GVVC Weekly – Week 206

Men I Trust – Billie Toppy

メン・アイ・トラストが昨年のアルバム以降はこれで2つ目となるプロパー新曲をリリース。
今回は単発のワンオフ・シングルで、クラウト~ポストパンク系のビートや焦燥感を伴った
やや新機軸となるトラックになってまして、元来のソフト・タッチとアンニュイテイストは
残したまま、エマがひたすらブランコする映像に合わせマイルドに疾走する楽曲は過去一で
パンク。なんかちょっとポリスでこんな曲なかった?みたいなアーリー80s的な音像ですね。
こういうリズムの上に乗っても自然と映える、意外と懐の深いボーカルがやはり素晴らしい。

Soft Blue Shimmer – Love Being (Official Video)

ソフト・ブルー・シマーが11月にリリースする新作アルバムから二つ目の先行曲ビデオです。
ベースの薄い、非常に軽くライトな質感のソフト・シューゲイズで、バンドの特色が色濃く
表出しておりリードトラックとしては秀逸。清涼感のあるオルタナアレンジで歌メロデイも
薄味なのですが、全体的な印象としてはそこそこキャッチーにまとまっていてドラムも元気。
相変わらずめちゃめちゃ日本受けしそうなサウンドですが、少なくともこういうのは売れて。

Edith Judith – Bridge (Official Video)

シカゴのデュオ、エディス・ジュディスが今月リリース予定のアルバムから三つ目の先行曲。
最近のソフィスティケイテッド・フリーフォーク的なソングライティングがいわゆるシカゴ
ポストロック的なアレンジのトラックに乗っている風なバランスの音楽で、歌モノになった
中期トータスみたいな楽曲です。割とバタバタしたパッセージが目立つ中で抑揚のない歌が
落ち着き払ったチルな雰囲気で妙な緊張感を同時に与えていて、音像に深みが増しています。

Johanna Warren – “Tooth for a Tooth” (Official Music Video)

ジョアンナ・ウォーレンが来週リリースする新作アルバムから最後の先行曲をビデオで公開。
今回は趣を変えて少しだけジャジーなドラムレスのピアノ・バラッドの楽曲になってまして、
ソフトで滑らか、かつきめ細やかなテクスチャーが非常に美しくクラス感のある仕上がり。
今までに公開していたオルタナに振った側の楽曲と音像に落差がありすぎて大丈夫なのかと
ちょっと心配になりますが、Laufeyかと思ってしまう程のなりきりっぷりであっぱれです。

Animal Collective – Brown Thrasher (For The Birds: The Birdsong Project)

鳥類保護チャリティコンピ『For The Birds: The Birdsong Project』第五弾にして最終便。
フルでの公開となりましたが、こちらのアニマル・コレクティヴのトラックをピックアップ。
鳥の囀りが大量に配置された、ほのかにサイケなビートレスのナチュラル・アンビエントに
曖昧なヴォーカルや丸みを帯びたシンセ・シークエンスが浮遊するアブストラクトな音世界。
コレもうここ数年のアニコレのどのオリジナル作よりも個人的には遥かに素晴らしいと思う。
なお第一弾から第五弾まで全収録ヴァイナルでボックスのリリースになるようで、6万円也。

今週のLP/EPフルリリース

Mamalarky – Pocket Fantasy (LP)

相変わらず良いです。結構、大きく変えてくるかと思ったけどそうでもなかったって感じで、
リズムの振り幅は少し広がったし、しっとり目の部分をより綺麗な音でやったりもする一面
見せるようにはなってきたが、まだまだ伸び代というか余白が十分にあるといった雰囲気。
ちょっとドラッギーなサイケ感は控えめに抑えられ、逆にモダンな、R&Bまでいかないけど
アーバンな風がごくごく僅かに入ってきてて、流麗なねじれインディみたいな範囲にも肉薄。
それでもやはり一番輝いてるのは先行のM-2みたいな楽曲だと思うし、あまり考えすぎずに
自然にのびのびやって欲しい。次の一手がここからどっち方面に伸ばすか、かなり瀬戸際で
悩ましいところですね。努力で手に入らない最大の要素、メインパーソンの存在感と風格が
これ以上ない位の規格外レベルなので、その最強の武器を大事にどこまでも行って欲しい。
しかし次はfire talk離れてしまいそうでなんか怖いな、まず大手から声かかってるはずだし。