GVVC Weekly – Week 131


Leo Bhanji – Raw

Dirty Hitからリリースしているロンドンのハタチ、レオ・バンジくんの新作EPから先行曲。
正直ダーティ・ヒットって時点で少し身構えるし、今までの曲はちょっとチャラめというか
さもありなんなトラックだった気がするんだけど今回は凄くいいバランスでアブストラクト
宅録アートポップ系に仕上がっており芸術点が高いです。最終盤にて突然ドライなギターが
入ってくるあたりの構成とか素晴らしく、内省的でナイーヴかつナルシシスティックな風情。
多分他の曲は別に良く無さそうな香りがプンプンするが、要チェックです。本業はモデルね。

Big Thief – Off You (The Breeders)

件の4AD40周年アニバーサリー公式カバー集から遂にビッグ・シーフのBreedersカバーが。
すっごく良くない?このサウンディングとこの声で完全にモノにしながらもやっぱ微妙にね
楽曲自体のクセというか、フシ回しが違うから新鮮味があって引っかかる。しっかし楽曲の
チョイスがもうなんとも言えないっていうかホント好きよねぇ…って感じであっぱれですね。
枯れっ枯れの佳曲がすごく瑞々しいフレッシュなインディ・フォーク化していて輝いてます。
コンピ全体も今週フルでリリースとなりましたが、こちら単曲の紹介に代えさせて頂きます。

COLD CAVE – NIGHT LIGHT

コールド・ケイヴはプロパー作のLPとなるともう10年出してないんだね。確かにEPとか、
単発のシングルばかりのイメージだったけど、最近アメリカン・ナイトメアの再結成とかも
やってたしね。ってことででも久々に本家ユニットでの新作が出るようで、まあやはりLP
ではなく7曲入りのEPというかミニアルバムみたいですが、企画物でもなく純然たる新作。
そちらから最初のトラック、それも完全にリードシングル扱いと思われるこちらの楽曲が
公開です。ダークウェイヴなのはもはや声だけの非常にキャッチーな路線で、相変わらず
イアン・カーティスが死ななかった世界線のニューオーダー直径サウンドになっております。


Silverbacks – She Cut Her Hair

ダブリンのシルバーバックスがEPをリリース。他はデモやアウトテイクを追加しただけで
実質この曲のシングルみたいなものなので単体の方で紹介します。もう音からして他のは
マスタリングもしてないみたいな感じなので(聴いたらわかるよ)割り切ったリリースね。
でもこのタイトル曲はなかなか素晴らしくて、ストロークスがビルスピやモデストマウス
などのUSインディ直径に染まりまくったような路線に最近のUKポストパンク勢の香りを
加えてコンパクトにまとめた聴きやすいトラックで、大変スッキリしたサウンドがグッド。

Ólafur Arnalds – Zero

アイスランドのベテラン、ポストクラシカル・アンビエント作家オラファー・アーナルズの
昨年作アルバム収録曲にショートフィルム風のMVが出ました。楽曲的には特別どうという
事はなくて、ピアノアンビエントにシュゲーズの幕がかかるヘイジーなポストクラシカルの
トラックですがこれ映像がありそうで無いというか、このシチュエーション自体はよくある
と思うんだけどこういうライティングでって見た事ある?一気にモダンになって美しいよね。

Madeline Kenney – “Superstition” (Official Music Video)

マデリン・ケニーの最新作EP収録曲から、更なる後追いのビデオカットが登場。これでもう
本人がひたすらヨットに乗ってるだけのリリックビデオ含めれば全曲にビデオあるのかな?
今回のこれは背景スクリーンが様々なロケーションに放置され風に揺れる現美風の謎アート。
別に深い考察とか無いんだけど、カット割のテンポ感と音の組み合わせでいい映像だなと。

今週のLP/EPフルリリース

Moontype – Bodies of Water (LP)

