GeGeGe – Sameta


GeGeGe – Sameta [Official Music Video]

金沢のGeGeGeが12月発売の新作アルバムからリードトラックをMVで公開しました。
(松本のオルタナティブ・スペース、Give Me Little More体験記の中でも紹介したバンド)
各種ストリーミング・サブスク等でもシングルとしてリリースされています。
GeGeGe – “醒めた” smartURL

英語圏のインディが好きで、でも日本語詞でやってるというバンドの音楽は往々にして
どうしても日本的な”歌謡ロック”の呪縛から完全には逃れきれていないものが多いです。
それはマーケットを意識しての意図的な部分と、どうしても滲み出てしまう無意識下の
意図しないもの(そして出来ることなら隠したいもの)である部分、その両方の側面が
あるのでしょうが、今回ここでGeGeGeにより提示されているものは、
サウンドにおいて日本的な文脈から完全に切り離されたまじりっ気のないUSインディを
自然な日本語詞で展開するという、今まで高次では実現されていなかったものの理想系。
多くの研究者が志しながらも、実用化には一歩足りずにいたアイデアが、
突如起こったブレイクスルーにより遂に製品化にこぎつけた、っていう様な類の輝きで
これはエポックメイキングと呼びたい、理想的なスタイルだと思います。

自分がこの10年、全ての活動を通して究極的に志向しているものというのは、世界から
ステレオタイプ的に消費される日本性、Weird Japan、オリエンタリズム等に対しての
逆説的ではないカウンターであり、元来、英語圏発祥である広義のロック・ポップスを
雛形とした欧米のインディ音楽に対して、完全に同質なものを国産で生み出し輸出する、
またその考えを広め、国内の欧米インディ音楽総需要を高めた上で、輸入だけに頼らず
地産地消も可能にするということです。

しかしこのうち輸出方面の試みに関しては、
英語圏から見て、身近で完全に間に合っているものをわざわざ極東に求める道理がない、
というところで大きな壁にぶち当たっているわけですが、後者の”地産地消”に関しては、
当然のように英語で、メロコア全盛時などと比べるとはるかにマトモな発音で歌われた
(正直まだ道は遠いですが)純正の欧米インディ音楽とも言えるような楽曲のバンドが
かなり増えてきていますから、状況が明確に好転している実感はあります。
過去に日本で流行したどのようなバンドよりも明らかにUS/UKのインディに近い音楽が
まとまった数存在して、本場のものと並行して聴かれるようになるのが理想ですね。

ただ、現状の日本におけるマーケットに目を向けた際、脱歌謡曲的な音楽を支持している
リスナーですら、こと歌詞については「どうしても日本語でないと」という層がいまだに
(無意識下での選別も含め)一定以上存在していることを考えると、短期的なタームでは
商業的成功の伸び代は日本語詞バンドの方にある、というのが個人的に否定できません。

その点、GeGeGeのこの(日本語が)”聴ける”スタイルには、とても可能性が溢れてる。
ミツメあたりが好きな子達にも部分的にリーチできそうだし、このレベルが標準化すれば
連綿と続く日本のバンド音楽の悪い意味でのガラパゴス化を終わらせることができるかも。

坂本慎太郎に強く影響を受けたゲゲゲの歌唱が、数多の日本語スタイルの中で最も自然に、
強固にUSインディ的な楽曲と馴染んで結びつき、一つの完成系が示されたというのはー
ゆらゆら帝国の最後のアルバムと坂本慎太郎のソロ諸作品が
DFAやOther Music(Fat Possum)からリリースされ、欧米に熱心なリスナーが存在し、
ミュージシャン達からもリスペクト(元ガールズのクリストファーも大ファン)されている
という事実に、何だか不思議な因果関係を感じます。

少し話が飛躍しましたが、何はともあれこの楽曲が素晴らしかったということに尽きます。
うたかたの日々を気怠く紡いだ言葉がクリーンのツインギター紗織りに浮かんでは消え、
次回リアル・エステイトの来日公演前座に内定と言いたくなる清涼なインディ・ロック。
シンプルな骨子に、鬱陶しくならない程度のひねりを加えた相当クレバーなアレンジで
トリッキーなドラムパターンも効いてますが、一番白眉なのはベースのフレージングかな。
今作からバンド編成でのレコーディングということですが、各パートの編曲も基本的に
水野くんが全てコントロールしているのでしょうか?ビター・スウィート・シンフォニーを
はじめて聴いたの時のリアム某よろしく、10回くらいは連続でリピートしちゃったよね。
長髪メンバーのリアル断髪式を含むいなせなミュージックビデオの内容も大変グッドです。

ちなみに、作中に登場する印象的な流線型をしたCIBONEにいますぐ納品できるレベルの
オシャレインテリアはその断髪メンバー御当人、タクローさん自身による藝大の修了制作!

“醒めた”収録の『MOON』は12/18、引き続きDead Funny Recordsからのリリース。
Lilacs & Champagneの1st↓みたいなジャケットだね!