スウェーデン、ヨーテポリのビバリー・キルズが来年3月にリリースするアルバムから先行曲をビデオ公開。
Rama Lama Records周辺も含め近年のスウェディッシュ・インディに多くみられる、ポストパンク要素も多少加味した行き過ぎないドリーム具合のインディポップで、ジャングリーとかの路線ではないトレンド感のちゃんとあるフレッシュなサウンド。
演奏もHaterとかよりもっとチャカチャカしていて青臭い大学生ロックしておりまして、ボーカルもあどけなさ残る上にちょっと英語がめちゃくちゃスウェーデン訛りなのもあり、いかにもインディな音像になってます。でもすごく華があるし、メロディにも声色にもツヤがあっていいね。完全にボーカルありきのバンドではありますが、面白いかもしれないです。
福祉大国のレーベルがWelfare Sounds & Recordsってのがどこまでジョークなのか、笑っていいトコなのかわかりません!
Baths – Sea of Men
バスが実に7年ぶりとなるプロパーのフルレングス作をアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
いや、これは言うまでもなく衝撃的な変容ぶりです。そもそもまず、バ、バンド…?記憶に新しいところでいくとMount Kimbieがバンド化したのと同じかそれ以上のビックリ・トランジションでエレクトロニックポップ系ですらなく一気にインディロック化してしまいました。
弦楽隊と生ドラムが客演で、それ以外は全て本人によるもののようです。おそらく本人がギターをちゃんとは弾かない人のはずで、少し違和感があるというかオーセンティックなギターバンドのサウンドではほぼ無く、全体的に若干うさんくさい音作りではあるのですが、楽曲自体はクィア・ウィアード・ポップといった感じの自然な仕上がりで、元々からこういう音楽であったかのような佇まいです。
ちょっとチルウェイヴ全盛期にインストヒップホップ~beats寄りの雰囲気で出てきて、その後ソリッドなエレクトロニック路線に進んでましたが、ここへ来てこうなるとは面白いです。アルバム全体この感じなんでしょうかね…。
Horsegirl – Julie
来年2月に引き続きMatadorからリリースされるホースガールの新作アルバムより二つ目となる先行曲がビデオで公開。
一つ前の楽曲も紹介しましたが、またしても素晴らしい仕上がりで、隙間を生かした脱臼ポストパンクと温かみのあるインディフォークを同時に展開するような等身大の手作りアートポップになってます。
このうちどの程度がケイト・ル・ボンのプロデュース手腕によるものなのかは不明なんですが、思い切った大幅な路線変更が本当に大成功してる感じで、本編がますます楽しみですね。
El Perro del Mar – Ox and Lamb
エル・ペロ・デル・マーが突如、何の情報もなしに発表した新曲です。
メディアにもbandcampにもリリースも何も載ってなくホント唐突な謎シングルですが、ビートレスで全編オーケストラル・スウェルのアンビエントバラッド風楽曲で、彼女のレパートリーの中では割と新機軸。当初は少し不穏な雰囲気を見せるも徐々に開ける映画のサントラのような展開で終盤の高揚感とか実に素晴らしく、単発で終わらせるにはもったいない仕上がり。年末にいいもん聴かせて貰いました。
今週のLP/EPフルリリース
Sunfear – All At Once (LP)
もうリリースがないので、おそらく今年最後のアルバムレビュー。例によって競合が少ないタイミングゆえのオマケ採用な部分も若干あるとはいえ、中々良い感じです。トルコ、イスタンブールの女性アーティストによるソロプトジェクトですが、共同プロデュースやミックスで入ってる準メンバーというか相方的な男の子も居るようですね。これが2枚目なのかな。
方向性としてはいわばGrouper路線でありまして、濃霧につつまれた幽玄アンビエント・ドローンフォークが基本ですが、ごく控え目ながらビートも入ってるトラックがチラホラあったりと完全にモヤモヤ一辺倒ではない感じ。少しゴスやドゥームゲイズ辺りの雰囲気まであるんだけど、苛烈さはなく非常に弛緩してて、それが虚無の果てのソレというよりかはどこか温かみを感じるというか、ちょっとした柔らかさと光を湛えてるようなタッチがあり、その辺があまり他で見かけないような面白さ。M-6やM-8に至っては枯れたドリームポップと言っても差し支え無かろう。
リリースでは前作より今回の方がダークだと自称しているようだけど私はそうは思わないな。今回の方がオリジナリティあるし、そんな暗い印象もなく(いや暗いか…)、より美しい。あとはなんかジャケが良いね。これはまだまだ伸びると思う、この先が見たい。もう少しだけポップにしてもいい。
おそらく2024年のWeeklyプロパー更新はこれで最後です。もしかしたら来週もあるかもしれませんが、取れ高次第かな。
いずれにしても年間ベストソングは今年もやりますんで。