GVVC Weekly – Week 207

Jamila Woods – Boundaries (Official Lyric Video)

ジャミラ・ウッズが久々のプロパー新曲をリリース。単独作品では約2年ぶりとなるようで、アルバムのアナウンスなどはなく単発のシングルですが非常に素晴らしい一発でリードトラックたり得るクオリティです。
テクスチャーの質感がかなりブラッシュアップされており、よりメインストリーム的なヌルっと滑らかサウンドに進化、楽曲はカリ・ウチスなどに近いサウダージ感のあるラテン風のR&Bになってます。イイね!


Albertine Sarges – Deep Well (feat. Kat Frankie)

ベルリンのアルバティーン・サージェズが来月リリースする新作EPからの先行曲はクロージングトラック。
確かもっとトーキングヘッズ路線というか捻れポストパンクみたいな音楽性が強かった気がしたが、一体どうしたしっとりダウンテンポのエクスペリメンタルR&B的なサウンドに。
しかしこれかなり深い音像でちょっとドープでもあり、妙な中毒性のあるナイストラックです。なお本来9分近い楽曲で少しダブっぽい展開もありますが、Youtubeの方はエディットバージョンとなっておりコンパクト。

Hinako Omori – The Richest Garden in your Memory (Official Video) [Houndstooth]

ロンドンで活動する大森日向子さんの2022年最新作アルバムからオフィシャルビデオカットはスタジオ音源ではなく収録曲のライブ演奏版というたまにあるパターン。
チラっとは聴いてて、こんなに歌ってる印象なかったんだけど、このアレンジというか生のアンサンブルだと音源より断然いいね。
ちょっとちゃんと音大で勉強した人がやりがちな路線ではあって、微クラシカル入ったコンテンポラリーのアンビエントポップって感じだが、ちゃんと人懐っこさを保っていて素敵。
改めてアルバム聴いたけどもっと歌モノに振った方が好みだな。発音が完璧ですげえと思ったら横浜生まれと言っても3歳からあっちなら当たり前だったね。

Winter – sunday (Official Music Video)

L.A.のウィンターが来週リリースする新作アルバムから、最後の先行曲がビデオで公開。
もっとオルタナロック然とした楽曲もあるのですが、ほぼ純ドリームポップで仕上がったこのトラックが断然一番良い。
しかもカワイイ系の世界観ときたもんで毒にも薬にもならなそうな所、繊細な雰囲気と温かく柔らかいムードで淡い光を感じる中に意外と深く攻める16ビートとディレイのボーカルが若干のエッジを付与。
全体的に端正な仕上がりかつ歌唱もバッチリ決まった会心の出来で、ライトにしたドラッグ・ストア・ロメオズみたいな着地点かな。

Liturgy – 93696

リタジーが来年3月リリースの新作ダブルアルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
一応、この組曲構成が3曲に分割された状態プラスあと1曲でのEPとしても出てますが、こちらそのうち3曲を纏めたものになってまして、LPにはこの形態で収録される模様。
いやま相変わらずっちゃ相変わらずなんだけど、パッと聴いてやはり貫禄がある。ブラメタ云々とかでなく純粋に音に艶があるんでしょうな。一時迷走しかかってた気もするが変にアンビエント行ったりせずこのくらいの感じがヨイと思う。

Fever Ray – ‘What They Call Us’ (Official Video)

ザ・ナイフの片割れフィーヴァー・レイが5年ぶりの新曲をリリース、そちらのビデオが公開です。
いやこの人出すといつも良いのほんと凄いな。ボーカルがカリスマティック過ぎるからそこがもう反則で、何やっても様になるんでちょっと音楽性がどうこうって部分の考察は浅くなるが仕方ない。今回も最後までは突っ込まず、ずっと寸止めで焦らすビッグビートにミッドが静かな分映えるSE的なサウンドが歌唱の周りを霊魂のように浮遊するアートポップの音像は、尖りつつも決してアヴァンやエクスペリメンタルの風情ではないバランス感覚で流石。

今週のLP/EPフルリリース

Alvvays – Blue Rev (LP)

相当温めた久々なリリースだけある。先行の感触は良さげではあったが、正直もうバンドの仕上がり的な部分のピークは過ぎてるんじゃないかとタカをくくっててスミマセンという感じ。完全なる最終形が提示されていて、しかも限りなく理想的なバランス。
なんていうか、アウトプットの落としドコロはちょっと違うんだけどこの手の愛好家が求めがちなベタな黄金比をそのまんまやりましたっていうようなサウンドって意味ではPOBPAHの1stの時の無敵さに近いよね。
基本は単なるギタポだけどシューゲイズは結構ちゃんと入れたいです、でもグランジとかヘヴィ寄りのフィーリングは一切なくてよくてジャングリーで、ちょいブリットポップも…っていうところをめっちゃ元気なバンドサウンドでドン!っていう音楽。ただこれそれなりに歳を重ねたのがいい方向に作用してて、ちゃんと抑えが効いてる部分が全体の勢いを削ぐ事なくうまい具合に旨み・深み成分を付与しており、この手にありがちなチンケさがない。音色やミックスも今までで一番綺麗で洗練されてます。もう少し曲数は絞っても良かったと思うけど、こりゃアルバム全体としては間違いなく最高傑作。