GVVC Weekly – Week 221

Yaya Bey – exodus the north star

昨年のデビューアルバムが素晴らしかったヤヤ・ベイが来月リリースする新作EPからオープニングトラックを先行公開。
カバーアートが同セッションのオルタナバージョンなので、新作と言っても準アウトテイク集なのかもしれませんが今回は素晴らしいラヴァーズレゲエ風味のネオソウルR&B楽曲になってます。
全体的に軽やかさがあってしなやかなアレンジ、声の印象もきめ細かさとラフさが同居していて特徴的。メッセージ内容の割にライトな音楽として響くのも扱い易くて良し、個人的にはジャミラ・ウッズをいい意味で薄くしたようなサウンドとして消化してるかな。


OK Cool – normal c

シカゴの二人バンド、オーケー・クールが4月にリリースする8曲で17分のEP(?)から最初の先行トラック。
フォーマットとしてはいわゆるヌケ感とヤケクソ感あふれるルーザー・カレッジロック的な風情で、最小編成ゆえのこじんまりしたトコはあるんだけど、生演奏のドラムはドタバタしたお茶目プレイ、全体的にちょっとだけemoっぽいアレンジなど、なんだか愛嬌と華やかさのある仕上がり。
平熱低めのメロディはそれほど特徴的ではないけど必要十分な存在感で、とにかくいいバンドだなと思わせるウォームでナイスな雰囲気を持ってます。
ビデオは知らんやつのハウス・ショウにノリで行ったら誰もおらず自分らのドッペルゲンガーに襲われポラロイドで撃退し、家主のバケモンはギターとベースで封印するというストーリー。


Drahla – Lip Sync

リーズのドラーラがまもなくスタートのUKツアーに合わせて単発のシングルをビデオ公開です。
昨年夏に公開されていたデビューアルバム以来の新曲に続く今回のトラックはややプログレッシヴでトリッキーな展開を見せる軽快なポストパンク楽曲で、ストップ・アンド・ゴーのメリハリが切れ味よくクールな質感。ダークとサイバーがごく僅かにだけ香るストリート感覚が素晴らしくいいバランスだね。
引き続きCaptured Tracksからで、クオリティ的にもまず昨年の楽曲共々、未アナウンスの次回作のアルバムに収録されるものと思われます。


John Andrews & The Yawns – Checks In The Mail

ジョン・アンドリューズ・アンド・ザ・ヨーンズが引き続きWoodsistよりリリースする新作アルバムからオープニングトラックを先行公開。
リリースを重ねるごとにガサッ・ジャリッという質感が減退しどんどんソフトになっていってる印象ですが、今回はもはや北欧ポップ並みのジェントルタッチにストリングスまで大フィーチャーとある意味で更に先鋭化、アコースティックになったRadio Dept.だとか、キングズ・オブ・コンビニエンスみたいな音楽になってしまってます。
個人的には好きな路線ですし、本当の北欧モノにはないアメリカン・イングリッシュとアーシーな質感があるので面白いですが、これ音だけ聴いてWoodsistとは思わないでしょ。アルバム全体ではどうなってるのか気になりますね。


Indigo De Souza – Younger & Dumber

インディゴ・デ・ソウザが4月リリースの新作アルバムをアナウンスし最初の先行トラックとしてLPのクローザー曲を先行ビデオ公開です。
ラストにしか配置できないような大仰なパワーバラッドの楽曲になってまして、あくまでも前作までの流れで想像できる範囲での意外性というか、インディ的にはちょっとアウトに近いベタっぷりの展開なんですが、なんか許されてしまう説得力があり一流を感じます。
映像は本人のちっちゃい頃のフッテージと、「しょぼいビョークの衣装」みたいな格好でコンテンポラリーダンスする本人のミックスで楽曲とうまいことマッチ。
傑作過ぎた前作アルバムで完全にビッグネームとして定着しましたが、今回これを一番最初にプレミアするとは、さらに評価を上げそうなムーヴだね。マーケティング上手!

今週のLP/EPフルリリース

Amber Arcades – Barefoot On Diamond Road (LP)

個人的にはイマイチに思えるカバーアート通り、今回は少しノワールでダダイズムな雰囲気の新機軸を絡めて攻めてきた。過去いち重めの作品でギターポップ的なニュアンスはほぼなく、ドゥーム系のファズで埋め尽くされる瞬間すらあるが、ダーク一辺倒という訳ではない。彼女の従来からの武器であるアンニュイでエレガントなムードがうまく発揮されたシネマティックでトリップホップ味のあるトラックや、バロック風のオーケストラルポップなどにもトライしており、先行曲の印象があまり良くなかった分を取り返して少しお釣りが来るような全体の内容で一安心。
メロディも展開もあっさりと抑え、絶対に行き過ぎないやり過ぎないのが哲学なのはもう今までで分かってる。地味っちゃ地味なんだけど知性を感じるし、すごくコンテンポラリーな風情があって独特なんだよね。ハナから本人も本業というか専業ミュージシャンでやる気はないだろうし、その辺の割り切りがある意味プラスになってるんじゃないかとも思える。ずっとこのくらいのペースで細々とでも続けて欲しいな。


Kelela – Raven (LP)

完全ビートレスの歌ものシンセアンビエントM-1で先行公開を封切りした時さすが違うなと思ったが、そのままLP全編も期待通り安定の内容です。
外部プロデューサー入れまくってる割には装飾過多にならず余計な音一切鳴ってないのが素晴らしくて、良い意味でプロっぽ過ぎないスカスカな音像はこれこそがインディR&Bというか、明確にオルタナティブ。流してて決してベースミュージック枠じゃないしエレクトロニックって印象すらあまり受けない、もはや単なるアブストラクトポップみたいなイメージに。Warpなんだけど…。
最初Fade To Mind周りから出てきてたし、フューチャリスト的な雰囲気もあるのにハイパー系も一切取り入れずこの風情に収めてるところがホントわかってらっしゃる、ちょっと素敵なボーカルが手グセだらけのフレーズでナチュラルに響く、自分で曲作ってます感満載のショーケース作品。
でもやっぱり長いな、前のアルバムでも思ったけどこんなにいらないよ、そこまで幅があるわけでもないし4、5曲省いていいと思う。