ギリシャの星、ステラが4月にリリースする新作アルバムから最初の先行曲をビデオで公開。意外と3年くらいしかギャップがなくて、めでたくSUB POP継続のようです。
さてオープニングトラックに配置されたLPタイトル曲のこちら、遂にいつもの英語ではなくギリシャ語で歌われてまして、全曲かは不明なもののリリース読む限り今作は大部分でそうなっているようですね。元来折衷的な音楽性なのもありサウンドの印象に大きな変化はないですが、今回はちょっと南米の風が吹くサンバ風の楽曲で、構成やミックスなど全体的にポップスとしての体裁がより整ったというか、いい意味で洗練されてきてる印象で、歌唱の現地語へのスイッチとはある種逆ベクトルに進んでいるのが面白いです。
なおこの曲含む3トラックはパンデミック中に行った!!!のRafael Cohen(現Las Palabras)とのオンライン共作が原型となっているとのこと。これもまた意外だけど乙な組み合わせですよね。
Fredrik Svabø – Sophie
AURORAのライブバンドメンバーでもあるノルウェーのコンポーザー、フレドリック・スヴァーヴォが3月にリリースするデビューアルバムから二つ目の先行曲が公開。
こちらボーカルは同じくノルウェー出身のThea Emilie Wangというシンガーによる客演で、同編成で去年出てたひとつ前の楽曲はもっとJAGA JAZZIST的な北欧ニュージャズのテイストが強く入りつつも歌謡ポップにおさめるって雰囲気でしたが、今回はKings of Conveniece的なラインからもう少しギターポップ方面にも振れるというようなトラックで、ジャジーなSSWサウンドになったAcid House Kingsみたいな感じの仕上がり。非常に軽やかなライトウェイトで小気味良いタッチが素晴らしいですね。
Heartworms – Extraordinary Wings
サウスロンドンのSSW、ジョジョ・オームによるソロプロジェクト、ハートワームズがSpeedy Wundergroundから来月リリースするデビューアルバムより新たな先行曲をビデオ公開。
こちらはダークなトリップホップ風のオルタナポップ楽曲で、初期のKing Hannahからサイケでスモーキーな成分を抜き取ったようなサウンド。全体的にUKらしくちょっと大味な部分も感じられるのですが、終盤に向けて徐々に熱を帯びていくインテンシティの高い歌唱が会心のテイクで、一気に引き込まれます。
出すトラックは一通りずっとリアルタイムで聴いてみては来てるけど、今回のこの曲が今までで一番良いかな。普段バンドっぽいアレンジの割にはオケがちょっと悪い意味で軽いからもっとちゃんとした編成になれば一気に化けそうですけどね。
今週のLP/EPフルリリース
Ethel Cain – Perverts (LP)
なるほどこれは本人がプロパーなフルアルバムではないと語っていたのもまぁ頷ける、コンセプト作みたいな内容だけど、ランニングタイム的には90分くらいあるので垂れ流し聴き推奨かな。
デビューアルバムの時点からして、アートワークやビジュアルイメージとか本人の雰囲気的にはむしろこのサウンドである方が自然だし、こっち方面へ進む気配がゼロだったわけではないから個人的に驚きはないが、前作がズバリで刺さってた人らは困惑するであろうダーク・アンビエント・フォークをしこたま展開。もはやスポークンワーズ入ったドローン的なパートも多く、ドロドロにアブストラクト。
どのトラックも30秒でいいパートを1分半やるみたいな構成が多くて、本人がそれにハマってるっぽいので仕方ないんだけど、コンパクトに仕上げればメチャクチャ聴き易くなるのに勿体ねえ。ちょっと間延びさせすぎてるから繰り返しフルで聴くのはしんどいけど、そこはかとなく凛とした品格があるもんで、去年この路線だと判明した時点でボンヤリ想定していたモノよりは明らかに良いのは流石だよね。
ともかく、これ聴く限りでもやはり彼女いつかはとんでもない傑作を出してきそうで期待しかないです。今回のテイストはこれっきりでいいと思うが。