この浮ついた生ぬるいボーカルが特徴。おまけに演奏もなんかドタバタしてるけど、空間に
余裕があって微妙にスカスカ。オルタナフォーク・ポストパンクって言ったらいいのかな、
穏やかそうだったり突然元気に激しかったりと、単純に楽曲だけを切り取ってというよりも
受けるイメージというか、全体像としてのその最終的なアウトプットは中々面白いサウンド
してると思う。ガツンとファズかましてきたと思ったらブラシで軽やかカントリーポップも
飛び出すし、M-9みたいなリズム変化ありきのトラックもあるしで、ダイナミクスは決して
SSW作ではなく完全にバンド。そして常にどこか愛嬌のある鼻詰まり声がフワリ乗ってる。
まだちょっとショボい所あるからもう少し完成させてほしい感じあるけど、凄く好きです。
去年のベストトラックにも入賞したM-7はやはり名曲。ほんと歌心あるし、最後はそこね。


Flock of Dimes – Head of Roses (LP)

やっぱり好きだなー、Wye Oakの方がまあクオリティは締まってるのかもしれないけども、
このソロプロジェクトはより純粋に彼女の良さを感じれるというか本当ダイレクトに生身の
人となりがパッケージされてるの。表層はインディオルタナ周辺の雑食SSWサウンドだから
然程特徴のある音楽性ではないというか、形容は難しい。ちょっと清涼感があってドリーム
成分もあるんだけど甘すぎず、アートポップまで行くには中庸というか普通。でも全く同じ
バランスの音楽あるかと言われると無い。もちろん声もいいんだけど、違いを生み出してる
一番のポイントはちょっとだけコンテンポラリーなところというか響きとか空間の広がりが
すごいモダンなの。マデリン・ケニーのプロデュース業でもかなりその特色を発揮してたと
思うし、どんどん洗練されていってるからこの名義も最初のLPより断然今回のがいいかな。


Major Murphy – (LP)

想定よりはいい。ものすげー塩味だけど90sのインディロックって全般的にそうだと思うし、
オルタナいうほどオルタナに振り切ったわけではないこのソフトランディング具合が流石の
バランス感覚。でも正直言って俺はこれは繰り返しは聴かないね。単曲でも紹介したM-3は
かなり好きだけど、全体的にリズムのギミックが無さすぎてツマランのが致命的かな。もう
こんな裏裏どころか裏もない純粋な8ビート延々と垂れ流すのは無理、それもギターとかが
遊びでフラフラしたフレーズを入れまくってるならまだ何とか聴けるけどそれもなし。まあ
これを言っちゃつまり純ロックのダイナミズム範疇に完全に収まってるバンド音楽ってのは
恐ろしく曲、メロディが良くないと聴いてらんないわけです、彼らに限らずね。あと、この
音楽性は曲名が長かったら絶対ダメなやつなんだけど、ちゃんと短くて偉いなと思いました。

小話
Big ThiefがバンTeeに『アカン』モチーフを使っとったわ言うことで、自主回収というか、
販売取り下げを表明し謝罪。これがですね…正直そこまでヤバい代物では無い上、むしろ
この対応がちょっと卑屈というか逆に慇懃無礼っつーかなんつうかなんです。皆さんどう?

インスタのオリジナル投稿(問題の画像あり)

内容としてはこうです。元々のこのデザインの意匠は所謂「精神がとらわれていること」の
メタファーとしてのイメージだったということなんですが、肌の色をパープルにしてたのは
当然、人種問題に関わる諸々を回避するためで、でもよくよく考えるとそもそも投獄という
仕組みそのものがレイシズムに基づいているものだし、そんなにおいそれとモチーフとして
採用すべきものではなかった上、ましてや人種問題を回避しようという意図で肌の色を紫に
なんて小細工を施した上でのアプローチだったってことでその一連のマインドセット自体が
もろ白人特権だったわ…無配慮でした、って話。問題になってるのはロンTの袖の1部分ね。
まあif you say so…って感じではあるのですが、上手く行っている者達の、絶対に失敗が
許されない、絶対に足元掬われないための過剰な守りの姿勢が垣間見えて少し辟易します。
間違ってること言ってるわけでは無いんだけどさ…一度出してからの即ってトコも含めてね。