GVVC Weekly – Week 201

Mamalarky – It Hurts (Official Music Video)

ママラーキーが来月リリースする新作アルバムからこれで三つ目となる先行曲のビデオです。
今回は少し変わり種というか、あまり今までやってないようなしっとり系のスロウな音像で
聴かせるオルタナR&Bのような楽曲になってまして、日焼けしたカラカラのギターサウンド
そしてサイケ風味はどちらも鳴りを潜め非常に慎ましやかな存在感。とはいえ、キモなのは
このボーカルですし、ちょっとネバっとした妙なタイム感はこのバンド特有のものですよね。
いつものことながら、リヴィに色々な格好させてただカメラ回すだけで成立する反則映像。


Tenci – Two Cups (Official Video)

シカゴのテンシが2年ぶりのニューアルバムをアナウンスして先行シングルのビデオを公開。
よりバンドらしく広がりのあるサウンドに進化して、相変わらずクセの強すぎるボーカルと
ギターもかなり曲者なプレイ、表面的には穏やかなインディフォーク・ロックだというのに
異様にデカすぎるドラムの音がミスマッチな謎ムードの楽曲になってますが、面白いですし
いい音楽だと思います。ドラムが超生々しく鳴ってる上に普通にヨレまくっていてある意味
こんなん聴いたことないっていうか普通ドラムがデカいのはドラムが上手い時なんですがね。


Lucrecia Dalt – Dicen [Official Video]

10月にリリースされるルクレシア・ダルトの新作アルバムから三つ目の先行曲がビデオ公開。
最初の先行曲で変貌ぶりに度肝を抜かれましたが、別にベルリンを拠点にしてたってだけで
本来コロンビアの人ですし、ルーツ的な部分でこのエレメントを自然に扱える素養はあって
当たり前なところなんでしょうが、やっぱりスゴイ折衷感です。前回までの二曲よりも今回、
エレクトロニックのドープな要素が明確にトロピカルとミックスされてるのでよりいっそう
異形な印象で、力技で成立させた他で聴いたことないようなサウンドですが格好良いですね。


Alicia Clara – Only Fools Wish For Love (Official Video)

アリシア・クララが10月にリリースする新作EPから最初の先行シングルをビデオ公開です。
毎度毎度思うけど名前の字面がアレッシア・カーラに空目し過ぎる…音は全然違うけどね。
さて今回は「愛を求めるのは愚者だけ」と中々にシニカルなメッセージの楽曲でありますが
マグダレナ・ベイもびっくりの口を横に開け切った激甘コケティッシュボーカルで歌われる
ドリーム系のベッドルームポップになっていまして、一年半前の前作と基本路線は変わらず
微かなソウルポップのフレイヴァーとアンビエントも意識した曖昧なレイヤーのシルキーさ。
コマーシャルな路線なようで妙にあっさりしてる部分がむしろ良いと思うから、そのままで。

今週のLP/EPフルリリース

Freak Slug – I’m in love EP

先行で出ていた楽曲をピックアップはしなかったが個人的に聴いてはいた。どうしても軽く、
深みどうこうの音楽では決してないが、並べて聴いてみると楽曲がかなりの粒揃いなもんで
こりゃ紹介せねばという感じ。4曲フルでトータルランニングタイム14分弱の小品集だけど、
その中でどの曲をとってもメロディが単純に素晴らしいのと、10年代ベッドルームポップの
生で親密なローファイ感が完璧にパッケージされた紛れもなくインディでしかないサウンド。
特にM-1の輝く歌と口笛があまりにもフレッシュでまぶしすぎる。これは今後が楽しみだね。
マンチェスターの子みたいで、すごく若いんだろうけど最終的にはバンド化して欲しいかな。
Z世代宅録ポップスでよく思う事で、リズムマシンとか使っててもニューウェイヴ的な感覚に
ほぼ影響受けてない感じがいい。あの一時期以降で一気にドリームポップ系のギターの音が
一般化して、シューゲイズとかの文脈なしにあくまでもポップス作ってる感覚で採用される。
それってかなり我々にとっては嬉しい事で、ミッドウエスト系のエモが一般化したのと同じ。


Recitals – Orbit I (LP)

ノーマークのデビューアルバム。あまりFlying Nunって感じの音ではない気がする、土台は
オルタナフォーク系のポストロックというか、トランペットやチェロ等も入った室内楽的な
深い趣のあるナチュラルかつモダンな質感。でもあまりシックにまとめすぎず、グシャリと
歪むヒリヒリとしたスロウコアのような雰囲気も強く、男声の方のボーカルはエモも入った
ヤケクソ系の歌唱であくまでもインディロックという立ち位置。これ女声のボーカルだけで
下手にツインにせずキレイ目に仕上げてたらアンティーク屋なんかでもかけれちゃいそうな
クラス感出てた所を思い切り投げ捨ててむしろ元気よくバーストしちゃう部分入れてきたり
粗めに着地させてるのが面白く、珍しいバランス感覚だなと。ジャケもアー写も非常に良い。
全く事前に認知してなかったけどこれは面白いバンド見つけた、今後の作品も楽しみです。


Bibi Club – Le soleil et la mer (LP)

先行のM-2を聴いていいなと思っていたけど、全体でもなかなか素晴らしく是非紹介したい。
カナダのフランス語圏のデュオ、リリースもフレンチでしか書かれてないから背景不明ですが
まあSecret Cityだから大丈夫だろ。音像としてはアンニュイな淡いカラーの宅録インディで
清涼感のあるウェットなギターサウンドとバレアリックなムードにステレオラブ系の浮遊感。
ラウンジでチルな部分もあるけど初期Wild Nothingみたいな曲もあるし、イメージとしては
チルウェイヴ全盛の頃にいた生音ベースのベッドルームポップをアップデートした風のもの。
あくまでしょぼい雰囲気で柔らかく丸い質感が耳に優しい。高崎に同名のキャバクラあり。