯れたら凄く良くなりそう。でも割と深めのエフェクトかましてくる部分は残して欲しいので加減が難しいところです。
しかし、バンドで取り組んでる曲とソロっぽい編成の曲で落差がかなり激しいからこれなら弾き語りみたいなトラックはもはや無くした方がいいね。バンドサウンドの時も本人が全パートの指揮を明確に執ってるなら間違いなく才能アリなので今後も期待できるかな。