GVVC Weekly – Week 127

Arlo Parks: Black Dog | The Tonight Show Starring Jimmy Fallon

アーロ・パークスがジミーファロンに出演し最新作からの楽曲を披露。これがめちゃくちゃ
いい映像で、軽くミュージカル入った永久保存版レベルのスーパーな輝きを放っております。
この赤一色のコーディネイトでリュックにヒマワリはやばいですって。途中で『ご開帳』し
バックバンドのみなさんが登場からのウォームな雰囲気も素晴らしい。カメラワークから、
ライティングから、楽曲のイメージと渾然一体となって舞台芸術を作り上げてます。こんな
ステージング全体のプロダクションとしてグッと来るのは滅多にない。感動した!(小泉感)

Jordana – Doubt of Revival

昨年プチブレイクしたジョルダナさん、なんだかんだEPを繋げただけのリリースが多くて、
プロパーのフルレンスグス作はまだ出してないわけですけど、ピカピカの新曲がリリース。
本人の素材はいい感じだったものの、どちらかというと悪めの意味でフリーフォームな所が
あったけど、今回ちょっと方向性がより定まったか、今までよりフォーカスが明確に感じて
今後に期待が持てる仕上がり。ダークな雰囲気のあるオルタナっぽい楽曲なのにトラックが
生バンドサウンドじゃなくて半端に宅録ってのが一番微妙だからバンド化しないんだったら
こういう軽めのインディ・ベッドルーム・ガールポップ路線に振り切った方がいいのかもね。

Year Twins – Stun Gun Headbutt

コロンバスの3ピースバンド、イヤー・ツインズが間も無くリリースするアルバムからこれで
3つ目となる先行シングルを公開です。一番にはやはりミッドウェストEMOを明確に通って
いるなというサウンドからエモベースの空間系アンサンブルに突入、ここはShinerのやつが
後でやってたLife and Timesってバンドのノリだわね。んで最後のパートが一転やけっぱち
高速ポップパンク気味で突っ込むジェットコースター楽曲となっております。曲名もなんか
いいなというのと、何と言ってもサウンドに勢いがあって大変素晴らしいバンド小僧感ね。

Small Black – The Bridge (Official Video)

あの100%エレクトロニカから来月リリースするスモール・ブラックのニューアルバムより、
これで3つ目となる先駆曲がビデオで公開です。チルウェイヴ『オリジナル4』の一角ですし
その中でも最初から唯一の純バンド編成だったこともあり、サウンドもそれほど変化せずに
続いていますがその辺の面目躍如といった楽曲で、突っ込み気味のハンマービートが荒ぶる
クラウト風味のトラックにサンプリング的なニュアンスで挿入されるピアノやギターの単発
フレーズが散り散りになりながら浮かび舞い上がる春の嵐的な音像。モジュレーション過多
ってのがシグネチャーの一つであると思いますが、地味にベースがカッコいい。映像も◯。

同時にLPのトラックリストに無いアンビエント・エディットなるバージョンも出ております。

Phantom Handshakes – Cricket Songs (Official Video)

昨年スロバキアのZ tapesからカセットをリリースしていたファントム・ハンドシェイクス。
4月に新作が出るようでこちらは二つ目の先行曲です。サウンドフォーマットとしては特筆
する所のない宅録ドリーム・ポップの大定番型ではありますが特にセンチメンタルで感傷的
イメージの強い、Orchid Tapesあたりもリリースしそうな音像です。オバケの握手っていう
名前がすごくマッチしていて、いいよね。コロナ禍で出会い、一度も対面せずにリモートで
前作は仕上げたという触れ込みでしたが同じブルックリンで流石に今はもう会ってるよね。

A Crime (By Big Red Machine)

