GVVC Weekly – Week 165

ML Buch – Fleshless Hand

コペンハーゲンのエムエル・バッチ(現地的にはおそらくブーフ、バックもあり得ます)が
昨年作アルバム以来の新曲をリリース。以前はヴェイパー通過以降のモダンなニューエイジ、
コンテンポラリーの装飾でミュータント感のあるアンビエントポップ・シンセウェイヴ等を
やっていた印象ですが今回はより洗練され、いい意味でシンプル目に進化しクリーンな印象。
ポリスもびっくりな80’sコーラスのギター先導などもあり一層インディの範疇で語りやすい
サウンドはYohunaなどのラインに近い着地点でもはやバンドでやった方が映えそうな楽曲。

今週のLP/EPフルリリース

Julie Doiron – I Thought Of You (LP)

近年Mount Eerieと中々素晴らしいコラボ作をリリースしてた印象があるけど、オリジナル
フルレングス作って滅茶苦茶久しぶりなんじゃないのかな?それでも大きく変わる事もなく
凄く良い内容です。今回特に所謂SSWの作品って風情が強すぎず、バンドの元気が良くって
楽しい演奏はズコンとオルタナ(オルカン)かます重めのインストアンサンブル箇所もあり、
ギターポップと呼びたくなる軽やかな躍動感ありでそれなりに華やか。それでも使っている
楽器やレイヤーのサウンドに飛び道具的な幅はなく純・スタンダードなので音像自体は地味
というか何か別ジャンルが顔出す余地はないのですが。初期のフレンチオリジンを解放した
かなりアンニュイな趣はほぼ残ってませんが、それでもフンワリと掴み所のないボーカルは
深めに突っ込んでもどこか飄々としており、クラシックにならずインディの風情を強めます。


Aurora Dee Raynes – Invisible Things (LP)

もうザ・UK、ロンドンってイメージで表層的なサウンドコーティングはモダンなクラブ系
エレクトロニックの趣がかなり強いが、演奏はバチバチに人力ライブバンドで運用してます
ってなった時、まあこうなるよねっていう凄く合点の行く音楽性していて、フォーマットで
見ると個人的にそう好みのモノでも無いのに、競合の少ない週にしろ何故拾ったかつーと…
『スタイリッシュにしたソウルポップをジャズの素養が無い奴で生演奏に仕上げたら、勢い
オルタナっぽくなる』これが事故的に起こっていて、それがなんか退屈しない絶妙な着地点。
シティ系からのアプローチと違い甘さがなくていいし電化して個性薄めたジャミラ・ウッズ
みたいにも聴こえる。なんというか、チャラ過ぎないエレクトロニック系のハウスがかかる
クラブで演奏していたら一番盛り上がる音楽性してるなと。昔でいう代官山AIR的なですね。
惜しむらくはジャケットデザインが絶望的にダサいね。今年ここに載せたもので一番酷いよ。

・小話
今週はもう準・年末進行とサンクスギヴィングの影響でリリースが非常に少ないので小話も。
twitterにも流しましたがUSコネチカット州のイラストレーターであるパンクスRobさんが
パーソナリティからリスナーからもう共和党員、保守派だらけの超コンサバ・ラジオ番組に
電話コーナーで出演し、『リベラルの強いエリアで疎外感に悩む共和党員・保守クラスタ』
を装って思いの丈をぶちまける、という体裁のストーリーの中に著名なパンク(広義での)
バンドの名前をバレるまでひたすら仕込み続けようと試みた結果最後まで一切気付かれずに
話が終わっても全然気付いてくれないんでより露骨に続けても会話が普通に成立してしまう
っていうヤツです。それも最近のとかマイナーなのじゃなく超ド級にビッグネームばかりで。


これ、バンド名の組み込み方と文が本当に秀逸なんで、フルでヒアリングできなくてもぜひ
書き起こしを読んで下さい。今週のベストはコレです。基本的には深く考えずに、笑い話で
いいとは思うんですが…娯楽が行きずりのものではなくて精神的な部分や思想も強く含んだ
『文化』であるとした場合に、それを好むと好まざるとにかかわらず、認知レベルの段階で
ここまで文化的な断絶があるというのが…完全に違う世界の住人で、分かり合えるどころか
同じ議論の俎上にのることすら不可能だろうなと強く印象付けられる一件で、ちょい凹む。