NYのスカーシティが7月にThe Flenserからリリースする2ndアルバムのオープニングトラックをビデオで公開。
いや久々にブラックメタル系でクリーンヒット。これは底抜けに格好イイわ、ポストブラックメタルというかもはやノーウェイヴ・ブラックメタルとかの表現が近いのか、ドラマー(Kralliceの奴らしい)がわかっていてもできないような完璧なアレンジでHellaの時のザックヒルをさらに知的にしたようなスーパープレイ。上モノ隊もブラストとトレモロ・アンビエントの間でアトモスフェリックになり過ぎない絶妙なバランスが凄く職人ワザ。
ボーカルもスクリームにしては煩くなくて良いしこれはぜひ食わず嫌いせずに聴いてみて欲しい、めちゃくちゃ音楽的だしレベルの高い内容ですよ。
Amy O – Dribble Dribble (feat. Glenn Myers)
エイミー・オーがWinspearからリリースする約5年ぶりのニューアルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
Glenn Myers(すいません、知らない)をフィーチャーした男女デュエットのトラックで、ちょっとへっぽこ系のローファイ宅録オルタナ・パワーポップになっており非常に愛嬌のある仕上がり。客演があるからなのか、この曲だけではなんともですが音楽性がどうこうというレベルではないにしろ少し雰囲気が変わったような気がしますね。お子さんも生まれたとのことでいろいろ変化はあるでしょうが、個人的には前より好きです。なんかいい曲じゃないですか?ちょっと90’s風だし。
今週のLP/EPフルリリース
Waxahatchee – Tigers Blood (LP)
もうこれは今までの集大成というか最高到達地点、ワクサハッチーの完パケといえる堂々の出来栄えと貫禄です。一つ前のもなかなか良かったが、こちらは間違いなくキャリアハイ、そこそこ残るレベルの名盤でしょう。
当初はファズかましたオルタナポップというかメロディに存在感のあるソフトガレージ、でも曲によりフォークもイケますみたいな音楽性だったのが徐々に本気でアメリカーナに傾倒して前作とその前のEPはちょっとそこに振り過ぎちゃったきらいがあった。今作はほどほどにバンド感あるサウンドを取り入れ、これまでの変遷を追憶する全ての要素を網羅しており、かつそれが高次元で融合。芯のあるクセ強めのボーカルも成熟しきって暴れておらず最盛期の超一流スポーツマンみたいな輝きと安定感でツヤツヤです。
一時期どこに行くにもケヴィン・モービーが出張ってきてた頃はちょっとなあという感じだったけど、そこも乗り越え今回の客演はMJ Lendermanだし歌もサウンドも質感もクオリティと落ち着き、全てがここにありもはや何もケチをつけるところがない。こんだけ書いといてわたし物凄いファンかというと別にそうでもないですからね1枚もレコード持ってないし。でもこれはさすがにフィジカルで買います。どう考えても年間ベストレベルの作品ですので。
1曲だけ選ぶならこれ。先行切った当時も紹介したけど、ビデオも特別に美しく素晴らしい。HDでご覧ください。
Francis of Delirium – Lighthouse (LP)
いや、今までも曲単体では何度か紹介してきてるしそれなりに好印象ではあったがまだ若いし正直フルレングスでのクオリティなどはあまり期待してなかった。でもこれ凄く良いです。
出てきて4~5年くらいだと思うけど最初10代って触れ込みだったこと考えると今大学卒業するかしないかくらいの年なのかな。30歳以上離れた相方がいたはずだけどアー写にはおらずソロ化したのか、クレジットにはプロデュースにまだ名前入ってるから正式にデュオのままなのか不明ですが完成度に関してはさすがにそこの力添えありきだよなという感じではある。
音楽性的にはオルタナ~インディロックに分類される範疇のもの浅く広くでトータルでは年齢相応の感傷成分と悪くない意味でのベタ展開なバンド系ポップス。でも何か小手先のアレンジとかじゃない部分でのスケールがデカいんだよね、もちろん声も魅力的だと思うけど節回し、佇まいなのか、とにかくロック(インディ)のスターに求められる華があるというか。楽曲もなかなか粒ぞろいで、スタンドアウトの1曲とかはない(強いて挙げるならM-2)が、メロディはそこまで大味ではなく微妙にハズしが効いてる。アルバム構成上入れちゃう気持ちはわかるんだけど最後の曲は絶対いらねえな。
元々カナダ出身とはいえ少なくとも高校からは(今も)ルクセンブルグに居住のままみたいで、そのへんの環境も一味の違いに影響あるのかな。来月からEU/UK/USツアー。存在感的には今後スネイルメイルやサッカーマミーコースもしくはそれ以上も有り得ると思う。
Julia Holter – Something in the Room She Moves (LP)
サントラや客演、余興ユニットなどの課外活動でいろいろ名前はコンスタントに出てたので不在を感じたことはないが、単独オリジナルのプロパー新作フルレングスとしては実に5年半ぶり。なんだかんだずっとDominoからのリリースを継続できてますね。
この人は個人的に格別に好きで、プロパー作のアルバムは全てヴァイナルで持ってますが今回先行曲にピンと来ず、ここまで紹介してなかったと思う。でも全体聴いてみたらやっぱ全然良かったわって話です、後半は若干ダレますが。
期間が空いたものの音楽性に大きな変化はなく、スケールの大きい壮大なシンセのサウンドをベースにしながらもエレクトロニック要素はなくオーガニック軸に室内学的なニュアンスとコンテンポラリーな旋律、ちょっとジャジーでアブストラクトなレイヤリングが美しい清廉なミックスの流麗サウンド。ポストロックとアンビエントフォークと現代音楽、ジャズのミックス具合が過去いち自然でコンパクトに実現されていて、聴き易さでいったら一番かもね。
深い深い残響に包まれているけど霧がかった感じはしないし、かといって宇宙的でもない、冷たい宵闇の中に響くシネマティックな古今西洋音楽ニューエイジ。今に始まったことじゃないが、このムードに彼女の知的かつ寂しげな声が凄くマッチしていて特徴的なシグネチャーとなっている。
ちなみに昨年12月に唐突に来日してて、Laurel Haloとかも出る淀橋教会のイベント、ライブ情報捕捉できなかった人もいるんではないか。