GVVC Weekly – Week 78

Perfume Genius – “Describe” (Official Music Video)

パフューム・ジーニアスの5枚目となる新作アルバムからリードシングルが公開されました。
これが、ドスンと歪んだギターがジリジリ這い回るドゥーム・オルタナ・カントリーなどと
呼びたくなるようなちょっと物珍しいスタイルで、色気も貫禄もあり芸術点高いです。でも
全体の重心がもう低音に寄り過ぎててヴォーカルとか本当にこのミックスでいいのか?って
思うんだけど、まあ面白いっちゃ面白いし格好いいサウンドではある。て言って聴いてたら
2分半そこらでブレイクしてアンビエントになり、そのまま戻ってきません。今回攻めたね。
他の曲も早く聴いてみたいところだけど、これは今までで一番いいんじゃないでしょうか?

Chicano Batman – Color my life (Official Music Video)

LAのチカーノ・バットマン新作アルバムから先行曲のビデオが公開されました。
LPのオープニング・ナンバーとなるこちらは、名前ほどには中南米を感じさせない
ロウな無国籍インディ・ダンス楽曲で、これすっごい腰にくるサウンドしてて踊れるよ。
中心に据えられた粘っこいベースと、全体的にカクカクしてサスティンのないウワモノや
ドラムとの相性が抜群で、妙な中毒性を生み出しており、つい繰り返し聴いてしまいます。
うだるような夏の日というか、炎天下で熱中症ぎみになった時、こんなノリにならない?

Dirty Projectors – Overlord (Official Music Video)

ダーティ・プロジェクターズの新曲ビデオが出ました。これはおそらく、アンバー達が
抜けて以来で一番好きかな。というかあの頃のアルバムがどう考えてももう完成系だから、
その後どう変わっても越えようがないんですよね。こういうのでいい、これでいいんです。
ただ、声が結局アンバーのがいいから、かなり洗練された音ではありますが、そこまでは。
なお、Heather Woods Broderickなどにも参加しているマイア・フリードマンがリードで
歌っていますが、Gemma、Ava Lunaのフェリシア・ダグラスも引き続き参加しています。

この辺とかに近い感じで。

Jordana – “Crunch” (Official Music Video)

Grand Juryとサインしたジョルダナは、デビューアルバムに楽曲を追加してリイシュー。
その中から新たに公開されたその追加曲の1つがこちらで、90’sに振り切ったローファイ
女性Voオルタナポップですが、非常にナチュラルな4+3の変拍子で構成された楽曲で、
下手したら最初気付かないんだよね。歌い方もかっこいいし、見た目もいかにもこの音楽
やってそうというか、翳りと尖りと気だるさの全てがガチっとはまっててイメージが明確。
こんな印象なかったんで、改めて前のも聴いたら、やっぱオルタナ味があるのはコレだけ。
今まではもっと典型的なLoFiベッドルームポップって感じだったからこの方向性はいいね、
今後ちゃんとバンドにしてったらどうかな?オーラあるし、めちゃ良くなりそうだよ。

Laurel Halo – Hyphae (Official Audio)

ローレル・ヘイローの2018年映画サントラが正式にリリースということで、一曲公開です。
プロパー作品と違って、環境音混じりのピアノアンビエント的な楽曲をベースに、テクノ系の
エレメントが散らかっているような音像ですが、緊張感のあるクールな佇まいで良いですね。
ジャケットのタイポグラフィもかなりいい感じじゃないですか?これヴァイナル欲しいなー。

Jaga Jazzist – ‘Spiral Era’ (Official Audio)

ジャガ・ジャジストはもう結成からでいくとキャリア25年みたいです。すごいね。初期は
もっとテクノ系の文脈でブレイクビーツみたいな扱いだったけど、段々と生音系に進化して
フュージョン・ポストロックに人力テクノみたいな、北欧ジャジー・プログレ的世界観に。
ちょいダサなのはもうずっとで、全面的に最高!って感じには決してならないんだけども
ドラムの音作りとかここ10年で全く変わってないし、レイヤーの組み方に特徴があって、
“自分らのサウンド”ってのを明確に持ってると、やはり抜けた存在ではあるのでしょうね。
5、6年前にTOKYO JAZZ FESTIVALか何かで、国際フォーラム前の野外ステージで
フリーライブやってるのを観たけど、かなりいいバンドで、相当演り込んでる貫禄あった。

