GVVC Weekly – Week 164


King Hannah – All Being Fine (Official Video)

キング・ハンナがついにデビューフルレングス作をアナウンスして先行曲をビデオ公開です。
当時ピックアップした9月の楽曲も予想通り1曲目に収録で、今回のと計2曲聴いただけでも
期待を裏切らない内容であろう事が確実な完成度。ダークでスモーキーなサイケロックの香、
ダルでミニマルなトリップホップ感と程よいノイズの仕込み具合も本当に絶妙で、いまいま
出てきたばかりのバンドと思えぬ異様な貫禄の上、ボーカルはルックス込みで全てが完璧。
主軸メンバーが監督・編集したMVもサウンドとの対比がクールで、今回は歌詞まで良いね。
傑作EPに引き続きCity Slangからのリリースですが遠くないうち絶対、大物になりますよ。

Big Thief – Time Escaping (Official Audio)

ビッグ・シーフが予告されていた通りダブルアルバムをディテール込みでの正式アナウンス、
デジタルでEPに纏められていた最近の楽曲も普通に収録されており、アートワークももう
ここんとこずっと使ってあった動物さん達が集まって演奏しているドローイングそのままで
ちょっと新鮮味が薄れていますね。今回さらに追加として収録される楽曲の中では5つ目の
トラックが公開。ちょっと新機軸で、若干サイケ・トライバルの風味がある面白サウンドは
相変わらず演奏の馴染み具合が素晴らしいですが、アレンジに対しボーカルが少し浮いてる。

Neggy Gemmy – Neggy Gemmy – California (Official Visualizer) [VR 360°]

ネガティヴ・ジェミニが内々で使っていたニックネーム『ネギー・ジェミー』に正式改名し
サードアルバムからの楽曲を先行公開です。LPのディテールやデイトはまだ出ていませんが
来年のリリースでしょう。サウンドフォーマットとしては凄く好きな部類ではないんだけど
この人はなんか聴けて、最初期からそこそこ追っている。彼氏とレーベル自体の人気も多分
同じ理由なんだろうけどポストインターネットにメンヘラとドラッグが素晴らしくマッチし
完全融合、見た目も良かった事で殊更カリスマティックな存在感を出し過ぎてしまったね。
それ程ハイパーにもPC Musicにも振り切らず程々に夢想的でアンニュイな調整もポイントで
Charli XCXにドリームとメランコリックをまぶしてFever Rayを憑依させた様なサウンド。

今週のLP/EPフルリリース

Mr Twin Sister – Al Mundo Azul (LP)

M-1の冒頭だけ聴いてもう超一流のバンドだって分かるよね。鳴りの存在感と独自の音楽性
そして何より素晴らしすぎるボーカル。これが今や基本自主でリリースしてるんだから色々
凄い。しつこいがハウスやダンスを強めてからの路線は正直、個人的な好みとしては彼らに
求めるモノではないとはいえ出してくるクオリティがこれなら文句ないよ。具体的な内容は
知的なニューウェイヴ、ポストパンクにシカゴハウスなどがごった煮されたインディポップ、
アートロックというこれ以上無い程ブルックリンらしいサウンドに、時折顔を見せる中南米
スペイン語圏の風が吹き、あるいは一気にドリームとセンチメンタルが加速する瞬間もある。
なのに全体での印象はダンスで、コンプ感の強いハリコシある質感は腰を踊らせに来るけど
決してバキバキはしてない、むしろ脱臼路線。あとはあまりシリアスになり過ぎないように
って意図があるのはわからないけど、面白いSE的な音・遊びのシークエンスが全編にわたり
仕込まれていて、なんとなくストレンジで楽しい雰囲気を醸成してます。前作の『Salt』や
その前のs/tなんかも良かったけど、少しだけ物足りない部分があった。Domino在籍時の
1stが100%自由にできた内容かはわからないけど、勢いってものがあるし、なんだかんだ
微改名以降、本当の意味で完成されたアルバムってのはこれが初めてなのかもね。オススメ!


You’ll Never Get To Heaven – Wave Your Moonlight Hat for the Snowfall Train (LP)

ユルネバ。寡作だけどジワジワとファンベースは拡大しているみたいで過去作ヴァイナルも
discogsでそこそこの相場を保っている。レーベル的なステップアップが全くないにしても
なんか今の立ち位置って素敵で、モスクワクラブのアルバムにゲストで参加して貰った時の
恩義と思い出もあり(私がキャスティングしたので)その節はお世話になりました。今作は
ビートが希薄になり、より一層ミニマル・アンビエント的なドリームスケイプ。冷たい質感、
構築的で環境テクノに聴こえる瞬間もあるが、ボーカル入ると激甘ってところでバランスを
保っており美しい。昔コールドウェイヴ的なニュアンスもあったけど今は清廉で瑞々しいね。

件のゲスト参加してもらった楽曲は7″でシングルカットされてて、こちらでまだ聴けますよ。


Holy Other – Lieve (LP)

か、変わってねー。逆にびっくりするくらいそのまま、完全にあの時の延長線上なんだけど
強いて言うなら少し光を帯びてダークさ、つまりウィッチ度が減退し美麗エレクトロニック
然としてきたのかな。一番面白いのは一人『シーツ』から時が止まってるなって思ってたら
この復帰作でも『シーツ』と思しき何かだったってトコ。ブレてなさ、おみそれしました。
当時からだけど、この人はグシャっと汚い部分がなくてプレーンでクリーンだから好きだし
インストのダウンテンポR&Bみたいにも聴こえる、非常にシネマティックで良いBGMです。


Ovlov – buds (LP)

スタンダードなギター二本とベース、ドラム4人編成のザ・USオルタナロックなサウンドで、
ただ内訳がダイナソーJr、ペイヴメント、ディアハンターにHer’sが入ってるとこがポイント。
ほんのちょっとだけソウルポップな進行を入れたり、局所的に男女ツインにしたりする事で
一気にモダナイズされ、硬派なオルタナロックで終わらず彩りのある世界に。バンド演奏も
軽やかなミックスだがアンサンブル自体は割に強靭、ガツンと強みを生かしたアレンジです。
『元気出して、チヒロ!』はスロウで重めのツインボーカル楽曲にサックスが入ってる謎曲。
トータルランニングタイム25分弱のコンパクトさもかなりプラスに作用してサクっと聴ける。


Beach Fossils – The Other Side of Life: Piano Ballads (LP)

ジャズとピアノバラッドは違うだろ。これはジャズじゃねえ、と思ってたらジャケットには
ピアノバラッドと書いてありジャズの文字は無い。リリースにはジャズ・バラッドの文字が
あるが…サウンド的にも微妙なとこですね。つまりなんか、もっと本気のジャズアレンジを
期待してたんだけどそれは私が勝手に勘違いしていただけみたいです。まそれは置いといて
内容は中々イイ。凄くしっとりしてるし、歌唱が嘘くさくないというか取ってつけた感じに
なってなくてジャケのイメージ通りな音楽は、純粋に楽曲が輝くバー・ラウンジポップです。
Captured Tracksの全盛期(正確には全盛期前夜)、正直1stの時点ではWild Nothing派
だったが2nd以降で完全逆転しましたね。まあ商業的な成功はワイルドナッシングの方なの
かもしれないけど。2nd直前から2ndの頃のバンドとしてのカッコ良さって本当に異次元で
他に比肩し得る存在がないくらい、出てきた頃のストロークスみたいなレベルだったなと。

この辺ね。