GVVC Weekly – Week 115

The Weather Station – Tried to Tell You (Official Music Video)

前回の先行曲が素晴らしすぎたザ・ウェザー・ステーションの新作からお次の先行曲ビデオ。
続き物というか同じロケ・セッションで、あの鏡面の鎧も引き続き登場します。楽曲の方は
よりストレートフォワードにドライヴ感のある、さしずめチェンバー・ロック等と言いたく
なるようなもので、自然なストリングスアレンジと研ぎ澄まされた歌唱がどこまでも優雅な、
でもダイナミズムはインディロックなソレ。お上品にキャッチーという、最高な代物ですね。
厳密には前回の曲の時にアルバムのインフォはなかったのですが2月5日と発表されました。
当然”Robber”も収録。これは大変な事になってるに違いない、早くも来年の名盤内定です。

Julia Bardo – It’s Okay (To Not Be Okay)

元ワーキング・メンズ・クラブのメンバーで、現在マンチェスター拠点のイタリア系ルーツ
SSW、ジュリア・バルドーの新曲です。バンドとは大分違う方向性で、ほんのり60’sソフト
サイケの香るザ・シンガーソングライターな楽曲ですがサウンドは弾き語り的な方向性では
なくて、QUILTのポップな曲やアンナ・バーチとかが最近やってるようなものになってます。
これ凄くいい曲で、まだアルバムのディテールなどは無いようですが単独でシングル切るの
わかる、終盤に向けて熱を帯びていくバックバンドの演奏も素晴らしく、完成されています。

Kirin J Callinan – You Are Going To Miss Me (When I Am Gone)

キリン・ジェイ・カリナンの新曲です。まずジャケットがナイスね。たまに恐ろしくいい曲
出すんだけど、今回も割と好きな時の彼。開口一番のHey!が一番ピークな感じもありますが
モテる男の傷だらけのバラッドって方向性にしてもちょっと今までのそういう路線の類似曲
より余計にマイルドに収まってる感じはします。このバッキングコーラスは正直ダサいです。
も少しやさぐれ度が欲しい。でも色気があるから全てオーケーになってしまうんです、結局。

Lost Horizons feat. Porridge Radio – One For Regret (Official Video)

コクトー・ツインズのサイモンらによるプロジェクト、ロスト・ホライズンズの来月リリース
新作アルバムは基本的に全曲でゲストを起用しており、4つ目となるこちらの先行曲では何と
ポリッジ・レディオをフィーチャー。これはうまくハマってて、それぞれの単体の時よりも
個人的には好みですね。あのボーカルのアクがうまいこと中和されていて聴きやすくなって
かつ尺の長さもちょうどいい、ビデオもなんか劇的にマッチしててポテンシャル高い曲です。

Adrianne Lenker: Tiny Desk (Home) Concert

コロナで最近、ミュージシャンの自宅環境からお送りするスタイルでやっているNPRの名物
企画Tiny Desk Concert、これが名作連発中です。今回はご存知エイドリアン・レンカー。
ソロの時のライブ映像見たことなかったんだけど、歌うますぎんだろ。音だけで聴いてたら
音源かと思うっていうか、生って気づかないよこれ。特に10:10からのanything、天使かな。
原曲とキー変えてるんですけど不思議とこっちの方がいいよなぁ?本当ありえん。しゅごい。

Dry Cleaning – Scratchcard Lanyard (Official Video)

昨年のEPなどをGVVCでも紹介していたUKのドライ・クリーニングはなんと4ADと契約し、
スピード出世です。まぁイイもんね。今回はとりあえず顔見せシングルということで単発の
ようですが、正統進化という感じで、魅力をわかりやすくパッケージしたサウンドになって
おりまして、ちょっとおどけたようなポストパンクなようで、クールなようでもある絶妙な
温度感。尖りすぎてないしマイルド過ぎない、スノッブ過ぎないけど俗っぽくない理想形ね。

今週のLP/EPフルリリース

Badge Époque Ensemble – Self Help (LP)

先行で出てた曲群をさんざ紹介したから、もういいかな? 自称のJazz Funk x Mysticism.
ってのがまさにそんな感じだけど、個人的に何より評価してるのはモダンでフレッシュな所。
オヤジ臭くなってない、ホコリかぶった風情じゃないんですよ、この音楽性なのにね。それ
めちゃ大事で貴重なことで、ラテンアメリカからエキゾ辺境、微かにニューエイジと、もう
危険な要素が沢山入ってるのに、ちょっとお洒落ですらある。M-3謎のフィールドRec50秒
ノイズトラックもこの構成の中では意外といらなくないのが不思議で、最後のシメもベスト。


Mamalarky – s/t (LP)

ハイプな扱いじゃなくほんとに素敵なバンド。でかいレーベルじゃないってトコもいいけど
音だけでもやばいのにボーカルの見た目がここまでイケてると次すぐどっかに拾われそうね。
割と前から推してるが不思議と周りからのフィードバックがいくつもあって嬉しい限りです。
本当カラっとしてて太陽や土を感じる肌触りなんだけど、対して妙にテクニカルな楽曲との
コントラストが面白くて、サウンドはローファイ気味。サイケ、ガレージっぽいときも歌が
結構甘めなので、尖りすぎないのと絶対一筋縄ではいかない展開かつ冗長にならない、短い
楽曲が多くてテンポよく進むあたりもポイント。ヒッピーロックといえばそれまでだけども、
ちょっと特別なバランス感覚なんだよな。DEHDといい、最近のFireTalk益々いいですよね。


Hypoluxo – s/t (LP)

コーラスかけまったチャキチャキのギターに、脱臼ダンス・ポストパンク味が効いてるけど
どこかもっとオーセンティックな佇まいもあって、ダサかっこいい系だしB級スレスレだが
結構構成が巧みで、アルバムとほぼ同時にビデオが公開されたM-6なんかは、終盤の展開を
最高の状態でソリッドに迎えるための下準備、最後の昇華に、そこまでの全てをかける曲。
全体的にOMNIをチャラく売れ線にしたような音楽性で、少し感傷的な面も狙ってきたりと
ダメな曲も割とあるんだけど多分かなりいいバンドなんだと思うので、ライブ観てみたいな。


King Hannah – Tell Me Your Mind and I’ll Tell You Mine (EP)

これ面白いです。まあゴシック・フォークとオルタナ・カントリーの中間SSWって感じで、
War On Drugs女版みたいな風情もありつつ不穏なスロウコアというか、チェルシーウルフ
だったりEmma Ruth Rundleだったりの辺りも行き来する、そのスイッチが一曲の中でも
自然に行われるんですよね。先行で出てた一つM-2とかが非常にわかりやすく提示されてる
けど、乾いてんだか湿ってんだかな感じで、ブルージーでもあり、急に穏やかな一面なんか
見せたりもあって、なんとも言えない音楽。おまけにルックスもパンチ効いてて、出来過ぎ。