GVVC Weekly – Week 128

Oldsoul – High On Yourself (Official Video)

昨年の年間ベストトラック30にも選出したオールドソウルが昨年作のアルバムに引き続き
Counter Intuitive Recordsからリリースする新作7″よりA面曲がビデオで公開されました。
いや、このバンドはやっぱちょっと一味違いますわ。ボーカル、ギターワーク、バンド全体
でのアンサンブル、全てに妙な貫禄というか雰囲気があるんだよね。ツヤがあると言うか…。
サウンドフォーマットとしてはエモ味の強いオルタナ・インディロックとしか表現しようが
ないから、良さが派手じゃないというか一見地味なんだけど本当にこれは大物じゃないか。
ボーカルの子もなんかかなりPJ Harvey系って言うかパンチのあるルックスでそこもプラス。
次回作も楽しみになったし、一推し大注目です。バンドものが『聴ける』人ならわかるはず。


Skullcrusher – Storm in Summer (Official Video)

スカルクラッシャー、昨年Secretly Canadianと契約して再リリースしたデビューEPに続き
新作となるEPが発表され、そちらからの先行トラックが公開です。ドリーム・フォークっ
ていうところでイメージするあまりにもコンサバな出来だった前作から変わって、今回やや
方向性が見えてきたかな。カントリー感を付与しより明瞭に、オーセンティックな風情の
最近多いインディフォーク系の女性SSWな音像に近づきましたね。ボーカルも正直あんまり
強力じゃないので、メロディに説得力を持たせるために安定のダブルです。この方がいいと
思う、魅せ方的には。これあまり言いたくないけど、絶対にこの見た目ありきで拾われてる
部分あるし、この映像見てくださいよ。ひたすら顔を見せ続ける、これが許されるってのが
まあ逆に潔いとも言えるし、レーベルの開き直りすら感じます。2月に公開してた曲も収録。


Vanity Fairy – He Can Be Your Lady

もしもしから5月にリリースするヴァニティ・フェアリーの新作EPより最初の先行トラック
ビデオが公開。ちょっと地下感のあるインディ・ダンス・ディスコになっておりまして一時
Not Not Funとかアリエルピンク周辺などにかなりの数居た路線に近い雰囲気に感じますが
こちらはロンドナー。ボーカルは相当キャッチーに振り切っている歌唱で、サウンドにより
曖昧さを付与してインディ化している調整ですね。若干露悪的な趣味があるように感じて、
これユニット名もあの雑誌とかけてるに違いないし、なんだか風刺的な香りが漂ってるね。
めっちゃくちゃショボいヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアーとも言えるような音像です。


Tamaraebi – Brown Angel (Official Video)

ナイジェリア系ロンドナーのシンガー、タマレビにより新曲がビデオで公開。どうやらこれ
本人的に少し新機軸のようで、スモーキーでダウナーなサイケデリックR&B・ソウル楽曲に。
プリンスが最初期のWeekndというかインディ系のサウンドに寄ったようなもの聴こえるし
Bon Iverも参加してたGayngsの雰囲気に近いもの感じて、そのGayngsのライブに10年前
生前のプリンス本人が舞台袖で飛び入り参加寸前まで行ったってのを思い出して謎に合点が
いき、一人で納得しましたね。この路線なのに3分ほぼジャストで終わる短尺も素晴らしい。


Bills & Aches & Blues: Side 1 – Tkay Maidza – Where Is My Mind? (Audio)

4ADが昨年40周年ってことで、少し遅れて記念コンピ作品をリリースするようで、現在の
所属ミュージシャンが過去のカタログの楽曲をカバーするという企画らしく、その第一弾
楽曲がまずは5つ公開です。そのトップに据えられたのはOGのティーケイ・マイザによる
ピクシーズで一番有名なあの曲のカバー。これが、最近のメインストリーム系ガールポップ
みたいに絶妙に調理されたナイスカバーで、完璧に自分のモノにしておりこれは拍手です。
ただ、4ADっぽくはないけどアニバーサリーに出すものとしてはそこんとこどうなんかな。
この後はUSガールズのバースデイパーティ、オルダスハーディングのディアハンター等です。


Enumclaw – Fast N All (Official Music Video)

自称『オアシス以降で最高のバンド』らしい、イーナムクロー。コロナでまだ一度もライブ
やってないらしいですが、やけっぱちファズ・ダウナー・ガレージにダラダラの歌い方って
ところでまあわからんでもない部分と、メンバーが割とヒップホップやりそうな兄ちゃん達
ってところで俄然気になる感じです。それもそのはず、ボーカルのアラミスは何たって実際
ピージェット湾エリアで一番の有名なラップ・イベント創始者の一人ってことでそっち側の
バックボーンがあるんですね。歪みだけでなく揺れ物も多用したギターサウンド的にはもう
シューゲイズの範疇でもあると思うし、モタついた粘っこいグルーヴが割と中毒性ありです。
この手合が純オルタナ・インディロック範疇の音楽をやると紋切り型にならなくて楽しいね。

日本のリリース

Teen Runnings – Sunglasses (Official Video)

ティーン・ランニングズの昨年作EPから新たにビデオカットが公開さました!わんちゃんの
赤ちゃんによるカワイイ映像をメインにワイプでデジタル・リゾートと本人のビデオチャット
画面が追加され、スティールパンのこだまする南国インディポップでありながら風刺の効いた
歌詞内容を反映した『あのモチーフ』が左上に踊り続けるという非常にグッドな仕上がりに。
尚、事前に公開していたドローン空撮の30秒の予告映像とまるで全く違う内容になっている
という、彼らしいユーモアのシニカルなニュアンスも健在。ちなみにこのMV制作の為だけに
わざわざ新しくZOOMをインストールしたらしいですぞ。そういうのって、なんかいいよね。

今週のLP/EPフルリリース

closer – within one stem (LP)

今回も結構いい。エモ・マスロック・ポスト激情HC・パンクってところですか、ギターの
アレンジがもうドンズバにその系譜で、ちょいジャジーにテクニカルなアレンジを入れてる
あたりがFaraquetみたいな雰囲気も出てる、日本にもいそうなタイプの音楽性ではあるね。
リズム展開の組み方がセンス良くて、切り替わり時に全く勢いが削がれないのが素晴らしい。
でも前作では思わなかったんだけど、ボーカルがちょっとやかましいかな。それほど激しい
音楽性でもないから、ここまでやらないでいいというか微妙に無理してる感が出ちゃってる
と思うから、シャウトがかった歌唱はやめてみたらどうかね。もはやインストでも可では?


Pino Palladino, Blake Mills – Notes With Attachments (LP)

元がそれほど好みでもない人達のコラボ作って、それぞれの単独作よりも好みのモノになる
パターンが多い。歌のない音楽だったら余計に人間的なところで感情を突き動かされる付加
効果が希薄になる分余計にね。先行のM-1とM-3のアンサンブルが格好良くて、ジャズる心
強すぎない程よいアフロと、Sun Araw系の脱臼アヴァン・グルーヴをマジのバンド演奏で
再現してるようなものにも聴こえる。結構気が抜けたものをカッチリ演ってて、面白いっす。
上物がかなり薄いから変にオリエンタル多国籍色が強くならず、飽きずに聴けるのもグッド。


Class Actress – Sense Memory (EP)

クラス・アクトレスの新譜!?と思ったらカバー集だった。しかも有名曲ばかりで、もはや
クレジットの必要なしってことですかね…特にコメントは多くないですが、スミスのが一番
ハマってるかな。マジースターは微妙って言うかキャラが違うと思う。ウィークエンドは…。