GVVC Weekly – Week 205

Indigo Sparke – Hysteria (Official Video)

オーストラリア出身のSSW、インディゴ・スパークが来月リリースするセカンドアルバムの
三つ目となる最終シングルをビデオで公開。最初のリード曲を掲載した際にも書いたように
今回はザ・ナショナルのアーロン・デスナーがプロデュースということで、やや前作よりも
ブライトに開けた音像は元来のアーシーでシックなムードは残しながらもポップに響く調整。
いわゆるアシッドフォークにやり過ぎにならないレベルで爽快感を加えたようなサウンドが
この楽曲も非常に素晴らしいバランスだし、スカルクラッシャーもこの路線で良かったな。
なお、Sacred Bonesのリリースによると今はもう普通にニューヨークが拠点みたいですね。


Hannah Jadagu – Say It Now

昨年SUB POPから電撃デビューした超新星ハンナ・ジャダグから、今年初のリリースとなる
プロパー新曲は単発シングル。デビューアルバムは来年予定されているようで、先行曲という
位置付けではないようですが収録はされるのかもしれません。少し落ち着いた雰囲気のある
しっとり目のセンシティヴなインディロックという感じで、昨年のEPなどでみられた過度に
宅録DIYインディポップを意識させるようなトラックではなく、ちょっと悪い意味で大人化。
全然アリはアリなのですが、せっかくのキャラクターがこれじゃ勿体無いような気もします。


Shannen Moser – Oh My God

フィラデルフィアのSSW、シャネン・モイザーが来週リリースの新作LPから最後の先行曲。
ラップスティールの響く牧歌的なムードはありながらも、リバースのギターフレーズだったり
重層的なアレンジメントは室内楽っぽさもあり、フォークロアすぎないチェンバーサウンド。
清涼感のあるカントリーに暖かく丸いボーカルでメロディの節回しはモダンなSSWバンド系
って感じが、ある意味ものすごく今風な音楽だし、フィリーっぽさもあって素敵ですねこれ。


LIES – Corbeau

マイクとネイトのキンセラ・ファミリー二人によるライズが、ユニットお披露目以来これで
4つ目となるシングルをリリース。今回はややアコースティック気味になった再結成以降の
アメフトほぼそのままのようなバランスの楽曲で、ポストロック系のレイヤーが美しい音像。
ただOwenの頃もよく感じてたんだけどマイクって節回しとか語り口、歌詞が微妙にダサい。でもそこが親しみやすくていいんでしょうか、デスキャブとかもだし…エモって基本的には
アートロックにはなれない(ならない)というか、洗練とは真逆の泥臭くて不器用な世界。


Photay with Carlos Niño – C U R R E N T (feat. Mikaela Davis)

フォテイとカルロス・ニーニョの昨年コラボ作はカセットのみでフォテイの自主でリリース
だったのですが、あまりにも良過ぎたためにこの度International Anthemからリイシュー
音源的には全く同じようですが一応、先行トラックとしてこちらのビデオが公開されてます。
晴れてヴァイナルも出るようで良かったね。サックスとハープが美しいアンビエンスを象る、
水をテーマにしたオーガニックとエレクトロニックのいいとこ取り自然派ミニマルサウンド。
これほんと素晴らしい作品で、ショップBGMにも作業用BGMにも休日BGMにも完全対応。

今週のLP/EPフルリリース

Makaya McCraven – In These Times (LP)

インストのジャジー・ヒップホップだとか、「beats」って分類される音楽あるよね、あれの
完全オーガニックバージョンって感じで、人力クラブ系ニュージャズのバンドアンサンブルが
ほんの少しフュージョンやポストロック(TNT的なやつ)入りながら完璧なグルーヴで進む。
めちゃくちゃ本気の玄人音楽なんだけど、それでいてそこそこキャッチーというか聴き易く
間口が広い。スピリチュアル行ってないとこがよくて、小ざっぱりしていてとても身体的で…
しかも血湧き肉躍るっていう土臭いラインでもなくて軽くオシャレな響きですらあるんです。
ちょっと凄すぎてこれは、どこでもかけれる万能サウンド。ジェフ・パーカーのソロに近い。
超尺の曲がなくテンポも良い内容で100点の模範解答、教科書的な雰囲気がむしろ弱点かも。