GVVC Weekly – Week 77


Jessy Lanza – Lick In Heaven

ジェシー・ランザ久々の新作です。引き続きハイパー・ダブからですが、アルバムの詳細
などは発表なく、現時点では単発リリース。Junior Boysのジェレミーと共作とのことで
シンセ・ドリヴンかつシルキーな肌触りのテック・ボーカル・ハウスになっております。
聴き易いけど、サウンドは明確にResident Advisor界隈。歌ってた頃のLaurel Haloとか
Kelly Lee Owensとかにも感じるんだけど、かなりクラブミュージックの鳴りしてるのに
女性の、どちらかというと甘めのボーカルが全編に入ってて全体の硬質さがややマイルドに
中和されてるの気持ちいい。薄味で固めのテクスチャーした食材にかける絶妙なソース的な。
ビデオは架空の朝番組収録現場というテイだそうですが、状況がわからない。そんな踊る?
個人的には最終盤に舞台袖からスラインディングして入ってくる奴の動きが一番好きかな。

Nap Eyes – So Tired (Official Lyric Video)

ナップ・アイズの新作アルバムから、ソフトにポップなオルタナ・カントリーといった趣の
こちら、マーク・ザッカーバーグというタイトルの楽曲に続いて2つ目の先行トラックです。
音響的にはそこそこビッグというか、多分、楽曲の路線に対して標準よりリヴァーブが深め
だと思うんですけど、それが効いてるんですよね。これもっと激ドライだったら拾ってない。
初期の頃はややガレージや、ジャングリー的なものを感じさせる方向性だった気がしますが、
いい感じに滋味が出てきていて、ウィルコ風にも聴こえます。なんだか落ち着く音楽だね。

Choir Boy “Complainer” (Official Video)

ユタ州ソルトレイクシティのクワイヤー・ボーイがアルバムの告知と、先行曲を公開です。
そこまでモロじゃない僅かにモリッシー的な歌唱(声が違いすぎるし)に、キュアー的ビート、
やりすぎレベルにドリームなギターと、この路線のいいとこ取り理想系みたいなサウンド。
ただやっぱり懐古主義には聴こえないというか、モダンな鳴りはしてるんですよね。でも
それはこの辺が守備範囲だからそう聴こえるのであって、こんな昔のUKそのまんまみたいな
音楽有り難がるなよって思う人もいるだろうことは理解出来る。まあ、専らこんなんばっか
取り上げてるならそう言われても仕方ないが、それなりに広いつもりでいるんだけどね。
兎に角これはヴァイナルで、現場でかかったら盛り上がるクラブヒットのポテンシャルある。
ちょっと西海岸へ向かう前のMinksっぽい感じもあり、いかにもDaisが出しそうな音楽かな。

DESIRE “BIZARRE LOVE TRIANGLE” (New Order Cover)

ディザイアがニューオーダーをカヴァー。意外性ゼロのチョイスではあるんだけど、なんか
やけに良くない?元々(DESIREが)もっと静謐なサウンドのイメージなので、これでも
平常運行よりかなりハッチャケて聴こえる辺り、無口が喋った!的なところかもしれない。
ビザール・ラヴ・トライアングルの筈が、途中で突然ブルーマンデーのキックも入ってくる。

Empty Country – “SWIM” (Someone Who Isn’t Me)

シンバルズ・イート・ギターズのボーカルだったジョセフが始めたエンプティ・カントリー。
昨年から先行トラックを公開しだして、これが3つ目なのですが、今までで一番いいかな。
バンドの頃から割と長尺トラックをダイナミックに展開させるのが上手く、これも特有の
純USインディロックに歌唱だけでエモ味を加えつつスローにバーストしてくスタイルです。
本来的にはアルバムがもう出てるはずだったのですが、発売元レーベルのTiny Enginesは
昨年末にAdult Monに告発された契約不履行の件でそれなりの所属バンドが次々離脱し
ちょっともう厳しそうな状況で、このプロジェクトも例に漏れず急遽移籍してのリリース。
契約書に規定されたロイヤルティーの支払いや収支報告義務の度重なる遅滞、それに対する
レスポンスというか言い訳の雑さ、あと原盤権がバンド側にないみたいなあるある話でして、
やはりもはやパブリッシングという意味ではレーベルは明確に必要ないんですが、プレスと
A&R的な観点では必要で、レーベルという存在が歪というか形骸化してる。本当過渡期です。

Cymbals Eat Guitars – Why There Are Mountains (LP)

この1stは今聴いても本当に名盤だから載せとくよ。10年以上経っちゃった…。
今思えばこの辺が、ミッドウエスト・エモとオルタナにPavement、Built to Spillラインの
インディロックというUSカレッジ系3大バンド音楽が、それぞれは単独でも残りつつも、
その全てが完全に混ざり合ったバンドも頻出するようになる流れの嚆矢のような気がする。
これは自主の時のジャケで、ヴァイナルが存在しなくてCDだけが存在するというパターン。
この後すぐ移籍してから泣けるほどダサい別ジャケットに新装されて再発されてますが。
時代を感じるでしょ?今じゃ考えられないが、2009年だと自主でCDだけのリリースって
有り得た。ヴァイナルは厳しいって時に、今ならCDじゃなくカセットだけにするよね。
カセットも出さないなら最初から配信だけでいいでしょ。あえてCDだけって意味がない。

Beauty Queen – Sweet Memory [Official Music Video]

