GVVC Weekly – Week 116

Kacey Johansing – Even a Lot Feels like Nothing (Official Video)

ケイシー・ヨハンシングがこないだリリースしたLPからの一番いい曲をビデオカットです。
はじめこのサウンドではリバーブ深すぎと思うが、リズム隊がインする瞬間一気にしっくり
くる、キックにわずかに遅れてヌルっと入るベースの出だしがが妙にカタルシスあるのと、
そこから歌メロとピアノがユニゾンするあたりの流れが美しいですね。この人の楽曲は何か
インディの文脈に近接できる部分を不思議と感じるの、表層的には特にそんなことないのに
不思議ですよね。オペラとかも歌えそうな風情なのにあっさりしてるというか、クドくない。

Fred again.. – Julia (Deep Diving)

フレッド・アゲインは身の回りのサウンド、よく覚えていない自分のiPhone動画からの音…
だったり、フェイスタイムや通りすがりのインスタなんかからの音声をボーカルのように
使うとのことですが、今回はとりわけジュリア・マイケルズのインスタ投稿からの彼女の声
ばかりをサンプリングして大フィーチャーした楽曲。カットアップハウスって感じですが、
声のトーンがなんか感傷的で、当てこまれたエレピと相まって妙にドラマチックなんですよ。

Arab Strap // Compersion Pt.1 (Official Audio)

アラブ・ストラップの新作アルバムから先行曲です。ユニコーンのお話、意外とって言うと
ナンですけど滋味があってナイスなサウンド。いったい何年やってんだ、25年は超えてる
よねまず。ポリリズミックなテーマが繰り返されるイケおじオルタナ宅録インディロック。
浮かび上がるボーカルとしょぼ過ぎるリズムトラックでいかにもこじんまりした感じだが、
謎の安定感というかある意味どっしりして貫禄ある。でも生バンドのがいいと思うけどね。

今週のLP/EPフルリリース

Soft Blue Shimmer – Heaven Inches Away (LP)

ここのレーベル、ディスポーザブル・アメリカっていう名前が良くて好きなんだよな。んで、
バンド名がソフト・ブルー・シマーでアルバム名は天国まで数インチ、そしてこのサウンド
ってもう青い、青すぎて…こっちが恥ずかしくなるくらいだけどいいよ。しかし、重ね重ね
こういう音楽は20代中盤くらいまでの子達がやっているからこそな部分もある。卒業する
必要はないしいつまでも好きだが、存在としてのリアルさっていうところも大事になるから
ある程度社会が分かった大人がやってても渇望がない。家庭持ってたらもっとアウト。まあ
そんなことはいいとして、シューゲイズ風味のアートスクール・インディですが歪みが割に
重めなのでドリームポップ的ではなくオルタナ、でも線は細い。日系人やアジア系は居ない
みたいだけど、ちょいちょい日本語のタイトルが目につくよね。チヒロちゃんって誰かな。


Páula, Povoa & Jerge – Primavera (EP)

いきなし先行曲の印象よりも圧倒的にアンニュイにアブストラクトで面食らうよ、イントロ
扱いなのかもしれないけど。しかもキャッチーなのは例のM-2だけで、その先はベッコベコ
ハード・ミニマルウェーブと…ザ・フレンチな感じだけど湿ってないし、ポップにも振れる
ってこの人たちの一番のコアはどこなのかわからない。ちょっと怪作入ってる。レーベルが
モシモシってのはメチャクチャしっくりくるし、ナルホドって思うけどね。これはLP待ち。
あと、どう考えてもこの音楽を想像するわけないこのジャケットは完全に詐欺だと思います。


TEN PAST SEVEN – Long Live The Bogwalrus (LP)

先行のM-3がすごい格好良くて気になってた。全体思ったより重いというか、ゴリってるね。
初期のドン・キャバレロがもっと凶暴化してる感じに、少しParts & LaborやFang Island、
アクロン・ファミリーなんかのちょっとサイケでヒッピーなカオティック・マスロック風な
趣もあったりと、シェラック系に突っ込みすぎた殺風景さはなく、割と派手だね。もう少し
クールに落とした方が格好いいとは思うんだけどその辺は好みの問題かな。鳴りはいい感じ。