ジ・アントラーズが6~7年ぶりとなる新作フルアルバムを3月にリリース、そちらからこれで
3つ目となる先行トラックのビデオ公開です。今んとこ今回が一番いいかな。彼らの音楽って
最終的に歌のメロディが少し素朴で、ピュアともいうけどもはや朴訥ってレベルのイメージで
特に出世作のHospiceとかそんな感じだったと思うけど、この楽曲はその頃に印象に近いよ。
童謡みたいなお唄が、割と空間系の効いたポストロックがかったサウンドスケープの上で展開
されてるあたりがなんか面白いんだよね。あとは質感がしっとりとしててジェントルなのよ。
The Weather Station – Atlantic (Official Music Video)
2月リリースのザ・ウェザー・ステーション新作アルバムからから3つ目の先行トラックです。
前出の2曲には劣りますが、今回も素晴らしいサウンド。このセッションはすごく音がいい、
軽やかでバンド・ドリヴンなダイナミックさがある、流れるような楽曲と理知的な趣ながらも
静かなエモーションを確かに感じさせる歌唱。暗闇の中ビデオが格好良くて、たぶん前のと
同じロケで撮ったんだろうけどコレ本当に1カットなのかしら?鏡面ジャケットも再登場。
https://www.youtube.com/watch?v=OIh2FWgusMU
Jamila Woods “SULA (Paperback)”
ジャミラ・ウッズが昨年発表したシングル楽曲をコルベア・ショーで披露したステージ映像。
すごくいいです。もともとSULA (hardcover) を公開して、そのストリップト・ダウン版の
SULA (paperback) を続けて発表してたんだけど、そっちバージョンの演奏という事ですね。
この人もクワーっと歌い上げないから良くて、聴いてられるんだよ。ストリングスの具合も
美しいし、5弦ベースの奴も素晴らしく抑制されたナイスなプレイ。しかし、アップビート
バージョンをハードカバー、ダウンテンポをペイパーバックと表現するの格好イイ、流行れ。
Painted Shrines – Gone
ウッズのジェレミーさんと昨年The Reds, Pinks & Purplesとしての作品も素晴らしかった
スカイグリーン・レパーズのグレン・ドナルドソンによる新ユニットが初のお披露目となり
そのペインテッド・シュラインズによるデビュー曲がこちら。仕上がりは割とシンプルに、
ほんのりサイケなByrds風のソフト・フォークロックになってまして、だいぶ軽く爽やかな
音像の中で非常にWoodsist印な甘めのメロディが明朗に響きます。派手さはなくも良いね。
HOLY – “Aries” (OFFICIAL VIDEO)
ストックホルムのホーリーが昨年リリースした新作アルバムから凝ったビデオカットを公開。
サウンド的にはアニコレからビートを感じないパートだけを抜き出したような壮大で大仰な
サイケ絵巻で本来は4分半で終わるのですがこれはMVの枠を越えてショートムービーでして
曲が終わってもストーリーが続きます。まず光の羽根が舞う中で丘を三角に登っていくって
最初のシーンがいいよね。未来にどんどん進んでいった先には地球外生命体との邂逅をして
進化存続のための同化みたいな話から、詩人の飼い犬の名を冠した詩集を掘り起こすという
あんま深く考える必要はないセカイ系も真っ青な世界観ですが、何か画がいいなと思った。
Brijean – Ocean (Official Video)
トロ芋やPoolside等に参加していたパーカッショニストのブリジーンさんが、パートナーと
2019年頃からやっているプロジェクトの2月リリース新作から新たな先行曲がビデオ公開。
ラテンフレイヴァーのクラブジャズ系ラウンジ音楽ドリーム増しで、って感じでジャザノバ
とかKOOPとか日本でも流行った2000年代初頭のあの辺ドンズバなサウンドの、目新しさ
ゼロなやつですが個人的に好きな味なのでBGMには良いです。Ghostly Internationalから。
SOPHIE – BIPP (Autechre Mx)
ソフィーの有名シングル曲をなんとオウテカがリミックス。正直普段、リミックスは余程の
事がない限り載せないようにしてるんだけど、これはもうあまりにも元の曲のイメージから
いい塩梅にオウテカ化してて面白いというか、さすがオウテカって印象しかないのだけども
こういうの基本的に得意ではない自分でも聴けるものにしてる事に感服です。原曲よりいい。
でも多分このリズムトラック組みって相当古臭いんだろうね、さすがに俺でもわかる。いや
オウテカのビートがさ、80’sのニューオーダーとかのドラム聴いてレトロな気分になるのと
同じような扱いというか、そういう存在になってるってのが色々と複雑な心境になりますね。
今週のLP/EPフルリリース
Patricia Brennan – Maquishti (LP)
ブルックリンのメキシコ系ヴィブラフォン奏者のソロアルバムという触れ込みから想像する
その音楽とまあそれほど相違無いんだけど、インディ目線で目新しいのは、こういう楽器の
ソロで自然派だったりトロピカルな路線に行かず、かといってエクスペリメンタル過ぎない
絶妙な塩梅だなという事。まあ、一般的なノリからしたら十分エクスペリメンタルなのかも
しれないが自然と甘く角の取れたアンビエントものとして聴きやすくて、部屋でのBGMに
最適です。ミニマルというには有機的なんだけど微かにジャズ風な趣もある上で輪郭が曖昧
だったりする辺りのインディ・フレンドリー調整は偶然の産物で、本人は絶対そんなつもり
ないよね。でもそういう誤解による好意っていいじゃん。これはヴァイナルで欲しいな〜と。
Shame – Drunk Tank Pink (LP)
先行のM-6が今までよりも随分いいなと思って少し期待してたんだけど、すごい好みなのは
結局その曲だけだったね。もっと全体的にポストハードコア色を上手〜く落とし込んで来て
くれたら聴けるんだけどちょっと雑だし、マーケ的な部分もあるんだと思うがポストパンク
っぽい軽さや洒脱感はいらんから重くソリッドな方向に進んだほうが絶対いいです。確かに
少しやんちゃで軽薄なUKロック(俺の嫌いなやつ)に理想のバランスでグランジっぽさと
パンク、ポストパンクのエレメントも使いこなせるぜって魅力はわからんでもないんだけど。
ドラムがいいのか、このリズムの妙な躍動感が絶対キモだからそこは残しつつヘヴィ化して。