ドール・スピリット・ヴェッセルのデビューアルバムから2つ目の先行曲がビデオ公開です。
前回の楽曲も紹介しましたがやはり素晴らしい、単にバンドサウンドのオルタナフォークと
片付ける事もできるが、このタイム感ですよね。ディプレッション強めのメランコリックな
ボーカルと静止したようにゆったり流れる絶妙にアブストラクトなバッキングのアレンジが
楽曲に深みをもたらし、さりげにテクニカル仕上げかつ、そこにフィリーインディロックの
テイストもしっかり入ってる。バックのメンズ二人の見てくれが猛烈に胡散臭いのもいいね。
Crack Cloud – Tough Baby
クラック・クラウドが8月に前作からほぼ丸二年でリリースするニューアルバムより先行曲。
こういうサウンドはやはり大所帯バンドの面目躍如というか、カナダって事のイメージにも
引っ張られてる部分あるとは思うが、ストリート化したBroke Social Sceneっつう雰囲気。
アートパンク的な尖りに振りすぎず、このくらいのセンチメンタルなウェットさを忍ばせて
間口広く雑多に、キャッチーかつ芸術点高めで行くのがいいんだろうね。正直ハイプ臭さが
前回の時強く、ちょっとエッジにイキりたい需要に対しインスタントに呼応する悪い意味で
分かりやすいツールになってたと思うけど、そこもマーケティングだから仕方ねえのかなぁ。
Alvvays – Pharmacist [Official Audio]
オールウェイズが10月にリリースする5年ぶり3枚目のプロパー新作アルバムをアナウンス、
最初の先行曲はLPでもオープニングに配置された渾身の一発です。ジャングリーなギタポ
っていうところに柔らかく落ち着いた雰囲気が絶妙に同居してたのが強みだったと思うけど
そこは全て保持したまま今回はがっつりシューゲイズも直球に入れてきた。いちフレイバー
としては今までもあったと思うが、どちらかというとメロディのドリーミーさ的な部分での
主張だったはず。しかし、サウンドの肝であるモリーのボーカルがホント強いからこの位に
シューゲイズ成分強めのノイジーな音場でもしっかり埋もれず歌が立ってます。凄いことよ。
Laufey – Dear Soulmate (Official Audio)
なんかウチで紹介するのも違うなーという枠なんですけど、この曲は今までで一番イイから
載せときますね。まあ中国系アイスランド人でクラシックの素養あり、見た目も引きがあり
歌もシックにいけてインディという枠ではない、かつ商売上手ときたもんでビジネスの香り
強すぎてどうしてもこうアレなんですが8月に遂にフルアルバムをリリースするみたいです。
既にセレブ界隈でのハイプが醸成されてるし、どう転んでもマスレベルまで絶対売れますね。
ちょっと完成度が高すぎて、ディズニーの劇中歌って言われても納得するしもう怖いレベル。
Jawbox – Grip
ジョーボックスが25年以上ぶりとなる音源をリリース、ですがプロパー新曲というわけでは
なくてDischordからの最初のアルバムに収録されていた楽曲のセルフカバーというか再録が
2曲と、WIREのカバーで計3曲のEPですね。これはGang of Fourが再結成・再始動の時に
同じ事やってたなというか、内容も意外と悪くなく現役感そのまま貫禄のアップした音像も
イメージ被ります。まあジェイは裏方ではずっとバリバリやってるわけでして当たり前っちゃ
当たり前なんですけどね。一気に公開されましたがやはりザクザク化したGripを紹介したい。
キーは変わってますが、ちょっとクリスピーなサウンドだったオリジナルから程よい重みが
付加され、Channelsくらいの塩梅でオルタナとポストHC風エモの中間地点に着地してます。
今週のLP/EPフルリリース
Rapport – Floating Through The Wonderwave (EP)
Arbutusから2枚目となるEP、大きく変わっていないが音に自信がついたと言ったらいいか
サウンドに説得力が出てるし、より方向性が伝わってくる。ボーカルが凄く良くなってると
思うし、なんつーかカナダのギターポップ・シンセウェイヴとかTOPS周辺のバンド化した
若いABBAって感じです。歌の子がキャラクターも結構パンチ効いててMVとかでも面白く
なんか気になる存在だけど、バンド名がいまいち微妙というか音楽に対しての噛み合わせで
印象に残らんのが勿体無いと思うかな。サブの曲でちょっとだけCureとかをわかりやすく、
甘くしたようなダーク要素も入っていてスパイスに。今回もフィジカル無いみたいなの残念。
M1~M3がシングル扱いというかキャッチー路線で全部にビデオありますんで載せときます。
“Video Star”
“Can’t Get It To Last”
“Going Nowhere”
Laura Veirs – Found Light (LP)
もう10枚以上出してると思うけど、コレが今までで一番良いと思う。いつも印象変わらず、
基本的に好きな感じのオルタナフォークで普段通りに流して聴いていたが、一曲目からして
もう全然違うよね。ちょっと良くも悪くも少しとっ散らかった風な部分があったと思うが、
なんかキメ細やかに整って美しいガットギターの響き。ボーカルはそのままに音場の印象が
クラスアップしていて、なるほど初めて共同プロデュースを入れたみたいだが、奏功してる。
その後はドラムもガツンと入り十八番路線も盛り込みつつですが焦点の定まったブレてない
渋目のSSWロックは声が近い感じのミックスも相まってなんかとてもクールな鳴りしてるし
ちょいちょい入ってくる一人で輪唱みたいなことしてんのがなんか面白いんだけど効いてる。
Bedouineみたいな曲もあって言われないとこの人と気付かんな。ただ14曲は少し長いっす。