LA拠点のマウイ島ルーツSSW、ビューティ・クイーンの昨年作EP以来となる新曲です。
なんでもTennisの二人がプロデュースということで、以前よりも更にクオリティの上がった
方向性を打ち出してます。過度にレトロ系の音像というところでも初期TOPS、テニスに
アリエルピンクのポップ路線諸作品を、更に激甘に調整したようなイメージがありましたが
今回の楽曲はそこにちょっと万華鏡サイケデリックというか、Melody’s Echo Chamberの
1stでやっていたような世界観をアドオン。まだまだオリジナリティは薄いですが、今後
良くなりそうな気配はあります。これ多分だけど、サウンドはこういうビンテージ志向より
綺麗目のモダンプロダクションの方が活きるというか、映えると思うよ。考え直すんだ。

Purity Ring – stardew

ピュリティ・リングが久々にプロパー新作をリリースするようで、引き続き4ADから。
最初の先行トラックであるこちら、5年くらい経ってるにしては思ったより変わってない
サウンドだけど、元々のウィッチハウス・トリップホップ系のR&Bが霧散したような
ビート構成じゃなくて4つ打ちになってるから、少し空間が開けた音像なのも相まってか
遅くマイルドにしたエピックトランス風の、大仰で大味なものに聴こえちゃうんですよね。
その割には勢い重視でもないから、ちょっと中途半端な感じだけど、ボーカルの処理とか
やっぱ特徴はあると思うし、明確な境目のない無限に広がる音楽性グラデーションの中、
どんなバランス調整の音楽でも掘れば大体見つかるというのが、インディの良さかな?

ellis – embarrassing (official music video)

エリスの最新作アルバムから、2つ目となる先行シングルがまたまたビデオでの公開です。
単独でも記事にした程に前回のトラックが燦然と輝く大名曲でこれ以上望むべくもないって
次元だったため当然そこからは落ちるのですが、改めて思うのは彼女本当に声がいい。
デビューEP路線の音響は完全に捨てたというところで、少しオルタナ気味のテイストが出た
3分足らずの塩味トラックになっており、アルバムに忍ばせとくのにはちょうどいいかな?…
うん、正直これはイマイチだね。どんだけ”推し”でも、甘めの評価をしてはいけませんぞ。

Born At Midnite – Born At Midnite (Every Time) (Official)

TOPSのデイヴィッドとBBQTのアメリーが始めたボーン・アット・ミッドナイトお披露目。
たった2分、曲のパーツが少ないループものだけど、終わり方が良くて勝負あり。逆に
そこしか…とも言えるけど。前やってたPAULAとはまた違った感じではありつつ、まさに彼
って感じの特色が滲み出たニューウェイヴ・ディスコソウルでいいんじゃないですかねっ?

The Strokes – Bad Decisions (Official Video)

先週出た曲に対して、自己模倣の再生産に陥らず、攻めてて偉いって書いたそばから早速
中々の自己模倣が出てしまいました。でも、一番いい頃の自己模倣だしギターの音とかは
あの頃まんまじゃないし、前回のと合わせて何にせよ、ここ数年では一番良さそうですね。
ただ、仮に良かったとしてもこの辺って別に掲載する意義は一切ないし、ある意味では
至極どうでもいい枠なんだけど、世間話みたいなセクションというかですね、皆様との
コミュニケーション。誰もが知ってる近所の有名なオッサンが猫飼い始めたとかそういう話。

Alanis Morissette – Smiling (Audio)

本当にどうでもいいけど、my iron lungにしか聴こえない。キーもBPMも同じやないか!
本人は知らなくても、このプロダクションに関わったやつ全員のうち一人も知らんってこと
有り得んし、プリプロで一言、”コレ屁にあるよねぇ?”って誰か言えば済む話じゃないの?
2000年代に一時モリッシーのツアーバンドなどにも参加していたマイケル・ファレルとの
共作らしいですが、そいつか?そいつのせいなのか?それともアラニス本人なのか?

今週のLPフルリリース(bandcampにフルで上がってるもの限定)

Califone – Echo Mine (LP)

キャリフォンの久々の新作です。今回、先行トラックは確か特に拾ってきてないですが、
あんまりシングル曲でどうのこうのっていう音楽性じゃないですからね。それでもたまに
とんでもない名曲もあったりするんですが、もう20年くらいやってていぶし銀の安定感。
表層的な空間系の音作りに流れない真のポストロックというかGastr Del Sol的なものの
系譜にも聴こえたり、自然派アンビエントやブルース込みの、地に足のついたアーシーな
アヴァン・フォークロックですけど、そこはシカゴ派の矜持というかエクスペリメンタルな
鳴りを徹底してて、その辺でおっさん臭くなりすぎない音楽性を提示してる所が流石です。
深いとこまでめちゃくちゃ”聴ける”し、これはかなりオススメの一枚に仕上がってました。


Moses Sumney – græ (LP)

モーゼス・サムニーのアルバムはまだ前半だけです。前もツッコんだけど、一枚のアルバムを
前後半に分けてリリース。ちょっと何言ってるのかわからない。その前半だけが今週リリース
ということでとりあえず12曲目まで。後半は5月に出るよ。単純に二枚に分けりゃいいだろ!
内容の方はアート・ソウルって感じで超コンテンポラリーですがDirty Projectors風の楽曲も
あり、圧倒的ベストは曲単でもピックアップしたM-12″Polly”で、純粋に歌唱が素晴らしい。
多分あまりごちゃごちゃさせない音像でシンプルに歌物やった方がクオリティ上がりそうね。