GVVC Weekly – Week 183


Art Moore – “Snowy” (Lyric Video)

Boy ScoutsのTaylorがボーカルをとる新バンド、アート・ムーアがデビューシングル公開。
ボーイスカウツと同じくANTI-からのリリースで、とりあえずアルバムのアナウンス等なく
単発のようです。企画ありきの結成ではなく、スタジオワークで知り合い、試しの共作など
していく中で落としどころがやけに合うよね?と余りにしっくり来過ぎてしまった事による
自然発生的なプロジェクトで、ナルホドもの凄く良い、こちらが本体になりそうな気配すら
あります。サウンドは非常に中庸で、少しだけドリーミーでソフトなインディロックという
アクの強さが一切無い音楽性ですが、フレージングから音色からガッチリ噛み合った演奏は
何度も繰り返し聴ける流れるように自然なテクスチャー。何年もやってるバンドみたいです。
文句なしに今週のベストトラック、地味だけどこの素晴らしさはわかりたい。真のオススメ。

Pet Shimmers – Sonder

ペット・シマーズの新曲は、ペイヴメントのボブ・ナスタノヴィッチが運営のレーベルから
7インチでリリースされるシングル。まずはA面楽曲が公開されました。基本的な方向性は
変わらないが、とっ散らかったカオスはそのまま少しだけ直球に、よりコンパクトに纏める
方針が感じられ、シングルカットも納得なサウンド。スピリット・オブ・ビーハイヴとかの
オルタナ狂乱アートロックに共鳴するミュータント感と、わずかに溢れるセンチメンタルが
キラリ美しい。正直、直近のアルバムは悪い意味でクレイジーが過ぎて好みではなかったし、
この調整は満足。ビデオも公開されてますが余計な音が入っているのでAudioの方載せます。

Momma – Speeding 72 (Music Video)

ブルックリンのモンマがPolyvinylと契約し7月にリリースする新作アルバムからの先行曲。
少し清涼感のあるファジーな90’sオルタナ、カレッジロックの理想型で、初期のYuck的な
バランスですがボーカルがジュリアナ・ハットフィールド系なのでそこで趣が違ってますし
メインの女子二人がキャラクター立っていてバンドの画的にもキャッチーで良いなと思う。
有りがちっちゃまそうだけど、ちょっと細かいとこの歌メロと節回し割と気が利いてます。

Julia Holter, Harper Simon, Meditations On Crime – Heloise (feat. Geologist)

ニュープロジェクト、メディテーションズ・オン・クライムのお披露目となるデビュー曲は
ジュリア・ホルターとハーパー・サイモンのタッグがメインプロデューサーで、アニコレの
ジオロジストが客演という構成。所謂エクスペリメンタル・アンビエントポップという趣で、
参加メンバーの並びと違和感ないサウンドですが正直単にJulia Holterの新曲と言われても
納得するようなものです。リリース読んでもよくわからないのが、別に今回のメイン二人の
ユニットというわけじゃなく、彼女らもただ起用されてるってだけで、じゃあ本体の中の人
いったい誰なのって話なんですが、そこんとこが何も書いてねえ。不定形ってことなのかな。
Harper Simonてのはあのポールサイモンの息子です。アートワークが凄く良い写真ですね。

Wasp Factory – Climate Crisis Redux

オハイオ州コロンバスのワスプ・ファクトリーがリリースした新曲は、厳密には2020年末に
リリース済みの7インチシングルの楽曲を再録・再編曲したもので、こんなに短いスパンでの
再録再リリースってあんま聞かないよね。それも、劇的に変わってるわけじゃない。確かに
間違いなく良くはなってるのですが。サウンドはいわゆる声がずっとひっくり返ってる系の
ポストハードコアで、フリークアウトして乱雑なカオスアンサンブルから一転、勢いのある
ストレートな展開に雪崩れ込んでは戻るプログレシッヴパンク。スカスカ系の演奏じゃなく
賑やかで重層的なので、ブラック・アイズというよりブラッド・ブラザーズ的な方向性かな。

今週のLP/EPフルリリース

Georgia Harmer – Stay in Touch (LP)

アルバム自体のアナウンスより前、昨年公開していた先行シングルM-2が凄く良かったけど
全体的にちょっと決め手に欠けるなという印象で、これまで掲載はしてなかった。この場合
2パターンあり、道理でLPでも印象変わらず最初にひっかかった件の曲しか聴けないという
(こっちのケースが多い)場合と、意外とちゃんといいじゃん、スマンかったねという場合。
こうやってピックアップしてるから敢えて書くまでもないが、今回は後者だったという話ね。
いわゆる女性SSWバンドっていうサウンドだが、変な話Sad Girl Indie以降の雰囲気は特段
強くなくて、アートだったりネオクラだったりの高尚な趣や尖りは全くなく、Emo指数も
自分のカウンターではゼロ。実に親しみやすい雑多なオルタナフォーク・インディポップで
これはこれで声が普通になっちゃったFeistみたいな感じもある。かつ曲やメロが超イイとか
そういうタイプでも決してないから、これもしもっと弾き語り寄り一辺倒でやられてたらば
正直厳しいと思うが、地味ながら緻密に作り上げられたねっとりしたアンサンブルと編曲が
妙な深みというか、不思議と聴き続けられる耐久性を付与していて面白い。曇りに近い晴れ。
アートワークのイメージも内容に合ってますが、アーツ&クラフツというのはしっくり来ん。