GVVC Weekly – Week 213

Raquel Martins – Fragile Eyes (Official Video)

ラケル・マーティンズが来年2月にリリースする新作EPからのリードシングルを公開。
GVVCの基準に対してはちょっとジャジーソウルが過ぎるんだけど、完全にスムーズな質感保ったままストリートを強めに加えてるバランスが際立ってる気がしてチョイス。
すげースタイリッシュでモダンなロンドナー・インディネオソウルは、本人のルーツがポルトガルってんでこう南欧のラテンブリーズまで微かに香ってるのもポイントで、非常にいいスパイスになってる。ブラコン要素のナイトミュージックなイメージがカラっと陽に中和されてる感があって、本人のルックスともとてもマッチしておりビデオも素晴らしい。
ここから更にもうちょっとミニマルというか削ぎ落としても良くて、ストリングスのパートとかはいらなかったかもね。

Vessel – Whatcha Doin

アトランタのヴェッセルがリリースした単発のニューシングルです。
全くもって練られていない偶発のジャムをほぼそのまんま持ってきたようなトラックで、ひたすらにミニマルなトロピカル・ポストパンク。
サックスが入ってることによって成立してますが、生の勢いと抜け感のバランスがちょうどよく、なんか音がいいナチュラルな仕上がりで聴けます。
ギターはイントロが最強の見せ場でもうあとは3音しか鳴らしてないですがこれでボーカルじゃないですからね。(ドラムとサックスがボーカルみたいです。)

Barry Can’t Swim – Like The Old Days

ロンドンのバリー・キャント・スウィムのニューシングルは、ソリッドめなUKクラブミュージックだった印象から大胆に趣を転換。スポークンワードの乗ったビッグバンド・ジャズとクラシックなピアノハウスのミックスで柔らかく温かみのあるポップな4つ打ちダンスビートが展開されおり、コーラ・ボーイやアヴァランチズらのトラックにあるような愛嬌と多幸感のあるサウンドに。
もともとジャジーな要素は多少あったとはいえ、ちょっと以前のリリースと音楽性というか表情が違い過ぎてビックリですが、どうなっていくんでしょう。

今週のLP/EPフルリリース

DIIV – Live at The Murmrr Theatre (LP)

ダイヴが2017年に行ったアンプラグドライブ(アンプラグドっつってもあれです、ギターとベースには普通にプラグ刺さってるなんちゃっての方)の音源。
これすごく良くて、正直オリジナルアルバムより好きだね。マイブラとアレックスGのカバーもやってますがどちらもしっくり来てるし、何ならクラウトとオルタナシューゲイズ成分を増したアレックスGみたいな音楽にも聴こえる。
3rd出す前だから基本1枚目と2枚目からの選曲だけど、グシャっと歪んだ刹那的な焦燥感が抑えられててボーカルが割とクリアに聴こえるんで、その分メンタル弱いやつの危ういメランコリックな美しさが炸裂してます。最初からこの音楽性でオリジナル新作どうでしょう。


Soft Blue Shimmer – Love Lives in the Body (LP)

シューゲイズとオルタナロックとギターポップの中間地点を、曖昧なところのないザ・バンドサウンドで勢いよく展開、でもメロディやボーカルで繊細さをかなり付与してるので全体のイメージは無骨じゃなくやや可憐で儚げに振れる。
あまり抜きのない音楽性だし芸術点は低めでボトムは常に太いのでアンビエント感もない、その辺が超絶日本ウケになってるポイントの一つで、質感というか表層的な音作りはいわゆる下北系の中では洋楽の要素がありますみたいな日本語のオルタナロックのバンドとそう変わらなかったりする。
なんか多少ダレる部分あってもいいからもうちょっと霧散したような不整合さを残してもいいと思うし、ドラムのアレンジと鳴りがくそダサいね。いい曲もあるから勿体無い。
バンド名も綺麗だけど内容に対して直球過ぎるから、いろいろと外し要素を入れていきたいかな。


Blue Divers – Blue Divers II (LP)

部屋でエレキギター2,3人くらいで座って合わせたレイドバックジャムの垂れ流しみたいなのを、ここは使えるかな〜っつってあとでコレクト&編纂したようなギターアンビエント作品。
それもなんか荘厳なやつとか作り込まれたやつじゃない、エフェクト感が少なく非常にナチュラルで、ポストロック要素のあるemoのバンドが一瞬やるインストアンサンブルの拡張版みたいなニュアンス。
息遣いが非常にバンド的でリアルで自然体。ささやかなパーカッションやサブ楽器が随所に加えられてたりするのがスパイスになってはいるが、ギターの音が生々し過ぎてタイム感もゆるゆるなので人によってはこれ音楽に聴こえないかもね。
意外とこのソロっぽくなりがちなサウンドで、数人の意思が介在してることを強く感じさせる素敵な仕上がりのものってほぼ無いから目新しい。すごく地味なところではあるのですが、これはオススメBGM。