GVVC Weekly – Week 150


Big Thief – Little Things/Sparrow

ビッグ・シーフから久々のプロパー新曲が2つ同時に公開です。1年に2枚出た前作、個人的に
後で出た方が紛れもない名盤で、その頃のライブ映像なんかも最盛期感が迸ってましたので、
エイドリアンのソロ作まで素晴らし過ぎた事もあってある意味逆に新作が心配になる部分も
あったがんですが杞憂でした。ここまでの高みに来るともう曲がどうのこうのというよりも
バンドサウンドが完全に生き物。音楽性とかソングライティングでなんとかするのではなく
異次元まで到達したアンサンブルの強度、ただそれだけで完璧な仕上がり。楽器のパートが
もはや分離して聴こえないというか、ベースとドラムのタイム感と引き・突っ込みの共有が
完璧で、エディットでは絶対に出せないバンド音楽の本当の醍醐味を体現してるんですよね。
Sparrowの方は、ほとんど弾き語りでも成立するようなものに金物なしのドラムとベースを
足しただけなんですがその編成に於いても蛇足になってないというか、完璧にバンドしてる。

Tasha – Lake Superior (Official Music Video)

前作のミニアルバムも素晴らしかったシカゴのSSW、ターシャのニューシングルビデオです。
ツアー発表とセットで公開用の単発扱いでアルバム等の情報はありませんが実に強度のある
ハイクオリティ楽曲で、美しく自然を感じさせる雄大にドラマティックなサウンドスケープ。
アレンジメント度外視で考えるとまあ典型的なナチュラルSSW的な方向性ではあるのですが
本当ごく僅かに感じるソウル・R&B味と、それに相反するはずのヒッピーノマド系な開放感、
さらに洗練されたモダンなチェンバーポップ的テイストも入ったハイブリッドな音楽ですね。

Magdalena Bay – Secrets (Your Fire) (Official Video)

マグラレナ・ベイの10月に満を持してリリースされる1stフルレングスより二つ目の先行曲。
素晴らしい、今までで一番良いです、これは売れるわ。キャラクター的にもハマっているし
うさんくさ90’sフューチャーポップがクリティカルヒットしてる。ミュータントディスコと
一時のNot Not Fun周辺を感じさせる粘っこい宅録プロダクションのインディダンス、VHS
ニューウェイヴと、ローファイ版かつ偏差値がかなり下がった版のPC Music周辺というか、
Danny L Harleが常勤参加以降のキャロライン・ポラチェックのソロ作をラフに馬鹿化して
Glorietteから出したらこんな感じだったかもね。ヴェイパー以降のガバガバ・ニューエイジ。
リアルタイマーじゃない(ギリ生まれてる位)世代が憧れでやってる適当な90’sって感じで、
まさに我々の世代がやってた80’sの感じをそのまま時代スライドしたようなもんだと思う。


HTRK – Rhinestones

ヘイトロックが9月にリリースする新作アルバムからオープニングトラックを先行公開です。
なんと、コールド・ウェイヴをかなぐり捨てまさかのアコースティック化という斜め上進化。
ゴシック・カントリー・ドリームフォーク的ないでたちのサウンドになってしまっています。
これ、この曲がたまたまコレなんじゃなく、今回基本こういう路線らしいので楽しみだね。

SHADY NASTY – R0LL1N’ H1LLZ (ft. Yoni Yen)

シドニーのシェイディ・ナスティが10月にリリースする新作EPより先行トラックのビデオ。
もともと、空間系を使いアトモスフェリックな表現を多用するオルタナ・ポストパンクって
感じのサウンドにラップまで行かないイギリス英語圏の『喋り歌い』を乗せて、ルックスは
ブリットポッブ系不良つまりchavなルックスというバンドですが今回はアンビエント感を
更に増し増しで、美しい人力トリップホップのような楽曲になっており、ゲストボーカルも
完璧にフィットした出色の出来映え。表層はドリーム感のある装飾ですが、歌唱やビートで
強いストリートのテイストを付加しており、少し不穏というかサグ味が出ていて新鮮ですね。

・Chromaticsが解散を発表。Johnny Jewel以外のメンバーがJohnny Jewelに一切の言及
なしで一方的に発表となんか裏のありそうなステイトメント。一応、Johnny Jewel本人も
当たり障りのないコメントを出してますが、マイク・シモネッティがレーベルを抜けた時の
なんやかんやに、Dear Tommy出す出す詐欺といい、彼がメチャクチャ問題ある奴なのは
明確なんでまあ、特に驚きもないというか…って所です。Air Franceにも使ってもらって、
かなり儲けたであろうGlass Candy代表曲は大パクのパクリで、マイク・シモネッティが
この曲教えてあげたのに(その数日後にパクった)、後で問題になった時はシラを切った
っていうので彼は激おこであります。やりすぎないかなり絶妙なパクり具合で上手いよね。

この曲、KindnessのCyanと共に10年前めちゃ流行った。渋谷ECHOで何回も聴きました。

今週のLP/EPフルリリース

Wednesday – Twin Plagues (LP)

ドゥームまで行かずとも、ひたすらにダウナーでダルな日陰者ストーンド・ロックのM-1は
これぞオルタナ、オルタナの塊みたいなサウンドで幕を開ける。でも然程シリアス過ぎない
というか、若干のストリート感・ガレージ味があり、パンク上がりのエモ路線も多少入って
割とモダンな音楽性。カントリーフォークや、意味不明にマイブラすぎるM-9なんかもあり
全体的な楽曲の振り幅もそこそこある。でも最大の武器はこのボーカルで、すれっからしの
愛というか、抑鬱とやけっぱちの中にピュアなイノセンスが輝いてる様なエグってくる歌唱。
一曲選ぶなら先行のM-6かな。ラフ聴こえるのにその実かなりクレバーなドラムが効いてる。