グラスゴーの双子男女によるクロスが地元の超名門Rock Actionよりリリースする新作アルバムから最初の先行曲がビデオで公開。
今回初めてがっつりプロデューサーを起用したのが奏功してか、これは、もともと持ってた要素は全て保ったまま一気に進化した間違いなく過去最高の楽曲です。
寒々しさを感じるややミニマルでクールなオルタナ・インディロックサウンドには勢いバンドらしい生々しさがアップし、相変わらずメロディがよく捕捉できないくらいにやり過ぎなウィスパーボイスとのコントラストが素晴らしく好相性。
派手さはないですがアートロックやスロウコアというわけではなく、楽曲構成的には割とダイナミック寄りなのにも関わらずこのボーカルスタイルで一気にアウトプットを曖昧なものに中和してしまう全体像のデザインがほんと秀逸で、アルバム期待大だね。
Oropendola – Knocking Down Flowers
NYのジョアンナ・シューベルトによるオロペンドラが3月にリリースする新作アルバムから最初の先行曲を公開。偶然ですが上のClothのビデオに続いてこちらにも鳩(の被りモン)が出てきます。
このさじ加減というかバランス感覚はやはりNYやブルックリン周辺の専売特許と思わせる、アートポップやドリームポップに多少のエキセントリシティ加えて、やり過ぎるとキッチュに墜落するギリギリのところでなんとか緊急着地させた音楽。
毒気のないボーカルをがっちり中心に据えつつも、ニューエイジ的な響きのシンセからピチカート含むストリングスにバリエーション豊かなパーカッションなど、奥にも横にも広く展開したレイヤードサウンドはとても華やか。
例の半音のトコをもうちょっと控えめに仕上げてくれてたらより個人的にお気に入り楽曲になった可能性があったがそこはしょうがない。
Steve Gunn & David Moore – Over the Dune
スティーヴ・ガンとBing & Ruthのデヴィッド・ムーアによるコラボ作アルバムがアナウンスされ、オープニングトラックが公開。RVNGからです。
これは素晴らしい組みわせで、ギターとピアノによるフリーなタイム感のアンビエント・アンサンブルが深めかつ端正に整理された音響空間で展開されており、まさに文字情報から想像する通りの仕上がり。
クールにシンセティックな質感とウォームなオーガニック環境音楽のいいとこ取りのモダン・ハイブリッドサウンドになってまして、かつこれ見よがしな所のない、さりげなさのある風情が素晴らしく高品質かつ高感度なBGM。
Slowe – Superego
ブリストルのSSW・ベッドルーム系プロデューサー、スロウがリリースした単発のニューシングル。
ギターとベースは客演でその他のプロダクションがマスタリング以外本人のDIYっていう背景みたいで、ユニットではなくソロです。
ちょっとジャジーなオルタナR&B系のアーバン・メロウポップ宅録版ちゅう感じのサウンドで、特に目新しいものではない。でもこの曲はSALESあたりみたいなDIYへっぽこ感溢れる鳴りと、もっとメインストリーム寄りのスマートでソリッドな鳴りが同居した雰囲気で仕上がっており、何か面白いのよ。
本気で入れてきたギターソロやバックアップ演奏陣のタッチから察するにこれは意図しない事故的なアウトプットである可能性が高い気がするし、これだけではなんとも言えないけど、まとまった作品聴いてみたいかな。
Fever Ray – Kandy
フィーヴァー・レイ久々の新作アルバムから二つ目となる先行曲がビデオで公開です。
今回はより一層、尖ったところが抑えられたダウンテンポ・エレクトロニックジャムで、凄みはきかせつつも、いくぶんかマイルドな仕上がり。
実の兄弟であるザ・ナイフの相方もAKAIのEWIみたいな謎のデジタル管楽器担当でおもいっきり登場してます。というかこの特徴的なサウンドってFever Rayで頻出するけど、彼が担当だったんですかね…?それならもうほぼメンバーくらいの勢いだし、映像は相変わらず怖いよ。
Varsity – Done With Bits
ヴァーシティが前作アルバム以来、2年半以上ぶりとなるプロパー新曲をリリース。
アルバムのアナウンスなども一切ない単発のシングルですがホントにひっそりと公開された感じで、Run For Coverも何も宣伝サポートしていないのでレーベル離脱したのかもしれません。
Brooklyn Veganにはちらっと載ってましたがメディア露出もほぼナシ。
サウンド面に大きな変化はなく、若干落ち着いてよりオーセンティックなインディポップになったような雰囲気はありますが、相変わらず不思議な魅力のボーカルとちょっと味のある歌詞で、極めてシンプルなフォーマットなのにじわじわ効いてくる中毒性を持ってます。
今週のLP/EPフルリリース
The Drin – Today My Friend You Drunk the Venom (LP)
クラウトロック軸にGang of FourとThe Fall的なポストパンク、ちょいインダストリアルなガレージロック、サイケなどが混ざり合ったなんか面白い音楽性。
ガサガサのラフな質感は最初期のA Place To Bury Strangersの轟音をマイルドにしたような感じで、シューゲイズの要素もあると言える。
これが、ビートがもっと太く、アンサンブルもバッチリ決まった逞しい仕上がりだとちょっとダサいところを、いい意味でのドタバタぶりで
抜け感を残した演奏に雑なサウンドサーフェスで一気にハズした乙な出来栄え。
古着屋のBGMとかが最高適正。M2~M5の流れが特に素晴らしいです。この内容にこのアートワークもなんか絶妙でいいなコレ。
Meg Baird – Furling (LP)
メアリー・ラティモアとの共作を出してたからそんな印象ないけど、エスパーズ以降、単独のソロ・フルフルレングスは結構久々で、7~8年ぶりくらい?これで4枚目なのかな。
どうしても声が普通になったヴァシュティ・バニヤン、ジョニ・ミッチェルにジュディ・シルと、どうしてもその辺のイメージありきになってしまうのはこの音楽性では避けられない。
トラッドめなフォークに、ほんの少しだけインディとソフトサイケを加えてモダンに調理したサウンドは相変わらずクリアでナチュラルな響き。でも今回、ポップス寄りの彩りはこれでも比較的マシマシというか、彼女の中では過去いち眠くならないアルバムではある。
神秘性はもちろん多少あるけど、幽玄すぎず神聖すぎず、あくまでも自然な範囲というか、構える事なくただ流しておけるちょうどよさも武器でしょうね。