GVVC Weekly – Week 220

Jana Horn – After All This Time

ヤナ・ホーンがついにセカンドアルバムをアナウンスし、最初の先行曲を公開。
自主制作の傑作デビューLPをリイシューしたNo Quarterがそのままオリジナル新作もリリースです。
基本的には前作の路線を踏襲し正当進化といった風情で、この曲に関しては以前のかなり静謐な印象のあった部分が薄れ、少しだけよりオープンなポップ寄りの朗らかな音像になってます。
淡いアコースティック系のバンドサウンドによるソフトな雰囲気の中にわずかに加えられた凛とした雰囲気とちょっとネジの外れたようなストレンジネスが絶妙で本編も期待大。


Geese – Cowboy Nudes

ギースの2021年デビューアルバム以来となるプロパー新曲ニューシングルがビデオで公開。
なかなか進化してて、ある種ストーンズ的なオーセンティック・ロックにあるような楽曲を軽くカジュアルに調理したソウルフル・ロックンロール・ポストパンク的おもしろアウトプットに。
前から音楽性はかなりUKのバンドみたいだけど実際ブルックリンの人たちだしアメリカ英語なのが不思議、でもちょっとだけトーキングヘッズ感もあるしやっぱそういうことなのかな。


Westerman – CSI: Petralona

現在はアテネ拠点のロンドナー、ウェスターマンがセカンドアルバムをアナウンスして先行曲を公開。
メロディや楽曲の雰囲気は同じなんだけど、質感が1stの頃とずいぶん違ってて、先に出てたこないだのトラックもなんかBig Thiefみを感じると思ったら今作はJames Krivcheniaが共同プロデュースかつドラムで全面参加とのことでなるほど。
硬質な感じだったところにアーシーな質感が追加されて、一気に生演奏バンドの趣がアップ。圧倒的にこの路線の方がいいですね。この曲に関してはアブストラクト・フォークロックといったらいいのか、基本的にものすごく色々なものが混ざってて分解するのが難しい音楽性ですが、一番はやっぱこの歌い方と歌詞がキモなんだろうな。


The Tallest Man On Earth – Every Little Heart

スウェーデンのSSW、ザ・トーレスト・マン・オン・アースがニューアルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
昨年のカバーアルバムはノーカンとして、オリジナル新作としては4年ぶりくらいになるのな。
今回Sylvian Essoのニック・サンボーンがプロデュースということもあってか、今までと違い明らかに人の手が加わった形跡が強く、それがいい方向に作用してる。
楽曲や節回しにさして変化はないけど、脇を固めるアンサンブルの雰囲気と、以前ギラギラジャリジャリしていることの多かった中高域の質感なんかちょっと落ち着いててわかりやすい。
個人的な好みとしては若干やっぱ声とか歌い方がトゥーマッチに感じてそれ程頻繁には聴けないんだけど、いいミュージシャンだよね。


@ – Letters

ボルチモアの男女デュオユニット、アットが再来週にCarparkからリリースするデビューアルバムより、最後の先行曲がビデオ公開。
検索殺しここに極まれりの身も蓋もないグループ名と、アートワークなどからエレクトニック系かと思わせておいて実はドラムレスのねじれフォークという、面倒臭いヤツであることが確実な感じですが、今のところ一番ポップな今回の楽曲は非常に素晴らしい仕上がりです。
明るくなってジャズ要素が消えたブランシェ・ブランシェ・ブランシェ、おもちゃ楽器を多用するような北欧系のインディフォークに祝祭感を加えたような音像は自称ハイパー・フォーク。楽曲構成的にはわからんでもないけど、サウンド表面の質感自体は全然ハイパーな感じはしないよね。

今週のLP/EPフルリリース

Magalí Datzira – Des de la cuina (LP)

凄く良いですね。チェロ弾きのSSWということでエスペランサ・スポルティング的なポジションなのかもしれませんが、こちらはもっと親しみ易いポップス寄りの音楽性で、アルバム全体的にとてもかわいらしい佇まい。
最後の方のサンバ曲以外はドラムレスでほかM-11のピアノ曲も除くとジャズ要素も全くなく、基本的に弦楽器と声だけで構成されたアコースティック・チェンバーポップは、純真さ溢れる素晴らしいヴォーカルを完全に主役に据えたサウンドで、映画のサントラ風にもう少しインスト曲があっても良かったかなと思うけど、唄が素敵すぎるからこうなっちゃうのもわかる。本当にイヤミが無いんだよね。
バルセロナってことでスペ語というかカタルーニャ語(カタロニア語)がメインとなっておりますが何曲かだけ英語で歌ってる曲もある。でも訛りすぎてて英語に聞こえねー、と思ってよく見てたら他にイタリア語の曲もポルトガル語の曲もあるっぽい不思議。
これは今後もたまに聴きそうだし、ショップBGMなどにも最適です。ぜひヴァイナルで欲しいし、これは生で聴いてみたいな。