GVVC Weekly – Week 284

Youth Lagoon – Lucy Takes a Picture

ユース・ラグーンがLPのアナウンスなどはありませんがニューシングルを発表し、ビデオ付きで公開。
1stはすごい好きで、2ndまではレコード買ったしライブも2回観た(どっちもホステス。2回目はついで)けど、それ以降はどんどん悪くなりソロ含め内容がかなり微妙で、近年この名義を復活させてからもまあ一時よりはまだマシだけど、という感じだった。
しかし今回のこの楽曲、これまでの経緯から期待してなかったけど久々に響いたね。歌唱がもう全然違うし、トラックもサンプリングのループ感あるミッドファイの宅録風サウンドで、漸く復活したと言えるんじゃないか?
この人の場合どうしてもメンタルヘルス的なところの影響は避けて通れないのだろうし、それゆえのぶっ壊れそうな繊細さとちょっと狂人まで入った危うさは堂々とアーティストと名乗って不足ない存在感。個人的な好みを抜きにしても1st前後の絶頂期以降で最も輝いているし、本当に美しいベッドルームポップ。今のところ完全に単発シングルの体裁で出てるけど、これは次回フルレングスに収録されると思う。こういうのでいい。


Eliza & The Delusionals – Falling For You

オーストラリアのエライザ・アンド・ザ・ディリュージョナルズが7月にリリースする2ndアルバムからの先行曲ビデオ。
正直、今のとこもう一つ出てる別の先行曲とか前作アルバムの内容なんかはオルタナ音楽の範疇からすらもギリ脱落する位ほとんど英語圏ティーン向けポップロックみたいな風情の楽曲が多いので存在としては微妙なところなのですが、この曲は偶然の一発だったにしてもミラクル青春の輝きが炸裂した90’sメインストリームテイストどっぷりのギターポップ(おまけ程度のサックス入り)傑作です。
ボーカルもやりすぎなくらいに歌い上げてますけど、声質なのか語り口なのか、なんとか許せる範囲におさまってて閾値ギリギリまでポップス方面にマキシマイズしたインディ音楽といった仕上がり。そりゃ他の楽曲ではスレッショルド超えちゃうのもさもありなんです。


Chris Keating & Elias Abid – Devoted

元Yeasayerのクリス・キーティングがついに本名名義のソロプロジェクトを始動、お披露目は少し前だったのですが二発目のシングルとしてEPから先行公開されたこちらを初ピックアップ。
今回のを聴くと結構そのまんま装飾部分やねじれ成分を削ぎ落としたバンド時代のR&B寄り楽曲みたいな感じで、もう一人のフロントマンであるアナンドさんもソロ活動してるけど、それと比べると遥かにこちらの方が核であったのだろうかと思わせる仕上がり。
ちなみにEPは全編、セッション交流会で知り合ったフランス人SSW・プロデューサーElias Abidとの共同制作とのことです。(ジャケ写で一緒に並んでる人、本人よりだいぶ年下みたい)


Mile End – Grand Eugène

カナダのフランス語圏男女デュオ、グランド・ユージーンがニューシングルをビデオ公開。
チルウェイヴと個人ブログ文化全盛期に沢山居たバンドサウンド系の宅録インディポップ(微ドリーム)サウンド。軽さがギリギリのラインではあるけどこの曲はかなり頑張った。まず定番ブリッジミュートからシンセと揺れまくりのギター被せ三段式イントロがいいし、ヴァース戻りでのピッチベンド祭りも最高に素晴らしい。そしてなんだかんだシンプルには展開せず、ひたすら加熱するアンサンブルで突っ込んでからサクっと終わる構成、それでいてボーカルはコケティッシュ系ウィスパーボイス。
カップ麺をどんぶりで食う意味不明な映像もなんか曲にマッチしてます。「麺」でテーブルの「欠け」を修復するインストラクションの Youtube(?)のとことか謎過ぎて意味がわからない。

今週のLP/EPフルリリース

DIIV – Frog In Boiling Water (LP)

もう13〜14年やっているんだろうか、遂にCaptured Tracks以外からのリリース、かつプロデュース兼ミックスに大御所クリス・コーディを起用とかなり気合の入ったプロパー作LPとしては5年ぶり4th。
本当に最初の頃はBeach Fossilsで立ちドラムとかやってたし、本人の存在感がなんだか凄く目立っていた。直近のインタビューとか読んでないけど、結婚してたしさすがにもうアディクションとは決別してコール君も大人になっているのかな。どうしてもスカイ・フェレイラとヤ○中カップルやって界隈を賑わせていた時のキャラクターが印象強く、そのイメージ完全に払拭することはできないね。でも実際の音楽の方はいつもそんなにパンチ効いてなくてむしろちょっと地味なのが面白い。
さて内容の方ですが今のモードはオルタナぎみのダウナー・シューゲイズ。飛び道具的なアレンジもなく、エンジニアリングのグレードアップのおかげかサウンドが非常に安定していてクオリティは高いと思う。元々メロディが強い人では全然ないから基本的にはテクスチャー勝負なのはずっと一緒で、クラウトぎみのは歳食ってしんどくなってきたと考えるとスロウになるのは自然な転換だよね。悪くないけど、でもちょっとオリジナリティとしてはどうなんだろ。M-2のアウトロとか完全にラヴレス(I Only Said)やっちゃってるしな。
まぁ、そういうドリームポップ要素の無いちゃんとしたオリジナルシューゲイズと、精神やばめのメランコリック・オルタナフォークの理想的なミックスっていう感じです。インディとしては整理され過ぎてる印象を受けるので、もう少し雑な音作りでいい気はするけどね。