GVVC Weekly – Week 295

Only Real – Good Morning

オンリー・リアル君がなんと9年ぶりの新曲を単発シングルで突如リリース。完全に辞めたと思ってました。知らなかったけど1ヶ月くらい前に予告のスニペットが公開されていたみたいです。
これだけ経っても音楽の路線は全然変わってなくて、まさに正当進化といった感じのストリート系宅録ポップは彼のシグネチャーである半ラップ半歌唱のボーカルスタイル。この歌い方と本人のナリからして出てきた頃から陽気でテキトーなバージョンのKing Kruleってイメージでしたが、そのまんま成長してて面白い。
個人的に伸びると思ってたけどデビューアルバム以降は全然で速攻消えてたのが悲しかったがここへ来てまさかの復活。言うてまだ32~3くらいのハズだし、こっからまたフルレングス作るまでやってほしいな。彼のこのヌケ感は演出された風や鬱陶しさがなくてとても自然で良いんですよ。


Jordana – Like A Dog

ジョーダナが10月にGrand Juryからリリースする新作アルバムをアナウンスし先行曲ビデオを公開。LPには6月に公開していた先のシングルも収録です。
彼女は本当にこれといって定まった音楽性が無いのに本人のキャラクターだけは異様に立ってるという枠なので、いかようにでもなる七変化ぶりをこれまでもさんざ見せ付けており、今回はソウルポップ風で攻めてきた。ボーカルにクセがなく軽薄になったTOPSみたいな感じの路線で、シンプルにいい曲ぶったSSWみたいな系統よりは多少滑稽さのあるこっちの方が合っているかもね。コレ褒めてるからね。
映像の方はさんざんな1日を過ごす職業ミュージシャンの主人公と飼い主の留守に家で大暴れするワンちゃんの演出過剰な寸劇を本人による一人二役でお送りします。 


Peel Dream Magazine – Dawn

来月リリースされるピール・ドリーム・マガジンの新作アルバムから更なる先行曲が二つ同時に公開されました。
そのうち片方のこちら、どデカい国立自然公園(?)に生息する動物さん達のフッテージに併せられたビートレスのアンビエントポップで、そういった路線の片鱗は最近じゅうぶんに見せてましたが今回はかなりポストロック方面にも押し広げたサウンドスケープ。もはやシカゴ音響派の雰囲気すら感じさせる仕上がりで、シューゲイズのハーモニーと後期のガスター・デル・ソルが融合したような素晴らしい音楽です。


George Clanton & TV Girl – Take A Trip

100% Electronica主宰、エスプリ空想ことジョージ・クラントンとTVガールがジョイントEUツアーにに先駆けてコラボシングルを2曲同時に公開、そのうち片方をピックアップ。
コレ何で拾ったかっつうとあまりにもこの両者の連名でリリースっていう触れ込みから想像するそのまんまの内容で、見事に50%の中間地点な折衷サウンドが面白かったんですよね。
ダウンテンポ感のあるサンプリングヒップホップ系のコラージュに若干ニューエイジ感のあるヴェイパー以降の先祖返りチルウェイヴなニュアンスが追加された、まさのこの組み合わせでしか成し得ないバランスのトラック…と思ったらなんか90’sのクラブミュージックにこういうの普通にあるような?っていう絶妙なラインです。ダンス寄りのラウンジというか、音箱のラウンジフロアでかけたいやつでしょう。

今週のLP/EPフルリリース

Quivers – Oyster Cuts (LP)

確か前のアルバムも紹介したはず。Mergeへのステップアップとなった今作が3rdなのかな?基本的に相変わらずで、簡単に表現するならインディロック〜インディポップという他にない古典的なナチュラル・スタンダードのギターバンドサウンド。
開放的で、いっぱいの自然を感じるような、それでいて特にフォークやカントリーには寄らず極端に田舎臭くはなってない瑞々しくてオープンな世界観の楽曲は、変に凝った展開をせず程々にレイドバックやしっとりを挟み込みながらテンポよく進む。
男女ツインボーカルの二人ともに歌唱スタイルに辛気臭さやひねくれた雰囲気も一切なくストレートフォワードに潔いフレージングで、クリアーでも淡すぎないダイナミックな音像も素晴らしい夏にピッタリの音楽は、抜けのいいミックスが気持ちイイ。
オルタナやシューゲイズやドリーム、ポストなにがし等々のサブジャンル要素が本当に入ってなくて至極純粋な、真水のようなピュア・インディです。
しかし、よくわからんのはオーストラリアのバンドって世界に合わせて上半球の夏にちゃんと夏っぽいリリースをするものなのだろうか?現地では冬真っ盛りって時に、難儀なもんだね。