シャロン・ヴァン・エッテンの2ndにして最高傑作アルバム『Epic』が10周年ということで
著名ミュージシャン勢によるカバー集がセットになったダブルアルバムとして再発されます。
まずはボン・イヴェールとナショナルのアーロン・デスナーによるユニットのテイクが公開。
まあ、これはイマイチかな。しかし、彼女の一番の名曲である『Love More』はナントあの
フィオナ・アップルによるカバーということで、これが今から楽しみでしょうがないですね。
このアルバムは本当によく当時聴いたし7thフロアのライブ観に行って本編ではLove More
おまけにOne Dayとメインの2楽曲をどっちもやらないもんでオイオイとなっていたところ、
アンコールでは本人がリクエストある?みたいなこと言うもんで相当食い気味にLove More
リクエストしたのは私です。結局のその2曲ばかり声が上がるという(当然)茶番でしたが。

Brigid Mae Power – Head Above The Water (Official Video)

アイルランドのSSW、ブリジッド・メイ・パワー昨年作アルバムから遅れてビデオカット。
これ、最高に好みの音楽な上FIREのリリースなのにリアルタイムで拾い損ね、タイミングを
逃し続けていましたがようやく掲載の機会が巡ってきました。美麗アシッドフォークという
枠に入るかとは思いますがカントリー感が薄くてイナタくないので洗練されてるし清らか。
この曲は特にアンビエントフォークに寄っているのでLP中では異色のトラックなのですが、
ジュディ・シルの系譜がもっと間口の開けた美しさに昇華されたようで芸術点を若干犠牲に
しつつ、とっつきやすさを選んだような音像ですね。ボーカルに少しパンチが足りない気も
しますが、流れるようにBGMとしても機能する点を考慮したらいいのかな。映像も綺麗ね。

今週のLP/EPフルリリース

AZITA – Glen Echo (LP)

先行の楽曲がどれも良くてかなり期待してたけど予想通り、素晴らしい。前のアルバムから
8年、その前からの印象も含めこんなんじゃなかったよね?もっとピアノ弾き語りがベースの
インディとかいう文脈関係なくNYに死ぬほど居る、ジャズ・ブルースをフレイヴァー程度に
かましたSSWミュージシャンみたいな風情だったと思うけど、1曲目からポリスも真っ青の
コーラスびしょ濡れギターが目立ってるバンドサウンド。ブルージーな側面が多分にある点
変わりないけど、おっさん臭くなりそうな音楽性が音色やミックスの方向性等でうまいこと
中和されており、いぶし銀的な味とモダンな音像が不思議なバランスで共存してまして勢い
インディ的観点でも価値のあるものになってます。これバックバンド込みでの録音ではなく
全楽器パート、本人だけによる演奏のようですね。全然こじんまりしてないけど、凄いな。
先行で出た時もコメントしたけどM-4のガッタガタのグルーヴはコレ、わざとじゃなくって
本職ドラマーじゃないが故の限りなくただのヘタクソに近いヘタウマ演奏だったようですね。
ほぼ叩けてないに等しい箇所とかも滅茶苦茶あるんだけど、なんか成立してるんだよなー。
1曲選ぶなら去年に公開してたM-5。メロディはあくまでフレッシュで鮮烈なのがポイント。


One Million Eyes – Brama (LP)

アンビエントと言ってしまえばそれまでだが、ジャズとサイケの配合具合が素晴らしいです。
イタリアでこの手合ってことでジジ・マシンとのスプリットもリリースしていたTempelhof
メンバーの二人というか変名なのかな?ジャズもフリーやアヴァンではなくメロウな成分を
軸としてる。ドラムが完全に入ってなかったら印象が大分違って来るかもしれないですけど
明確にニューエイジとは違う響きになってて、かなりメディテーティヴな方向性とはいえど
ポストロックの範疇にもカウントできそうなオーガニックで身体性も感じる仕上がりです。


Home Is Where – i became birds (EP)

振り幅が面白いんだよね。ベースはエモだとは思うが、グランジ化するオルタナフォークに
直球のミッドウエスト・エモ、パワー系のインディロック範疇のトラックかと思えば今度は
スクリーモを超えたポストブラックメタルで完全にdeafheavenあたりのノリになったりと
流石にやり過ぎだろ。自分はいいが、ここまでやると全体を通して受け止められるリスナー
限られて来るんじゃと思う部分もある。この心意気に乾杯。一応M-5がシングルカット枠で
コンパクトにキャッチーなdoglegライン。ジャケット写真がすげーemoっぽくてイイです。