GVVC Weekly – Week 231

Rahill – Bended Light

NYのイラン系SSW、ラヒルがYaya Beyなどと同じNinja TuneのサブレーベルBig Dadaから来月リリースするデビューアルバムより三つ目の先行曲ビデオ。
先に公開されていたBeck参加曲などはそうでもなかったですが、今回はちょっとジャズの要素が絶妙に深くブレンドされたオルタナロックR&Bというか、それこそほんとヤヤ・ベイあたりがKarateと合体したような意外と居ない謎サウンドで面白いなと。ちょっとまだ方向性が定まりきってない気がするけど、音像はクールだし全編でどうなってるのかは楽しみです。


Anna Tivel – American Novella

ポートランドのSSW、アンナ・ティベルが昨年リリースしたアルバムと同セッションのアウトテイク集アルバムをアナウンスし最初の先行曲を公開。
これが、アルバム本編のどの曲よりも熱の入ったストーリーテリング冴え渡る出色の仕上がりで、正直なぜこれが落選したのか謎です。
空間系もウェット寄りかつトランペットにペダルスティール、さりげにシンセも入ったそこそこ豪華なプロダクションでチェンバーポップ一歩手前のサウンド。映画サントラのボーカル入りメイン曲みたいな感じですね。


Tin Man – Arles

ウィーンのティン・マンが来週リリースする新作アルバムから最後の先行トラックがビデオ公開です。
静寂の深夜帯などにも適応したインテリアBGMとしても優秀に機能するアシッド・リスニング・エレクトロニカのパルス音楽になってまして、今回は先に出ていた他のトラックよりも一層ソフトでエッジのとれた柔和な雰囲気が素晴らしい。
それでいてミニマル過ぎることもなく、9分弱の中でそこそこメロディが浮かんでは消えジワジワおぼろげに展開していく構成もなかなかです。

今週のLP/EPフルリリース

Nourished By Time – Erotic Probiotic 2 (LP)

これは大好物。メインストリームの人が後発で手を出したオルタナR&Bではなくて、本当のインディ側から十数年前に自然発生したローファイオルタナR&B・ホワイトソウル(本人ブラックだが、音的にね…)の純粋な系譜なわけで、ちょっと懐かしさすらある。
方向性は一人でやってるLISSというか、曲によっては初期のKindnessみたいになってる時もあって最後にビデオが出てたM-5とかほぼマンマですが、全体としてはシンセポップ的な側面も強くて非常に愛嬌のあるキャッチーな仕上がりが取っ付き易いし、全然ダメな曲は一つもない。
そこそこラフなんだけど極端に雑でシットな雰囲気にはなっちゃわない絶妙なラインで調整されており、きれい目な現場にもなんとか適応できるさじ加減。いい意味で、多少はふざけてんのかそれとも100%真面目なのかわからん感じがね。
いま皆、大なり小なりヴェイパー・ハイパー以降の感覚を盛り込みがちだから、最近なんかこういうのあまり見かけなかった気がしてすげー嬉しい。