GVVC Weekly – Week 61

Aoife Nessa Frances – Blow Up

来年1月にバ・ダ・ビンからアルバムをリリースするイーファ・ネサ・フランシスの新曲です。
名前を見ただけでもうアイルランド系だとわかりますが、アコギ弾き語り系の音楽を基礎に
ベースやキーボード、ストリングスにパーカッションと、パッと聴いての全体の印象よりも
意外と色々使って細やかに装飾された音楽で、温かく緩やかなんだけどほんのりサイケ風味。
どこか浮世離れ感があって、天上の音楽だとか、厭世観とかのベクトルで現実離れしている
わけではなく、何ですかねこう…、普通の人なんだけど、あなた…ひょっとしてオバケ??
LPタイトルは”Land of No Junction”(どこにもつながっていない土地)というのも、実に
しっくりきます。楽曲中唯一のアタック音として配置されたボンゴがやけに際立っていて、
すごく印象に残り、効いてるし無かったら違ってくる。不思議とリピートしちゃうトラック。


Foxes in Fiction – Trillium Killer (LP)

発売日を迎え、フルでリリースされました。以前の先行トラック紹介時も記述しように、
前作では冬の休日に暖炉の前のローテーブルで一人メランコリーに耽る自宅感だった所が
今回は薄靄がかった湖の畔に煌めくシマーリバーブの高次倍音で微睡む、みたいな音像に。
宅録っぽさはやや減退してますし、清廉で線の細いポストロック的な部分もありますね。
フィジカルCDは例によって本邦のPLANCHAさんからのみの限定発売となっております。
尚、ウォーレンは前からやってるマスタリングの仕事を目下大募集中とのことですので
ドリーミーなサウンドスケープの音楽をやってる方はこちらに駆け込んでみてはいかが?

Little Scream – One Lost Time (Official Audio)

リトル・スクリームの新作アルバムから、リリース直前にしてこれで4つ目となる最後の
先行トラックが公開されました。静かめに始まり、オープンな展開をするビッグな音響の
楽曲で、アルバム内での配置は2曲目ですが大団円的な趣があります。この粒子が荒めに
拡散する深めのリバーブがかなり効いてるんですけど、ライブでこの音出せるんですかね。
生だとこのような聴こえにはまずならないので、違う音楽になりそうです。観てみたいな。

Emily A. Sprague – Mesa

フローリストのエミリーは本名名義でアンビエントのプロジェクトもやっているのですが、
そちらからGhostlyのレーベル20周年記念盤に収録される新曲が公開されましたので紹介。
ゴーストリーというとシンセティックなイメージが先行してしまうのですが、ここは彼女の
イメージ通りで、暖かく自然派のサウンドで構成されたギターベースのオーガニックな作品。
かなりやさしい音楽で、音響的にも尖ってなく、ライトなメディテーションにバッチリです。

Matt Berninger – Walking on a String (feat. Phoebe Bridgers)

ナショナルのマット・バーニンガーがフィビー・ブリッジャーズとネットフリックス映画の
テーマ曲を単発でリリース。各々でよくデュエットをやってる印象のある二人が組んだら、
やっぱりイケたっていう感じですね。正直親子くらいの歳の差なんですけど、全体的な
雰囲気がいい。ウォークメンのメンバーも参加しているようです。この感じはもはや楽曲は
重要じゃなくて、最後の展開というかアレンジもその場の勢いでざっと施しただけだし
音も今そこで録ったのをそのまんまモニタしてんじゃないかっていうようなロウな仕上げ。
こういう贅沢な余興も、息抜きにいいんじゃない?来年3月に一緒に来日公演します。
ちなみにこれとは関係なく、マットさん自身も初のソロアルバムをリリースするようです。

Lykke Li – sex money feelings die (slowed version)

昨年のアルバムで一番キャッチーだった楽曲の回転数を下げたスロウ・バージョンですが、
これには背景があって、この曲がTikTokのミームで使われるBGMとしてバズったんだけど
それがオリジナルじゃなくて勝手にスクリュードされたバージョンだということで、それを
受けて公式でも出してみましたみたいな感じですね。これが意外とボーカルがいい感じに
なってまして若めの男性アイドルみたいな歌声なんですけど元の楽曲が良いのか、聴ける。