Jessie Ware – Spotlight (Official Video)

2,3年間は単発のシングルだけを出していた印象ですが、ようやくフルアルバムを正式公表。
もう4枚目?”Adore You”に”Mirage (Don’t Stop)“あたりは収録されているようです。
その辺はちょっと突き放したレベルで本気ハウスだったから良かったんだけど、今回の曲は
ややコンサバな音楽に聴こえる仕上がりで、比べるとイマイチかな。でもまあこのあたりが
元々のイメージとのちょうど折衷案って感じの落とし所だと思うから納得ではあります。
歌姫化したけど、どうしてもやっぱRunningとか110%で出てきた頃のイメージは抜けない。

サンプリングネタ元と一悶着あって、曲名が変わっちゃったんだけどこれが110%ね。
チープにスレスレで、インスタントおしゃれに陥りそうなところギリギリで踏みとどまる。
アレンジこれでOKとしたのは英断、ミラクルですね。これならフランフランでもかけれる。

Real Estate – The Main Thing (Official Audio)

敢えて載せるか。今回酷いね。こんななるくらいなら、いっそ一度やめてみればいいのに。
何とも熱のこもってない、血の通ってない音楽。仕事でこなしてる感が露骨すぎてもう…。
こないだの曲も相当キツかったし。前作アルバムは悪くなかったのにな、どうしたんだろ。
これじゃせっかくジュリアン・リンチが入ってる意味もないじゃんかよ。一度レーベルを
小さいとこにするとか、自主リリースにすれば絶対また良くなると思うから、それ期待です。

今週のLPフルリリース(bandcampにフルで上がってるもの限定)

Kevin Krauter – Full Hand (LP)

ソロ作の2ndがフル公開。バンドは言わずもがな、ソロ前作も相当良かったけど今回も安定。
この人の音楽はなぜこうも瑞々しく自然な深みがあるのか結構謎で、そんな特殊な音楽性じゃ
ないし、要素だけを分析すると寧ろあんま特徴ないが、生活に根付いたリアルさというか、
嘘のないそのままの彼なんでしょうね。別に殊更ドリームという程のサウンドでもないんで、
ソフトな宅録ベッドルームインディとしか表現できない。ちょっとガチャガチャさせた曲は
正直いらないと思うから、ここからさらにもう少し落ち着けてドラム生にしたやつを作って。


Soccer Mommy – color theory (LP)

1曲目何でこれにしたかな?先行曲群でも感じてたが、ちょっと毒気が抜けたちゃったよね。
正直前のアルバムに比べると曲が良くない。ただこの子に限ったことじゃないけど、さほど
間を空けずに出す2ndってそうなりがち。そういうの考えるとプロになって長期ツアーして、
ツアーしながら曲書いて、そこそこ位の2nd出してまたツアーっていうサイクルで削られる
ってイイことない気がする。まあそれでもそこを目指す奴らが多いからこうなるんだし、
その生活でも毎度毎度、好盤作ってくる超人も中には居るが、もっとのんびりやってれば
クオリティ出せるのに、プロでやってく為のルーチンが目的化しちゃってるのは勿体無い。
作んなきゃ、で作った楽曲ってなんだかんだわかっちゃうし、キャラクター立ってるだけで
どこまでやれるか…録音だけが良くなっても意味ないしね。どこか可憐で寂しげな感じや、
いかにもredditとかdiscordに入り浸ってそうな雰囲気とオルタナの翳りとが結合して彼女の
テイストになってた気がするから、そのへんを大事にして欲しいかな。

時事ネタ
・昨年末に解散したYeasayerが、Weekndとケンドリック・ラマーを訴えました。
初期の代表曲”Sunrise”の特徴的な声ネタを盗用されてるという事で、当然まんま直ではなく
モディファイされてはいるのですが…、おそらくクロでしょうね。
短くなった幅もちょうどピッチ上げた分くらいに感じるし、なんつーかこういうの
腐る程あるんでしょうけど、にしてもこのパクり側の曲、売れ線映画のサントラ用とはいえ
インスタントすぎる酷い出来だね。発注元との出し戻しがどの程度あるのか知らんけど…。

原曲:最初がわかりやすい

盗用疑惑側;こっちは最後がわかりやすい