GVVC Weekly – Week 196

Aoife Nessa Frances – Way To Say Goodbye (Official Video)

ダブリンのSSW、イーファ・ネッサ・フランシスが新作アルバムをアナウンスし先行曲公開。
Partisanと契約した際に発表していたシングルも収録されるようですが今回こちらはLPでの
オープニングトラックで、深い広がりのある作り込まれたオルタナフォークのナンバーです。
彼女の今までの楽曲でも最もスケール感が大きく、元来の淡々としてどこか厭世的な響きの
フォークとチェンバーポップの交差点から更にポストロックまで包摂した音像が実にクール。
あの世との境界である「膜」が顕現する世界とその向こうで歌う本人が美しい映像もグッド。

Mamalarky – Mythical Bonds (Official Music Video)

L.A.のママラーキーが9月末リリースの新作アルバムをアナスンスし、先行曲をビデオ公開。
日焼けしたカラカラのギターサウンドにネジの外れたサイケとねじれポップのプログレまで
詰め込んだ明瞭なオルタナポップが強固なロックのダイナミズムまで伴ったバンドサウンド。
2分の中にこの人らの魅力が見事にパッケージされている改心の名刺代わりトラックですが、
ここから更にしっとり系もいけたりするからホント末恐ろしいスーパーグループ。一推し枠。

Skullcrusher – Whatever Fits Together (Official Video)

スカルクラッシャーが遂にデビューアルバムをアナウンス、最初の先行曲ビデオが公開です。
いや、正直これは失敗でしょうね。新機軸というほどは攻めてないし、かといって今までの
シグネチャーだった良さを満足に残せてるわけではなく、意味のないシフトチェンジしてる。
しかも最初にシングル切る曲でコレって嫌な予感します。楽曲自体はこのままでもいいけど
アレンジとサウンドはあんまりスケール感を出さずドライ寄りでいいし、より色彩の乗った
自然なアコースティック路線の方が絶対生えるから去年のEPのままの流れで良かったのに。
ビデオの見せ方も完全に微妙です。どこまで本人による意思、意図なのかしらこれ、訝しい。

The Tallest Man on Earth – För Sent för Edelweiss (Håkan Hellström cover)

スウェーデンのSSW、トーレスト・マン・オン・アースがANTI-との契約をアナウンスして
同郷のホーカン・ヘルストロム楽曲のカバーを公開です。正直、言われないとオリジナルの
新曲としか思わないくらい馴染んで自分のモノにしてますが、ここ数年はWilcoカバー以外
音沙汰なかった為なんかだ新鮮に響くこの特徴的な声と節回し、ボーカルのアクが強すぎて
バックバンドが不要、弾き語りが最適解という異常者ぶりは、やはりただものではないです。
新作からの先行曲などではないようですが、来年くらいには久々のLPが出るのでしょうね。

Cass McCombs – “Karaoke”

キャス・マコームズが来月リリースする新作アルバムから、新たな先行曲をビデオ公開です。
かの“Unchained Melody”の歌詞を大胆に引用しながら、ライトウェイトな80’sポップ風の
カラオケソング的な風情はかつて彼のオリジナル楽曲でここまで軽薄でチャラいサウンドが
あっただろうかという変わり種になってまして、正直この人がこれやったからこその掲載で
すごく良いですとかいう話ではないんですが、こんなんでも割と真摯に響いちゃうのは流石。

今週のLP/EPフルリリース

Rusty Santos – High Reality (LP)

どうしても名前で、あの当時のシーンにおけるアニコレのお友達みたいなイメージが強くて
フラットな印象で聴けない部分あるのかもしれないが、実際にサウンドが甘くしたアニコレ
っていう雰囲気なので合点がいってしまう。正直、調合のバランスという意味では本家より
断然好きだし、このサイケとほんの僅かなトライバルというか祝祭感に絡み合うシンセ系の
シークエンスが全体のテクスチャーを淡くモダンに彩る宅録フォークのアートポップ進化系。
エクスペリメンタルな尖りもしっかり感じるサウンドなのに、作り込んで無い抜け感が絶妙。