GVVC Weekly – Week 62

Destroyer – Crimson Tide

デストロイヤーが新作を公表して、その先行曲がビデオ公開です。ちょろっと観ていて、
ビデオの映像がちょっと良すぎるな?と思ったらちゃんとしたショートフィルムでした。
“Ashcroft”という作品らしく、このMVの中に挿入されるものがその全てで、短編映画と
呼んでいいものかなんというか、ダンさんが歌うカットと継接ぎだし、複雑な立ち位置
ですがいわゆるMVの映画風シーンというのとは違って独立したクリエイションではある
ようです。実際に視聴後感は映画見たそれと近いものがあるので、試みは成功なのでは。
音の方はポップ化した後のいつものデストロイヤーで、フランジャーのジェットサウンド
まで飛び出すダサいギターサウンドと80’s風のコッテコテなドラマティックメロディを、
必殺のイケおじボイスとマッドプロフェッサーヘアーで中和し、アートに昇華しています。



TOPS – Echo of Dawn / Seven Minutes (7″)

Arbutusの筆頭だったトップスが自主レーベルを立ち上げ、今後は独立してのリリースを
していくようです。で、その第一弾となる7″シングルに収録のこちら2曲が公開されまして、
A面B面どちらもここ最近の感じからは少し変えて来たなという印象になってます。A面は
なんとビートレスの、コーラスとリバーブがトロトロにかけられたシルキーなギターだけの
intimate弾き語り世界でどこまでも美しいという、あまりイメージにないようなサウンド。
B面は一番最初のEP時にやってた系統で音だけを洗練させたような仕上がりになっていて
これはかなり勢いがあってイイ感じ。個人的には最初期が一番好きなのでこの路線は歓迎。


Rufus Wainwright – Trouble in Paradise (Official Audio Visualizer)

ルーファス・ウェインライトは、久々にポップス・スタイルのオリジナル新作アルバムを
来年リリースするようで詳細なディテールは出ていませんがこちらはおそらく収録される
新曲となります。声だけでもう異次元なので、安定の良さですねっ。あとこの人はなんか
以前と比べてもそれほど、老けたなー、って感じがしないんだよね。この艶がいつの日か
消えてしまうことなんてあるのでしょうか。そりゃ最初期と比べると多少違うんですけど。


The Orielles – Come Down On Jupiter

昨年来日もしていたオリエルズが引き続きHeavenlyからリリースする新作の先行曲ビデオ。
最初、ラウンジーで妖しいサイケポップで始まり唐突にギタポのサビみたいなものに展開、
ブリッジ部分では16ビートでポストパンク、ディスコパンク風のムードになったと思えば
コーラス前で8に戻ってと、行き来します。それでいて全体的に丸みを帯びたサウンドで、
UKギターポップ系の人達がUSエモ・アヴァンポップ路線の意匠を取り入れた、みたいな
不思議なものに聴こえる。これ例えば記譜上は同じ楽曲でも演奏と音作りで相当イメージ
変えられますね。最高な出来とは思わないけど面白いトラック。ビデオも結構合ってます。
なお当然の事ですが念のため一応定義しておきますとハイハットが16のチキチキ刻みでも、
キックとベースの配置が8分だけで分解できるものであればそれは16ではなく8ビートです。


Frances Quinlan – “Rare Thing”

昨年良アルバムをリリースしたホップ・アロングのフランシスが同じくサドルクリークから
ソロ作をリリースします。ガチャガチャとしたドライ目のポンコツ宅録ポップサウンドで、
元々の声が過剰に情感的なので、バランスという意味ではいい塩梅なのかもしれませんが
個人的にはもうちょっと静か目のスタイリッシュな楽曲に、どこまでもボーカルが際立つ
路線が欲しかったかな?本当に素晴らしい歌唱だけど、これならバンドの方がいいと思う。


Bill Callahan “Call Me Anything” (Official Music Video)

今年リリースされたビル・キャラハンの傑作アルバムから新しいビデオカットが公開です。
シックなダークトーンで展開されるドローイングのアニメーション映像で曲に合ってるね。
特に新しくコメントすることはないですが…本当にいぶし銀の声で、いいアルバムですよ。