アイルランドのジャスト・マスタードが間も無くリリースする両A面シングルから
もう一方も公開されました。ダークなスロウコア・ポストロックという塩梅ですが、
身体性を強く感じる、バンド!って感じのサウンドですね。Touch & Go的というか。
ただでさえ辛気臭いイメージの音楽をアイルランド人がやったらもう翳りが半端ない。
めちゃめちゃカッコいいです。LowとForest Swordsの合いの子をアルビニがProd.
したような感じですかね。鳴ってないけどガムランの音とか聞こえてきそうな金属感。
まあ日本で言ったら2ndの頃のダウニーをもっと硬質化したようなイメージです。
本来はこういうのを”メタル”と呼んだはずだし、なんつうかもう緊張感が…助けて!笑
Bill Callahan – Ballad of the Hulk
告知だけ出ていたビル・キャラハンの新作アルバムからついに先行曲が公開されました。
必殺のバリトンボイスは当然健在で、抑えの効いたDrag City印のオルタナフォークです。
この人の声の何が凄いってね、余計なギラつきがないんですよね。ニュートラルに響く。
こんなリッチなバリトンボイスでギラつき、イヤらしさがないって本当に稀有なことよ。
私はこの人の大ファンなので、今年イチくらい期待してるリリースですし、問答無用です。
Girl Friday – “Decoration/Currency” [OFFICIAL VIDEO]
Hardly ArtからのニューリリースはNZ出身のL.A.バンド、ガール・フライデーのEP。
見た目だけでいったら絶対ポストパンクかガレージだろと思わせといて、朗らかで楽しげな
軽いツインギターのインディポップで始まる。しかし徐々に雲行きが怪しくなり、まずは
不穏なオルタナに突入後、ますます激化し最終的にはポストハードコア系のパンクで終了。
これは面白いですね。タイトルからしても、実質2曲をつなげたトラックなんでしょうか?
プログレとかマスロック的なところでは一切なく、シンプルな歌ものでのこんな展開って
あまり無いよねって言うか意味が無いっていうか、無理に同曲に纏めるメリットが見えん
とも言うんですけど、まあ生で観てみたい感じではあるね。EP全体どんな感じなんやろ。
Mannequin Pussy – “Who You Are” (Lyric Video)
先日公開していたリードトラックが素晴らしすぎたマネキン・プッシーの新作から、
お次はリリックビデオでの公開。この曲も元来の悪趣味路線を完全に排した仕上がりで、
質の高いちょいエモ・パワーポップとも言えるようなSoaringオルタナサウンド。
しかしこれといった特徴が無くなったとも言えるので、難しいところですよね。
楽器の音がどれもいい感じに鳴ってるし、間違いなくボーカルもかなりポテンシャル高い
ですけど、こないだの新曲よりは楽曲が弱いので、歌の出来ありきにはなってきます。
Nearly Oratorio – Down To The Minute
オージーのニアリー・オンタリオがSolitaireからリリースする新作EPのトラックを公開。
この名前でいてカナダじゃないのね。ビデオの通り、まさにアクアリウムって感じの
イメージで、丸みを帯びた重層的なシンセレイヤーでたゆたうEtherealサウンドです。
ハープみたいな音もキレイね。夜カフェとかってこういうのをかけたがいいんじゃない?
Twen – Holy River (Official Video)
Frenchkissが新たにサインしたナッシュヴィルのデュオ、トゥウェンのデビューLPから。
ピュア・ベイジング・カルチャーとかにも通じるような、ビッグ・リバーブに包まれた
アメリカの雄大な自然を感じさせるサウンドスケープと、ちょっとクラシックな歌メロ。
今の所はまだ大丈夫ですが、一歩間違うとエンヤってレベルまで行ってるからキケンだよ。
映像の方は、森の中の白いコンテンポラリーダンサーを、全身真っ赤のメンバー二人が
悪魔的な出で立ちで見守る(?)謎ビデオです。妙に音楽とマッチしてるんですけどね。
Cate Le Bon – Reward (LP)
先行曲の段階から激推ししていたケイト・ル・ボンの新作アルバム、リリースされました。
今のところ完全に今年のベストアルバムです。楽曲のクオリティ、録音、歌唱、バックの演奏
どこを取っても文句のつけ所がなく、程よい緊張感と哲学の支配の下、耳なじみ良く仕上げ
かつ今までのイメージからの進化も感じさせるという、完璧と言う他ない作品ですよね。
一曲選ぶならやはりM3、”Home To You”ではありますが、全体に漲るパワーというか
成熟度と自信、説得力に満ち溢れた女性SSWの到達点、金字塔たり得る作品ですよ。脱帽。
kelly moran – Origin EP
OPNの近年のライブにも参加しているケリー・モーラン、昨年のWarp契約後初のLPに続き
EPをリリースです。この、強烈にクセのあるプリペアド・ピアノの打鍵アタック音により
形式的にはピアノソロなのにテクノな響きになってるっていう謎サウンドです。基本的には
ピアノ・アンビエントなんですけどGoldmundとかのそれとは全く違う、ノスタルジア等は
無い、ニューエイジで硬質な響きはいかにもOPN一派とった風情で実に今っぽい音ですよね。