GVVC Weekly – Week 250

Slaughter Beach, Dog – Engine

スローター・ビーチ、ドッグが再来週にリリースする新作アルバムから四つ目、おそらくこれで最後となる先行曲を公開。
彼らをGVVCで過去にピックアップしたことは無いと思う、まったく嫌ではないし一通り聴いてみてはいるけど今ひとつハマらない多数のバンドのうちの一つなのであるが今回初のクリーン・ヒット。
これは彼らのレパートリーの中では変化球ぎみであろう、ひたすら淡々と進む約9分のロードムーヴィー的な語りがベースとなるスロウ・バーナーのトラックで、最後の3分はギターソロというかなんというか…なメモリー・ストームで幕を閉じる。バンを盗まれたところから親族の集まりで帰省するまで繋がってんだが繋がってないんだがの曖昧なストーリーですが、Sun Kil Moonの大名盤Benji収録曲にみられるような、人間の普遍的な何か記憶と感情を強く喚起させる魅力的で共感できるような強いムードがあります。素晴らしい。


Lilts – Waiting Around

今年初お披露目されたローラ・ウルフとワイルド・ピンクのジョイントユニット、リルツが来月リリースするデビューEPからタイトルトラックを公開。
強烈な特徴はなく、こないだのデビュー曲と路線は同じいわゆるシューゲイズ・サウンドの中でもうこれ以上ないくらい激甘のシュガーコーテッド・ドリームポップなんですが、ちょっと耳につくクリスピー系のミックスに対しこれしかないっていうボーカルの帯域が絶妙にハマってる点に注目。
メロディ自体がどうのこうのというより鳴ってる音の配分、音場の構成がキモチイイ。まあシューゲイズって結構そういう音楽で、こういうのってもう20年以上聴いてるわけだが、なんていうかある種の安心感だよね。細工なしで曲が短いのもグッド。


Indigo Sparke – In The Garden

オーストラリアのインディゴ・スパークが単発のニューシングルをリリースしビデオ公開。未だアナウンスはないものの、かなり良い出来なんでおそらく次回作LPにも収録される楽曲だと思われます。
本人が元来けっこう薄味でクリアーな指向性な為ある意味で少しパンチが足りない部分があるのですが今回、キャロライン・ポラチェックとの共作ということで成る程かなり強烈に彼女のカラーが出ており、それがプラスに作用してかちょっとメロディや旋律の重なりにいつになく粘りが感じられ、アートポップ度が増大してます。割と普通のSSWっぽい風情の中に自然とアンビエントな雰囲気を持ち込む特色との噛み合わせもいいので、これは面白いですかね。


oh alien – Shining

オーストリア、ウィーンの3ピースバンド、オー・エイリアンが単発シングルの新曲を公開。2年くらいはやっているみたいですが、初めてピックアップします。
まず主要国家のアクトではないのでそこの物珍しさもありますが、3分ジャストのちょっとだけソウルなビタースウィート・アーバンオルタナポップ佳曲で、以前はもうちょっと骨組みがエレクトロニック寄りだったところ今回もそこまで過度に生に寄ったというわけではないのですが、サウンドがよりシンプルに明確になってますかね。中盤でちょっと擬似エディットっぽい面白い展開の挿入があってそれがかなりメリハリとなり全体を締まらせるのに相当効いてます。あのパート無かったら紹介してないので。


Mr Beatnick and Richard Greenan – Harbour Arms (feat. bb sway and Galina Juritz)

UKのミスター・ビートニクとリチャード・グリーナンが10月にリリースされる連名での新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開です。
2名のゲスト、Galina Juritzのストリングスとbb swayのボーカルを大フィーチュアしたシンプルに美しくカワイイとてもキャッチーな楽曲で、これが作品中で最もシングル向きのトラックだと思われますが、それにしても主役両名のどちらの本来のテイストとも明らかに違う音楽性になっており面白い化学反応起きてますね。
おそらく全編トータルではもっとダンス寄りだったりアブストラクトなシンセトラックも盛り込んできている筈なんですが、オーガニック系の楽器客演はそこそこ多そうなので、アンビエント・エレクトロニックとの絶妙な融合を期待できそうです。


Forest Swords – The Low

フォレスト・ソーズが6年ぶりとなるニューアルバムをアナウンスし新たに先行トラックをビデオ公開。少し前、単発公開時に掲載したButterfly Effectなども収録されるようです。その時、本気の強度を感じたので「おっ」と思ったのですが久々のフルレングスを用意していたのですね。
さて今回の楽曲はこれぞForest Swordsというような初期のダーク・ダブ・トリップホップを踏襲した路線で、歪んだビートと荒々しくアブストラクトなギターに若干の和を感じる旋律が入り混じったこの人独特のシグネチャーサウンド。最初期のその当時から言ってますけどな〜んか初期downyっぽいんですよね、偶然なんですけど。


MUNYA – Bizarre Love Triangle (New Order cover)

ムニャちゃんがニュー・オーダーの超有名曲をカバー。今までさんざんカバーされてきたであろうビザール・ラブ・トライアングルですが甘めの女声ボーカルということでこちらはfrente!のカバーを思い出す仕上がり。あちらはアコースティックだけど…原曲からキー変えてるのと変えた先のキーも一緒だから、もしかして参考にしてるかもな。
普通にMUNYAバージョンも出来は良く、必殺のアンニュイ・シンセポップに調理して歌唱も100点のハマり様ではあるのですがベタ過ぎる選曲的にさすがにコレはなんか余興かと思ったら普通に10月リリースの新作アルバム収録曲です。う、うん…いや、いいんだけどね。

ちなみに言及したfrente!版はこれです。